どうして?人体の不思議~かゆみ

f:id:alps6717:20190704140007j:plain

秋の富士山~~丹沢・塔ノ岳(標高1491㍍)山頂からのながめ

 

皮膚で感じる「かゆみ」

 登山で汗をかいたあと、背中がムズムズかゆくなったことが何度かあります。登山口まで下山して日帰り温泉で汗を流すとスカッとします。

 「かゆみ」は体を守る防衛反応のひとつで、皮膚に異物がついた際、かゆみを感じることによって、異常が起きている場所を教えてくれている……というような話も聞きますが、あの不快なかゆみはどうして生じるんだろう。調べてみました。

 

どういう時に、かゆくなるの?

 かゆくなる理由は、皮膚に「炎症」が起こるため、だそうです。いわゆる「乾燥肌」もかゆくなります。

皮膚の役割

 皮膚には2つの役割があります。

 1つは、皮膚表面の「角質層」と「皮脂層」によって異物が体内に入ってこないように防御する壁のような役割。

 もう1つは、体の水分が外に出て行かないように守る役割です。

 

 ところが、皮膚に炎症が起こると、かゆみが発生するわけですね。炎症が起こる原因は、といいますと――

1)蚊やブユなどによる虫刺されや、ウルシなど植物に触れてかぶれた場合

2)頭皮などから出た汗をそのまま放置した場合、雑菌が増え、炎症が起こる場合

3)皮脂の分泌が多すぎると、皮脂自らが刺激となり、炎症が起こる場合

4)ストレスがたまって、皮脂の分泌が活発になった場合

5)紫外線によって皮脂が酸化し、頭皮の炎症が起こった場合

6)洗い残したシャンプー自体が刺激となって、炎症が発生した場合

など。

  

乾燥肌も、かゆみの原因!

 乾燥肌に触れる前に、「皮膚」について大筋をまとめておきます。

 ■皮膚の構造

  外側から「表皮」「真皮(しんぴ)」「皮下組織」の3層で成っている。

「表皮」は皮膚の一番外側の層で、上から「角質層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の4層で構成。

「表皮」の中で一番下の「基底層」の役割は、新しい細胞の生産。生まれた細胞は皮膚の表面に向かって上がっていき、角質層に達すると突然死ぬ。「角質層」は死んだ細胞が重なり合った層で、皮膚表面まで押し上げられると、細胞は次々とはがれて皮膚から落ちる。これが「垢(あか)」というわけ。

「基底層」で生まれた細胞が垢となって落ちるまでの期間は約1ヵ月。新陳代謝が早い。

「真皮」には、かゆみを感知する「神経」や、皮脂を分泌する皮脂腺、汗を分泌する汗腺がある。

「皮下脂肪」は脂肪を蓄えている。

■皮脂について

 皮膚には毛穴があり、毛穴には途中で皮脂腺が合流し、「皮脂」が皮膚の表面に分泌される。

 

 皮脂と汗は皮膚の表面で混じり合い、「皮脂膜」をつくる。この皮脂膜が皮膚の表面を覆うことによって、皮膚内部の水分の蒸発を防いでいる。

 皮脂は20歳代前半をピークに、次第に減っていく。

■乾燥肌

  乾燥肌は、皮膚表面の水分や皮脂が失われた乾いた肌のことです。ドライスキンともいわれます。原因はずばり、加齢。老化現象の1つですね。

 乾燥肌では、角質層にすき間ができやすく、外から異物が侵入しやすくなります。それが「刺激」となって「かゆみ」が生じます。

 乾燥肌状態になりますと、真皮にある神経が皮膚表面に近い角質層直下にまで伸びてくるため、外部からの刺激が伝わりやすくなり、かゆみも感じやすくなるようです。

 

かゆみを起こす主な物質は「ヒスタミン」

 かゆみには、皮膚に原因がある「末梢性のかゆみ」と、脳や脊髄に原因がある「中枢性のかゆみ」があります。中枢性のかゆみは腎臓や肝臓などの疾患が原因で、強いかゆみが続きます。

 皮膚に原因があるかゆみに限って指摘しますと、かゆみを引き起こす主な原因物質は、「ヒスタミン」という物質です。

 

かゆみのメカニズム

“マスト細胞”

 細菌やウイルスとは異なるものの、アレルギー反応を起こすことがある物質が体内に入ってくると、『マスト細胞』という皮膚や鼻の粘膜、気管支などに存在する細胞が、「ヒスタミン」という化学物質を分泌します。

 すると、ヒスタミンは神経や毛細血管を刺激して、皮膚に炎症を起こします。と同時に、ヒスタミンに刺激された神経を経由して大脳が「かゆみ」を認識するわけです。

 

治療の方法

  かゆみの治療は、「炎症」を抑えることが基本です。アトピー性皮膚炎、ジンマシン、湿疹、水虫は、いずれも炎症です。

 水虫は「白癬菌(はくせんきん)」が角質層に入って角質層を栄養源にして増殖する疾患で、角質層には神経がないため、かゆくは感じません。

 しかし、菌が奥に入っていくにつれて炎症を起こして赤くなり、水がたまって水泡ができます。そうなるとかゆくなるわけです。早いうちの治療が望まれます。

 かゆみを引き起こすのがマスト細胞から分泌されるヒスタミンだけであれば、かゆみの治療は難しくありません、しかし、「抗ヒスタミン剤」が効かない患者が多いようです。かゆみの原因物質が他に多くあるため、治療は容易ではないようです。

 

 ただ、経験則でいいますと、一生懸命山を歩いていますと、かゆみを忘れてしまいます。サッカーでも野球でも机に向かう勉強でも同じでしょうが、なにかに意識を集中させていると、かゆみなどというものは忘れてしまうでしょう。

 

◇   ◇   ◇   ◇

 「かゆみ」については、髙森建二・順天堂大学大学院環境医学研究所長や、柿木隆介・自然科学研究機構生理学研究所教授の論文や著書が参考になります。