北穂高岳で味わう至福のひと時

穂高連峰を中心とした登山でみたこと、感じたこと、考えたことを備忘録として書いています。

装備~④単独行の必携医薬品

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北穂高岳山頂へのクサリ場……滑落したらたいへん  (2017年8月4日撮影)



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涸沢ヒュッテのヘリポートを離陸する長野県警「やまびこ1号」 (2008年5月撮影)

 山のガイドブックには、装備リストの中に「医薬品」があって、持って行くべき医薬品の名前がズラズラ書かれたものもあります。実際にけがをした場合、かなり動揺すると思いますが、それらをきちんと使いこなせるでしょうか。

 20年以上もの間、山でケガらしいけがをしたことがないため、医薬品はいつもザックの底に放り込んでおくだけでしたが、このブログを書くのを機会に真面目に考えました。

 

自分で使いこなせるものを持っていく

  山でケガをしても、登山者が多いところでしたら通りがかった人が世話をしてくれるでしょう。しかし、難易度の高い場所では登山者が少ないうえ、通信事情も悪いでしょうから、自力で手当てすることになりそうです。

 

 私のように単独行の場合は、どうでしょう。これから登ろうとする山で、ケガをする状況を想像すると、“自分ひとりで使いこなせる”装備品を持っていく、ということになります。そして雨や雪が降るかもしれない寒い夜を、何日も過ごすことを覚悟しなければなりません。

 

  具体的に起こりそうなことは、岩場での転倒や滑落による出血、ねん挫そして骨折。病気では熱中症や低体温症といったところでしょうか。「骨折」なら痛くて動けないでしょうから、ハシかスプーンか新聞紙で固定したら即、救助をお願いすることを考えますが、それ以外は予防なり、自力で対処することになります。

 

自力で“止血”できますか?

  出血がいつまでも続く時、どうするか。

周りにだれもいません。叫んでも聞こえません。救助してくれる警察、山小屋従業員の方もすぐには来ません。

 ザックから救急医薬品袋を引っ張り出して、自分で処置するしかありません。

 

 天ぶたに救急用品

  私はザックの中で、救急医薬品を以下のように整理するようことにしました。

 医薬品を2ヵ所に分けます。「止血用品」はすぐに取り出せるように上部の“あまぶた”にビニル袋で防水して入れます。具体的には――。

▼滅菌ガーゼ数枚(止血場所を圧迫する時に、水で傷口を洗った後で真っ先に傷口に当てます)

▼三角巾1枚 (出血を押さえる時の当て布として使うつもり。腕を首から吊り下げる時にも使えます)

▼包帯1本 (ケガをした部分を覆う。きつく巻けば止血にも役立つと考えます)

▼テーピングテープ (足首をねん挫した時など関節の固定用)

▼絆創膏(バンドエイド、リバテープ数枚)

▼ハサミ

▼安全ピン

▼使い捨てビニール手袋 (止血の時、使います)

 

 

 

 その他の携行医薬品はザックの奥にしまいます。具体的には、

▽「バファリンA」 (解熱・鎮痛剤)

▽「正露丸」 (下痢止め)

▽「ハッカ油」 (涸沢に多いブユを追い払うため、自分の肌に吹きかけます。効果はてき面で、ブユが即座に逃げます。短時間ですが)

▽「フルコートf」 (ブユなどによる虫刺されが原因のかゆみに効きます)

▽「冷却シート」 (シートをはった部分だけ、気化熱によってしばらくの間、冷えます。太い動脈が通っている頚動脈(けいどうみゃく)や脇の下、太ももの付け根にはると、熱を下げる効果が期待できそうです)

 

 体調不良の時は、鎮痛剤なり下痢止めを飲んで、さっさと下山することです。

 

 医薬品以外にも、生き延びるために「ツエルト」(簡易テント)、水、食糧、ポカリスエット粉末を持っています。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 ケガと急病への対処法

 

 

 かつてアフガン野戦病院に勤務した経験もある整形外科専門医の金田正樹医師の著書「図解 山の救急法 医学的根拠から応急処置法まで」(東京新聞発行)や、「山の救急医療ハンドブック」(日本山岳会医療委員会編)などを参考にしながら、自分なりに対処の仕方をまとめますと――。

 

止血!

