北穂高岳で味わう至福のひと時

穂高連峰を中心とした登山で見たものや思ったことを備忘録として書いています。登山による体の故障についても調べています。

どうして?人体の不思議~膝が痛い

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上高地の奥座敷、徳沢 (2013年10月11日撮影)

 

変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)

パノラマ新道の下りで受難

  重さ20㌔超のザックを背負って北アルプス・涸沢に入り、テント場で2泊。北穂高岳にも登頂して意気揚々と帰ろうとした2012年10月上旬のことです。

 パノラマ新道経由で眺めのよい前穂高岳・屏風の耳に立ち寄り、上高地に向けて下山を始めたところ、急に左脚の膝が突っ張って曲げづらくなりました。痛みもありました。

 下山して2日後、痛みとはれがひどいため整形外科を受診。医者から「ひざの関節の軟骨がすり減っていて、骨と骨のすき間が狭くなっている」「関節が炎症を起こしていて、水が増えてはれた」という説明を受け、“水”を注射器で抜く一方、「ヒアルロン酸」を注射してもらいました。

 「変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)」という症状でした。

 

どうしてはれるの? 水を抜くって?

  変形性膝関節症は、膝の関節の軟骨がトシをとるにつれて劣化して少しずつすり減り、歩く時に痛みが出る病気。

 軟骨には「神経」がないため、軟骨自体が痛みを発することはありません。しかし、軟骨や半月板の破片が、「関節包」(かんせつほう)という関節を包んでいる袋状の膜の中に入って炎症を起こし、その近くの神経から炎症の情報が「脳」に伝わって脳が痛みを認識する、というメカニズムです。

 

 また、関節には関節が滑らかに動くように潤滑油の役割を果たす「関節液」という液体が満たされていますが、炎症が起こると関節液をつくる細胞がそれに刺激されて、炎症から体を守ろうとして関節液を過剰につくり出してしまいます。

 これが「膝がはれた状態」「膝に水がたまった状態」です。

 

 炎症が起きている関節液は、もう関節を保護する力を失っているため抜き取るしかありません。

 関節液の主成分は「ヒアルロン酸」であることから、膝関節の痛みを抑えるためには、新しいヒアルロン酸を関節内に直接、注射する方法が一般的に採られているようです。

 

登山者に多い膝痛

 膝が痛い、と訴える人は、中高年のほかにも「ハードな登山をしてきた人にも多い」と、鹿屋体育大学の山本正嘉教授は指摘します。

 山本教授は著書「登山の運動生理学とトレーニング学」の中で、「登山者に最も多い症状は変形性膝関節症。激しい登山の影響で膝の軟骨がすり減ったり変形していたむのだ」と記しています。そして膝痛の原因と対策のカギを握るのは、太もも前面にある「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」だといいます。

 

 山本教授は、大腿四頭筋が疲れ、膝に負担がかかっていくメカニズムを、「下り」に注目して次のように解説しています。

 

 大腿四頭筋の疲れ

 ▽山道を下る際、前脚が着地のために伸びている時に、後ろ脚は体をゆっくり降ろすために膝を曲げて大腿四頭筋で踏ん張ることによってブレーキをかけ、一定の速度で下る。

▽このため大腿四頭筋の筋細胞が壊れ、筋力も低下する、

▽登山者が「脚に力が入らない」「脚がガクガクになる」「膝が笑う」などと表現する症状は、これが原因。

▽筋力が低下してくると、後ろ脚で体重を支えながらゆっくり“降ろす”ことができずに、“落ちる”になってしまう。その結果、前脚が受ける着地衝撃はさらに増し、それを受け止める大腿四頭筋の疲労も加速する。

 これが「膝痛」につながるというわけです。

 

太ももの筋肉を鍛えよう

 膝痛の予防、改善には大腿四頭筋を鍛えることが一番大切。

 山本教授の解説では、大腿四頭筋は膝関節や太ももの骨を包み込むように付いていて、膝の曲げ伸ばしにかかわるだけでなく、膝関節の動きを安定させる働きもしている。この筋が強い人であれば、膝が安定して滑らかに動くが、弱い人は不安定となり、痛みが出やすいという。

 また、対策としては、自分の体重を軽くすることも大切。「人並みの筋力があっても肥満していれば、相対的には筋力が弱いことになり、痛みが出やすい」と上記著書に書いています。

 

 

 

 

登山の運動生理学とトレーニング学

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治す!  山の膝痛 膝の不安を解消する7つの知恵

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