北穂高岳で味わう至福のひと時

穂高連峰を中心とした登山でみたこと、感じたこと、考えたことを備忘録として書いています。

どうして?人体の不思議~脱水症状①何が怖いの?

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北穂高岳からみた涸沢カールと前穂高岳

 脱水、脱水症とは?

 真夏の風のない日に山登りをしますと、ムシムシするうえ、汗が額から噴き出していやですよね。その時、体から汗として出て行く体液は、何も混じらない水分だけではありません。「電解質」という、水に溶けて電気を通す物質も汗になって一緒に出て行ってしまうのです。電解質にはナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、塩素イオンなどがあって、人間が生命を維持するためにそれぞれの濃度が一定であることが必要なんですが、「水分」と「電解質」が足りなくなってしまう状態が「脱水症」です。

 

脱水症の症状

 程度によって違うのですが、めまい、頭痛、立ちくらみ、呼吸の乱れ、吐き気など。脱水が怖いのは、多量の汗をかくことによって血管内の血液が濃くなって、血が固まりやすくなることです。お医者さんからは、「できた血栓が脳の血管で詰まれば脳梗塞、心臓に栄養を与えている冠動脈の血管が詰まれば心筋梗塞を発症しますから、甘く見てはいけませんよ」という話を聞きます。

 

 

登山中の水分補給量は? 山本教授のつくった指針

 脱水症にならないように「水分と電解質」を体に補給しなければいけないことは分かりましたが、脱水の量やそれを補う量はどのくらいなんでしょうか。

 登山と体の関係について研究を続けている鹿屋体育大学の山本正嘉教授が作成した「水分補給の指針」があります。山本教授の著書「登山の運動生理学とトレーニング学」(東京新聞発行)から引用しますと――。

 

行動中の脱水量(ml)=体重(㎏)×行動時間(h)×5(ml)

 

(以下、教授による説明の骨子)

 自分の体重に行動時間を掛け、これに「5」という係数を掛けると「行動中の脱水量」が計算できる。「5」という係数は、1時間の体重1㎏あたりの脱水量を5mlと計算したもの。暑くない時期に、軽装で整備された登山道を標準的なペースで歩いている時を想定。ザックの重さは含めずに計算。

 

 例えば、60㎏の人が6時間の登山をした時は、

60㎏×6h×5ml=1800ml 

の脱水が起きると計算できる。これは1升ビン1本に相当する。

 山本教授はこの著書の中で「登山の脱水量は、思ったよりも多いと感じるのではないだろうか」と書いています。

 

 

上手な水分補給の仕方   国際山岳医・大城和恵医師

  では、脱水予防のために水分補給はどのようにしたらよいのでしょうか。

 『教えて!「かくれ脱水」委員会』の委員の1人で、プロスキーヤー三浦雄一郎さんのエベレスト遠征にも同行した大城和恵医師は、脱水症の予防対策について講演や著書で次のように話しています。

大城医師――

 「通常、睡眠中は水分をとらないので、起きた時点で軽い脱水状態になっています。そのため出発前には必ず水分ととっておく必要があります。この時、塩分も一緒にとると体に水分を保持する作用があります。水分量の目安は、朝食以外に500mlです。しっかり朝食をとれば、塩分も含まれているので、普通の水で構いません。しかし、朝食で塩分を取らないのであれば、経口補水液やスポーツドリンクなどを飲むことで登山前に塩分を補っておくべきです。」

 「登山中は、のどの渇きを感じていなくても、30分おきに200~250mlを目安に水分を補給しします。25分歩いたら5分の休みを取り、その間に水分をとりましょう。」

 「スポーツドリンクを水で半分に薄めたものを携帯しておくのがいいでしょう。薄めないと、糖濃度が高いため、吸収が遅くなることがあります。」

 

 

 私もだいぶ以前から、「ポカリスエット」(大塚製薬)の粉末を愛用しています。粉末を好んでいるのは、液体の水は登山道を長時間背負って運ぶには重すぎるからです。テント場で水に溶かしています。粉末に含まれる糖質の濃度が高いと、胃での停滞時間が長くなって小腸で吸収されるのが遅くなるそうですので、ポカリの粉末を、適量とされる水の量の2倍にして使っています。