北穂高岳で味わう至福のひと時

穂高連峰を中心とした登山でみたこと、感じたこと、考えたことを備忘録として書いています。

はじめに~穂高連峰~

 穂高連峰は、標高3000㍍級の山々が連なる本州中央部の「飛騨山脈」南部にあります。飛騨山脈は、ヨーロッパアルプスにちなんで「北アルプス」と言い換えられており、穂高連峰は「北アルプス・穂高連峰」という呼称の登山者あこがれのエリアです。

 

 上高地の梓川にかかる河童橋から見上げると、目の前に立ちはだかるのが、最高峰の奥穂高岳(標高3190㍍)と前穂高岳(3090m)を結ぶ“つり尾根”と呼ばれる稜線。その直下から河童橋に向かって切れ落ちる豪快な斜面は、ため息が出るほど美しく素晴らしいです。

 もっと素晴らしいスポットがあります。つり尾根の裏側にある涸沢(からさわ)カールです。大昔に氷河で岩肌が削られてできた、すり鉢の底のようなくぼ地です。標高2300m地点のくぼ地には2軒の山小屋とテント場があり、斜面には夏でもとけない雪渓があります。

 涸沢に一度足を踏み入れただけで、“ホタカ”のとりこになった登山者は少なくありません。春のゴールデン・ウイークから山小屋の営業も始まり、登山者はピッケルを手に、アイゼンを付けた靴で純白の雪を蹴り込んで北穂高岳や奥穂高岳の山頂を目指します。梅雨明けの7月下旬からは登山道脇やお花畑で高山植物を楽しむことができます。

 ベストシーズンは9月下旬から10月初めの紅葉の時期。涸沢カールの紅葉は日本一と言ってもよいでしょう。日の出の直前に、北穂高岳(3106㍍)と左手の涸沢岳、(3110㍍)さらには奥穂高岳までの稜線が赤く染まります。モルゲンロート(朝焼け)です。時間の経過とともに山肌をオレンジ色が下って広がり、テント場や山小屋のテラスからは歓声が上がります。

 北穂高岳や奥穂高岳にはふつう、上高地経由で涸沢から登ります。北穂高岳への登頂はそれなりの体力が必要なうえ、足の置き場が難しい一枚岩やいくつものクサリ場、ハシゴがあり、気が抜けません。でも、北穂の山頂の山小屋テラスに腰を下ろし、そこから槍ヶ岳方面に延びる大キレットという急峻な縦走路は、いつまで見ていても飽きることのない素晴らしい眺めです。

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北穂高小屋から槍ヶ岳を望む