北穂高岳で味わう至福のひと時

北アルプス・穂高連峰に登り、丹沢を歩いて20年余。見たこと、気になって調べたこと、政治・社会問題への感想を備忘録として書いています。

どうして?人体の不思議~登山中の「脚のつり」

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北アルプス・涸沢 (2015年10月6日撮影)

 ≪登山中の脚のつり≫

  山を歩く力に衰えがないかどうかをチェックするために、神奈川県・丹沢の塔ノ岳(標高1491㍍)に時々登ります。

 ザックの重さは10㌔。歩くペースは“ゆっくり”で、標高差1200㍍の大倉尾根を休憩時間も含めて3時間で登るよう心がけています。

 往復6時間弱です。

 

 しかし、歩き始めの調子がよいと、途中からスピードを上げてしまい、額から汗がポタポタ。

 そんな時には下山の時、ちょっとした登り返しの地点で、太ももの内側ハムストリングスという筋肉がつります

 ただ、つった部位をもんだり伸ばしたり、スポーツ飲料のポカリスエットをタップリ飲むと、数分で回復します。

 

 脚がつるメカニズムや、脚のつりに効くという漢方薬芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」について調べてみました。

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

“脚のつり”とは?

 脚がつるというのは、脚の筋肉が突然、自分の意思に反して“収縮する”ということ。筋肉が縮んだまま硬直して、元に戻りにくくなった状態です。痛いです。

 

 

脚がつるメカニズム

 なぜ脚がつるのでしょうか。

 

 オムロングループのオムロンヘルスケア(株)のHPに、この問いに対する回答が載っていましたので引用します。

(以下、引用)

 

 脚がつるメカニズムはまだよくわかっていませんが、病気などの直接的な原因がない場合、有力な要因の1つ電解質異常です。

 

 電解質というのは、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなど血液中にあるミネラルイオンのこと。これらのミネラルイオンは筋肉や神経の動きを調整しているので、何らかの原因でミネラルバランスが崩れると、筋肉の異常興奮(=けいれんのこと)が起こるのではないか、と推測されています。

 

 筋肉の動きにはさまざまなミネラルが関係していますが、1つの例を挙げると、「カルシウム」の働きがあります。

 筋肉の収縮は、(筋肉の)細胞内のカルシウムイオン濃度が上がることで起こります

 同時に、体内にはカルシウムイオン濃度を調整する機能も働いています。加齢や疲労、栄養不足などにより濃度調整機能が低下すると、筋肉の伸び縮みがうまく制御できなくなり、けいれんを起こしやすくなります

 (以上、引用)

 

ミネラルの均衡が崩れる原因は「脱水」!

 「ミネラルバランスが崩れる」原因は何だろう・・・。

 思い当たるのは、汗をかくことで起こる「脱水」症状です。

 

 長い時間歩く登山では、汗をかくことはもちろんのこと、呼吸も荒くなって吐く息から水分が想像以上に排出されるようです。

 

 ナトリウム、カリウムといった電解質がどんどん体から減っていくため、体内の電解質のバランスが崩れてしまうことが、登山中の脚のつりの最大原因ではないか、と思われます。

 

 登山中に、ポカリスエットなど電解質の入ったスポーツドリンクを飲むことが大切なわけです。

 

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尿の色で脱水と分かる!

 登山中に、「脱水気味になってきたかな」という状態は、おしっこの色で分かります。

 

 脚がつる直前のおしっこの色は、決まって濃い黄色になっています。

 これは、汗をかいて体内の水分が減ってくると、腎臓がこれ以上体液が減るとまずいと判断して、尿の水分量を減らすために濃い色になるそうです。

 

 尿の色が濃くなったら、ポカリスエットなどスポーツ飲料をたっぷりとれば、次の尿は普段の色に戻ります。

 

 登山中の脱水症状は、暑い夏に限らず冬の登山でも起きます。30分から1時間ごとにスポーツ飲料を口にし、登りから下山までに1日2リットル飲んだ日は、脚がつりません。

 

 

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(補足)

芍薬甘草湯について

 漢方薬芍薬甘草湯は、脚がつった時に服用すれば短時間で効果を発揮するらしく、登山者の間でも携行する人が多いようです。

 

 登山の医療関係の机上講習会に参加しますと、必ずと言ってよいほど「芍薬甘草湯」についての質問が出ます。

 講師には、その漢方薬の即効性を評価する人がいる一方で、服用によって血液中のカリウム濃度が低下して不整脈につながることを恐れ、「登山では私は携行することをお勧めしません」という人もいます。

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 メーカー各社のHPで「よくある質問」をみますと、次の記載がありました。

 

小林製薬

(質問)高齢者の方も服用できますか?

(答え)高齢者の方も服用していただけます。しかしながら、高齢者の方は、一般的に体の生理機能が低下していらっしゃると考えられますので、薬の作用が強く出るおそれがあります。高齢者の方は一度医師、薬剤師または登録販売者にご相談のうえ、服用されることをお勧めします。

(質問)症状のない間でも予防的に服用し続ける医薬品ですか?

(答え)症状のある時のみ、服用することをお勧めいたします。

 

ツムラ

(質問)甘草が含まれていると副作用が起こると聞きましたが、飲まない方が良いですか。

(答え)甘草の副作用であるむくみなどに対するご注意必要ですが、どなたにでも出る症状ではありません。また、急に起こる症状ではありませんので、まずはご服用いただいて、万が一むくみや手足のだるさなどの違和感が出るようなら、服用を止めて主治医にご相談ください。

 

クラシエ

(質問)こむら返りが起こったときの「芍薬甘草湯」は、長期的にのんでも大丈夫でしょうか?

(答え)「芍薬甘草湯」は、こむら返りなどの症状が起こったときに服用し、痛みが治まったら服用を中止してください。

 

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 国際山岳医の大城和恵医師のコメント

 大城医師は2016年8月10日付の「デジタル毎日」で次のようにコメントしています。

「最近、中高年の女性の間で はやっている漢方薬芍薬甘草湯。脚がつったら飲みなさい、と周囲に分け与えている人もいますが、登山中に脚がつるのは、脱水、つまり塩分と水分が不足しているからです。一時的に症状を抑えるために薬を飲んでも、根本的な塩分と水分の不足を解決しなければ、ひどい熱中症に発展し、“疲労”遭難につながります。(中略)登山中は体重や天候、登山のスピードなどで異なりますが、一般的な目安として30分おきに200mlを飲んでください。以前、講演の際に、そんなに飲めないのではないですか?と質問を受けました。いえいえ、飲めます。だって、私も友人たちも必ずやっているからです」

 

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 登山での脚のつりは、薬に頼るのではなく、脱水対策をきちんとすることが大切でしょう。