北穂高岳で味わう至福のひと時

山登りの記録、観光ではふつう旅行しない外国の風景、戦争の遺跡、登山での体調不良の原因など備忘録として書いています。

登山と健康~内臓脂肪は登山で燃えるか

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  北穂山頂へ・・・北穂沢を詰める (2014年5月3日撮影)

 

 

 

 「内臓脂肪を落としましょう」という呼びかけを聞いたことがあるでしょう。

 その内臓脂肪はどこにあるのか、どうして落とさなければいけないのか、はたまた運動で落とすことができるんだろうか・・・。

 

中性脂肪・内臓脂肪・皮下脂肪・体脂肪・・・どう違うの?

 ひと口に脂肪といっても、いろんな言い回しがあって、どう違うのか分からない。

 そこで言葉の意味を調べると、おおよそ次の通りです。

※「脂肪」のことを栄養学では「脂質」と言いますが、同じことです。

 

中性脂肪

 ふつう「脂肪」と言っているのは「中性脂肪」のこと。脂肪酸とグリセロールという物質がくっついて中性を示すため、そう呼ばれます。

 中性脂肪は食事で体内に取り込まれたあと、小腸でリンパ管に入り、静脈経由で心臓に戻り、全身を回ります。

 

体脂肪

 体内にある脂肪の総称。体脂肪は「内臓脂肪」と「皮下脂肪」の2つに分類されます。

 

内臓脂肪

 小腸を包んでいる腸間膜にくっつく脂肪のこと。男性に多い。

 

皮下脂肪

 皮膚の下の皮膚組織につく脂肪のこと。特に、太ももやお尻。女性につきやすい。

 

 

脂肪の役割は?

 「脂肪」は炭水化物(糖質)、タンパク質とともに3大栄養素の1つ。

 脂肪のいちばんの役割は、主たるエネルギー源である糖質(炭水化物)が体内で不足してくると、糖質を補って代わりのエネルギーになることです。

 

 

内臓脂肪はなぜ増えるの?

 内臓脂肪は、食べ過ぎたり、運動不足の状態が続くと増えます。

 食事で摂取した脂肪のうち、消費できなかった分は脂肪細胞に取り込まれます。その際、皮下脂肪ではなく内臓脂肪に優先的に蓄えられます。このため肥満体になりやすいわけです。

 また、年を取るにつれて基礎代謝が下がります。基礎代謝というのは、「人間が体温を37度に維持し、呼吸したり心臓を動かして生命を維持するのに必要な最小限のエネルギーのこと」なんですが、これが加齢とともに下がるのです。

 若いころと同じ量の食事をしていても、カロリーを消費できずに内臓脂肪が増えてしまうのです。

 

 

怖いのは内臓脂肪!

  食べ過ぎの状態が続くと問題になるのが内臓脂肪です。

 内臓脂肪がたまり過ぎると肥満を招き、生活習慣病を引き起こします。

 内臓脂肪は悪玉というべき物質を血管内に過剰に分泌し、これが血流に乗って全身に運ばれます。それによっていろいろな弊害が出ます。

 

 第1に、動脈硬化が進行します。動脈硬化になって血管が詰まりますと、そこから先の組織に酸素と栄養素を送れなくなり、組織が死にます。場所によって心筋梗塞になったり脳梗塞になります。

 

 第2に、血液中のブドウ糖の濃度である血糖値を一定に保つために、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンの働きをじゃまし、糖尿病の発症につながります。

 

 第3に、血液を固めて血栓をつくりやすい物質も内臓脂肪から分泌されます。

 

 第4に、血圧を上昇させる物質も分泌され、血圧が上昇して高血圧症の心配が生じます。

 ちょっと専門的なメカニズムを書いておきますと、内臓脂肪が増えるとアンジオテンシノーゲルが次々と作られて血液に入り込みます。これが腎臓から分泌されるタンパク質分解酵素のレニンによってアンジオテンシンⅠに変化、さらにはアンジオテンシンⅡになり、血管壁にある受容体に作用して血管を収縮して血圧を上昇させのです。

 

 

運動で落とせるのか?

有酸素運動がおすすめ

 内臓脂肪を消費するには、どうすれば効果的なの?と聞ききますと、厚生労働省は「有酸素運動が効果的です」といいます。

 

 有酸素運動というのは、体を動かす時のエネルギー源としてブドウ糖などの糖質と中性脂肪を使い、さらに脂肪を分解するために「酸素」を呼吸によって取り入れてエネルギーを産み出しつつ、長時間続ける運動のことです。

 ウォーキングやジョギング、サイクリングなどがそれにあたります。

 

 

脂肪が燃えるメカニズム

 “脂肪を燃やす”という表現をよく耳にしますが、どういうことでしょうか。

 脂肪を燃やすというのは、「エネルギー源として消費する」という意味です。

 

 消費するためには中性脂肪の「分解」が必要です。

 運動するにはエネルギーが必要になると、脳が「中性脂肪を分解してエネルギーをつくりなさい」と命令を出します。

 すると、脂肪を分解する能力のあるリパーゼという消化酵素の動きが活発になり、中性脂肪脂肪酸とアルコールの一種のグリセロールに分解されます。脂肪酸は血液の中に放出され、血流に乗って「筋肉」に運ばれます。ここで筋肉細胞の中の「ミトコンドリア」という小さな器官で「酸素」と結びついて分解され、エネルギーに変換されます。

 

 

 登山に脂肪を減らす効果はあるのか?

 

 鹿屋体育大学の山本正嘉教授は、

平地でのウォーキングと、ハイキング(傾斜の緩いコースを軽装でゆっくり歩く登山)とで、体脂肪の減量効果を比べる実験をしています。その結果が教授の著書「登山の運動生理学とトレーニング学」(東京新聞)に載っていますので引用しますと――。

 

 実験は①群=運動なしでダイエット(食事指導)だけ毎日実施するグループ

②群=毎日1時間の平地ウォーキングとダイエットも行うグループ

③群=週末に1日だけ5時間のハイキングと毎日のダイエットを行うグループ――の3つのグループに分け、1ヵ月間実施した。

 

 その結果、体脂肪率は、①群は変化しなかった。一方、②群と③群は、ほぼ同じだけ減少した。

 山本教授は「毎日1時間のウォーキングと、週末に1回だけ行うハイキング(登山)とは、脂肪の減量、つまりメタボリックシンドロームを防ぐうえで同等の効果を持つ。どちらを選んでもよいわけだが、平日は仕事が忙しくて運動する時間を確保しにくい人には、登山はうってつけの選択肢になるだろう」と登山の意義を強調しています。

 

 

 

 

 

 

登山の運動生理学とトレーニング学

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