 血を止める方法としては、「直接圧迫止血法」というやり方が基本。

 直接圧迫止血法は、出血している部位に直接、ガーゼや三角巾などを当て、その上から手でしばらく圧迫して止血する方法です。

 出血した場合、傷口に土や砂、草などが付着していることが多いため、まず、飲料水で傷口を洗うことが基本です。土の中にいる破傷風菌などの細菌が体内に侵入するのを防ぐためです。スポーツドリンクは人の体液と浸透圧が違うため使ってはいけない。

 ただし、傷が深くて、噴き出るような出血がある場合は止血が先で、傷口の洗浄は血が止まった後です。

 

 指先で押さえる

  直接圧迫止血法では、傷口にガーゼを当てて、強く圧迫します。それでも出血が続けば、ガーゼなどを新たに重ねて、止まるまで圧迫を続けます。

 ほとんどの場合、数分で止血できると言われていますが、「15分押さえ続けてください」と指導している医師もいます。

 「止血」にはコツがあります。

 出血している部位に、指先をピンポイントで置くことが大切だといいます。ガーゼを何枚も重ねて厚くしてしまうと、指先の圧力が傷口に伝わらず、なかなか出血が止まりません。

 また患部の位置を、血液を全身に送り出す心臓より高い位置に上げるだけで、出血量は減って、やがて血小板の作用で出血が止まります。

 出血がようやく止まったら、傷口を別のガーゼで覆い、さらに包帯を巻いて患部を保護します。

 

 そしてこれは大事なことですが、ケガをした登山者に遭遇した場合ですが、けが人の血液に素手で触れてはいけません。その人の血に接触してHIVやC型肝炎などに感染する可能性があるためです。そのために使い捨てのビニール手袋をします。まず自分を感染から守るようにすることが大切です。手袋は感染症予防です。

 

 血の色で血の出所が分かる

 少しわき道にそれますが、

出血の色で、血の出所が分かります。

 鮮やかな赤色で、拍動に合わせて噴き出るように出血するのは、酸素が多い「動脈」からの出血です。

 暗赤色でジワジワと出血するのは、老廃物や二酸化炭素の多い「静脈」からの出血です。

 赤色でにじみ出るのは「毛細血管」からの出血で、放っておいてもやがて止まります。

 ただ、「動脈」からの出血を放置しておくと、たちまち大量出血となって生命が危険になります。すぐ止血しなければいけません。

 一般的に言われるのは、人間は血液量の3分の1が失われるとショック状態に陥って、生命の危険にさらされ、2分の1の血液を失うと、失血死するとのことです。

 

  脱水症状から熱中症

  額から流れ落ちる汗で、私は脚のけいれんをしばしば起こします。体内の水分と塩分が足りなくなったことが原因です。水分と塩分などの電解質が調合されているスポーツドリンクを飲めば、直に元通りの体調になります。

 症状がひどい場合は木陰に入り、体に風を当てて熱を逃がす必要があります。

 

低体温症

 意識がもうろうとして、全身が震えるような症状が出るようです。主な原因は、低温、ぬれ、風の3つ。予防することが大切で、まずは長時間、冷たい雨に打たれ続けないこと。雨具は透湿性と防水性を備えたものを選ぶこと。

 メリノウールを私は愛用していますが、汗をかいても体表面の冷えを感じにくく、下着としておすすめです。帽子も頭部の保温に役立ちます。温かい飲物で体の内部を温めることも重要です。

 

 とにかく、応急処置を済ませたら、一刻も早く下山し、医師の手当てを受けようと思います。

 

 

 

図解 山の救急法 医学的根拠から応急処置法まで

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