氷点下20度で凍てついた木(フィンランド・サーリセルカで)2017年11月22日撮影
「真っ白になったねえ」
「そちらはフサフサしていてうらやましいなあ。まだ、山に行ってるの?」
「行ってる。それより最近、白いのが目立ってきて、イヤんなっちゃうよ」
「雪」の話ではない。アタマの毛の話だ。旧友と久しぶりに出会うと、だいたいこんな会話になる。
頭髪はどうして“白く”なるんだろう。
髪の毛と、その周りの構造
髪の毛の根元は丸く膨らんでいます。その膨らんだ部分には、3種類の細胞があります。
「毛乳頭(もうにゅうとう)」、「毛母(もうぼ)細胞」、「メラノサイト」です。
細胞分裂で生まれる髪の毛
髪の毛の根元近くには毛細血管が通っていて、血流に乗って運ばれてくる酸素と栄養素をすい上げるのが「毛乳頭」の仕事。
その毛乳頭を包み込むように隣にあるのが「毛母細胞」と「メラノサイト」。
毛母細胞は、毛乳頭から酸素と栄養素を受け取り、細胞分裂を繰り返すことで「髪の毛」をつくり出します。
面白いのは(??)、毛母細胞が産み出す髪の毛は、もともとは“色がない”、ということです。色がないのです。
メラノサイトは「メラニン」と呼ばれる黒や褐色の色素を産生する細胞。色素細胞とか、メラニン細胞と呼ぶ研究者もいます。
毛母細胞でつくられた色のない髪の毛は、毛根で成長する過程で隣のメラノサイトからメラニン色素を取り込むことによって、人間が目にする“黒髪”となり、頭皮から姿を見せることになります。
白髪は「白」ではなく、実は「透明」
ところが、“何らかの事情”でメラニン色素が、毛母細胞でつくられたばかりの髪の毛に届かなくなると、髪が色を失って“白っぽく”みえます。「白」ではなく、白っぽく、です。
白っぽくみえるわけは、光の乱反射で人間の目に白っぽく見えるだけで、ホントは色のない透明です。これが世間で「白髪」といわれる現象の正体です。
で、メラニン色素が髪の毛に流れていかなくなる“何らかの事情”というのは……
白髪の原因
考えられるのは、
①メラノサイトの機能の低下で、細胞がメラニン色素をつくれなくなってしまう
②メラノサイトが死滅してしまう
ということ想定されますが、その引き金となるのは、
①加齢
②遺伝・体質
③ストレス
しかし、だれもが想像するように軽い気持ちで“加齢”といっても、トシをとることによってどのような反応が体内で起こり、メラノサイトの劣化につながるのか、美容関係に詳しい大手メーカーの「資生堂」「花王」のサイトをのぞいても、「詳しいメカニズムは分かっていない」ということです。
「花王」のホームページによると、30代半ば以降、白髪のある人が急激に増えるそうです。ただ、時期や量には個人差があるとも。2014年5月に首都圏在住の12歳から69歳までの女性643人を対象にした調査から分かったそうです。
こんな興味深い情報も、「花王」のサイトにありました。
問い)ストレスで白髪が増えるってほんと?
答え)強いストレスやショックがあると、体が緊張状態になり、毛細血管が縮小して血行が悪くなることが知られています。その影響が頭皮の血行に及ぶと、毛根やメラノサイトの働きが阻害され、白髪や円形脱毛症、薄毛といった毛髪のトラブルにつながると考えられています。
ただ、一夜にして髪が真っ白になるということはありません。というのも、頭皮の外に、髪がはえ出てきた時には、髪の色は既に決まっており、その後、変わることはないからです。
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要するに、ストレスをためずに、開き直ってのびのびと過ごせば、白髪とは親しくならずに済むかもしれない、ということでしょうか。