北穂高岳で味わう至福のひと時

穂高連峰や丹沢の20年以上の山歩きで感じたこと、考えたことを備忘録も兼ねて書いています。

ニュース深掘り~「水」の確保に必要 「防災行政無線の受信機」を各戸に

 

 千葉県で台風15号による大規模停電と断水が続いています。

 ペットボトル入りの水を配給している市町村もありますが、水がどこで配られているのか、生きていくうえで必要な物資の情報が住民に伝わっていないようです。

 NHKテレビで支援物資を受け取れる場所をテロップで流しても、住民の大多数は停電で、テレビをみていません。携帯電話もつながりにくい状態です。

 

 平穏な首都・東京から車でわずか1、2時間の位置にある市町村で、現実に起きている事態です。

 

 市町村には「防災行政無線」という無線通信システムがあります。

 それぞれの家に「戸別受信機」を設け、命にかかわる情報が確実に早く伝わるよう県や市町村は前向きに真剣に検討してもらいたいものです

 

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 大事なのは携帯電話と防災行政無線

 

 災害時において一番大事なのは、「情報」です。情報入手の手段は、テレビ、新聞、インターネットなどありますが、身近な情報を得るには「携帯電話」であり「防災行政無線」ではないでしょうか。

 

 ただ、携帯電話も防災行政無線も完ぺきではありません。順にみていきます。

 

携帯電話の仕組み

 スマホやガラケーからの電話は、発射された電波が直接、相手の電話に届いているわけではありません。

 電波は、数キロ以内にある「基地局」というアンテナ(送受信機)を備えた鉄塔やビルの屋上に届き、それから先は電気信号や光信号となって、光ファイバーなどの有線ケーブルを伝って、通話相手近くの鉄塔に届きます。

 さらに先は、再び電波になって相手の携帯電話に届き、通話が成立します。

 

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 携帯電話のトラブル

 ところが、今回の台風では、あちこちの携帯電話の「基地局」に電気を提供している東京電力の送電ケーブルが、倒木によって各地で断ち切られました。

 中継局は電気がないと、そこから先には情報を載せた電気信号を送れません。ですから、ここで通信が途絶えるわけです。

 

 携帯電話各社はふだんから、災害の時のために中継局の局舎に、「3時間以上使える蓄電池」と「非常用の発電機」、それに発電機を動かすための燃料である「軽油」を一定量、備えています。

 

 しかし、今回、千葉県南房総市の場合、台風上陸翌日の9月10日に携帯電話の基地局は非常用電源で機能しましたが、11日以降は発電機の燃料切れで機能停止。

 携帯各社は東京近郊から発電機を積んだ移動電源車や、アンテナを積んだ移動基地局車を応急措置として送り込みました。しかし、車の台数に限りがあって、市役所周辺のみ、電波がつながったということです。

 

 災害発生直後には、大勢の人携帯電話を使うために通信ネットワークの処理能力を超え、つながらない状態になります。

 東電による電力復旧工事を忍耐強く待つしかありません。

 

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 見直されるべき「防災行政無線」

 こうした中で見直されてよいのが、防災行政無線ではないでしょうか。

 

 防災行政無線は、台風などで災害が発生しそうな場合に、市町村が避難勧告などの情報を速やかに住民に伝えるための道具です。公民館や各地区の公園など屋外に設けられ、スピーカーから大音量の音声が流れます。

 

 ただ、屋外スピーカーは、豪雨の時には音がかき消されますし、昨今の住宅は密閉度が高いために、窓を閉め切っていると聞こえないことがあります。

 このため、戸別受信機という小型の機械が開発され、家の中で聞く装置を設けている世帯もあります。

 

台風15号ではトラブルも

  ただ、この防災行政無線も停電の場合は、非常用電源が仕事をしますが、そのためには電気を起こす燃料(軽油)がないと、機能しません。

 

 NHKニュースによりますと、千葉県南房総市では9月11日、山の上にある防災行政無線の「中継局」を動かすための発電装置の燃料が途切れ、機能マヒに陥りました。

 倒木が多いため、市職員が車ではなく歩いて、中継局に向かいました。

 13日夜には、南房総市のホームページで、「防災行政無線の屋外放送ができなくなっています。自衛隊の協力で復旧作業を進めていますが、停電が解消されるまで復旧できない見通しです。屋内の放送(戸別受信機)は行っています」と、「緊急情報」を発しました。

 

 また、これもNHKの14日朝のニュースですが、千葉県多古町では、各家庭に町が貸し出している防災行政無線の戸別受信機の電池が切れてしまい、電池の交換の仕方が分からないという住民が、戸別受信機を持って役場を訪れています。

 住民は「スマホも使えないから、生活情報はまず防災行政無線からだ」とか、「戸別受信機がないと、町からの情報が全く入ってこない。頼りにしています」などの声が聞かれました。

 

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フィンランド北部のサーリセルカ  (いずれも2017年11月下旬撮影)

 

「戸別受信機」の整備を

 総務省が全国の市区町村1741団体を対象に、戸別受信機の現状をアンケート調査した結果の報告があります。

 調査時点は2017年4月、回答率は1275団体・約73%

 

 それによりますと、防災行政無線を整備している団体は、1034団体(約81%)。未整備が242団体(約19%)。

 

 防災行政無線を整備している1034団体のうち、戸別受信機を全戸配布しているのが265団体、一部配布が570団体、配布ナシが199団体でした。

 

 1台あたりの戸別受信機の価格が高いうえ、電波の受信状況が悪い場合には、屋外にアンテナを設ける必要があり、費用がかさむ……こんな理由で自治体は導入に二の足を踏んでいるようです。

 

 しかし、「水」をはじめとした日々の暮らしに必要な物資がどこに行けばもらえるのか、それを知るには防災行政無線の戸別受信機はたいへん便利だと考えます。

 行政は、住民の命を守るために、税金の使い道をいま一度考え、一歩踏み込んで欲しいと思います。