北穂高岳で味わう至福のひと時

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ニュース深掘り~新型コロナ~「日本で感染拡大の可能性」と著名な尾身茂医師が講演

 新型コロナウイルスの勢いが衰えません。いったい、どういうことになるのでしょうか・・・。

 

 今から17年前の2003年に、別の新型コロナウイルス「サーズ」(SARS重症急性呼吸器症候群が発生し、中国をはじめ32の国と地域で8000人以上の感染者が出ました。

 

 その時、WHO(世界保健機関)西太平洋地域事務局長として対策の陣頭指揮を執った尾身茂医師(70)が、2月13日午後、東京都千代田区の日本記者クラブで、「新型コロナウイルスに対して我が国が取るべき対策(私案)」と題して講演しました。

 

 尾身医師の現在の肩書は、「独立行政法人 地域医療機能推進機構理事長」「名誉世界保健機関(WHO)西太平洋事務局長」です。

 

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講演した尾身茂医師

 講演のポイントは

日本国内での感染が既に「地域」で進行している

今回のウイルスは高齢者や基礎疾患のある人を重症にする

今後、感染が拡大する可能性がある

感染拡大に備えて、一般病院も感染症を診療できる体制を今から準備することーー

などです。

 

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日本記者クラブの会見場

 

 尾身医師の警告を裏付けるように、その夜、びっくりするニュースが飛び込んできました。

 

タクシー内や病院で感染広がる?

「東京都内で、70代のタクシー運転手の男性が感染していることが判明した」

「そのタクシー運転手の義母で、神奈川県内に住む80代の女性が死亡した。新型コロナウイルスでの国内初の死者」

和歌山県内の病院に勤務する50代の男性外科医が感染」

「千葉県内に住む20代の男性も感染していることが分かった」

というニュースです。

 いずれも中国への渡航歴はないようです。

 

 

 国内で、すでにジワジワと“人から人”への感染が進んでいるのは確実です。

 

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モニターに映し出された講演テーマ

 

以下、尾身茂医師の≪講演要旨≫です。

【現在(2月13日)の日本の状況】

・中国の武漢での第一例感染者の検出は、昨年12月初めだった。それ以前にも多くの感染者がいて、その後も増加した。武漢の封鎖は1月23日。日本が本格的な対策を始めたのは1月10日。しかし、それより前に、既に武漢から多数の来日者がある。つまり感染者が日本に入っていた可能性が高い

 

・しかも、これまでは症例の定義として、「武漢華北省からの渡航者」と、既に発症した渡航者の「接触者」のみを対象としていたために、多くの感染者を見落とした可能性がある

 さらに、症状は出ないがウイルスに感染している人や、潜伏期間中の人も感染に関与しているわけで、公表されている感染者数の背後で、感染が進行している可能性があると判断すべきだ。

 

・今回のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」での感染状況をみると、人が密集した閉鎖空間であって、感染が広がりやすい。直近のシンガポールや香港の情報では、渡航歴のない人から次々と感染者が出ている。

以上のことから判断できることは、軽症者を含む感染が、少なくとも散発的に拡大している、ということ。「武漢」と無関係の感染者がいずれ日本の各地域で報告されるようになる可能性が高い。

 

感染の発生段階は「国内感染早期」「感染拡大期」「収束」と分けているがこれからの我が国の対策は、「軽症者を含む感染が既に始まっており国内感染早期であると見なして対処すべきだ。

 

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会場には、現役の新聞・放送記者、OBのジャーナリストらが多数

 

【国内感染早期の対策】

今は「国内感染早期」という段階であり、この時期の対策の目的は、感染拡大の抑制だ。マスコミの記事にはあまり出てこないが重症感染者の早期発見と、残念ながら死亡する方が出てくる可能性があるが、死亡者数を最小限にすることが大切

医療体制については、感染者は感染症指定病院で診療を受けるが、感染拡大期に備えて、指定病院以外の一般病院でも診療できる体制を今から準備する必要がある

 

 

【今回の新型肺炎の症状の特徴】

・国内の複数の感染症例から分かったことが、いくつかある。

・肺炎症状が出現する前に、軽微な発熱、せきなど感冒のような症状が数日から1週間程度続く。

倦怠感(=だるさ)も特徴の一つのようだ。

・検査では、リンパ球の減少、X線では見つかりにくいがCT検査では軽微な肺炎が検出されることもあり、細菌性の肺炎とは鑑別できる。

 

 

【水際作戦は困難】

・成田空港で、新型コロナウイルスの国内浸入を防ぐための検疫を強めるなど、政府は水際作戦を展開している。しかし、このウイルスによる肺炎の特徴は、潜伏期間が長いうえ熱が低いなど軽症者が多く、中には無症状感染者もいる。したがって水際における完全な封じ込めは極めて困難。しかも、「地域」での感染が進行していると判断される。水際作戦をしばらく継続するにしても、徐々に国内の感染対策にシフトする時期に来たと思う。

 

 

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【現時点(2月13日)で、国民に伝えるべきメッセージ】

政府や医療専門家が、今の時点で国民に伝えるべきことは次のことだ。

 

新型コロナウイルス肺炎の感染は、ほとんどが飛沫感染接触感染だということ。空気感染の可能性は極めて低い。

・潜伏期間は、人によって差があり、無症状の人もいる。だから、国内の感染者と、感染ルートが追跡できていない。このため日本国内でも軽症者を含む感染が広がっている可能性がある。

・現在の状況は、国内における感染の早期、と国や我々専門家は判断していることを一般の人に伝えることが重要だ。

 

・今回のウイルスは、高齢者、「基礎疾患」(※)を持っている人を中心に、一部重症化する。しかし、多くの人は軽症である。

  ※(注)基礎疾患=慢性呼吸器疾患、慢性心疾患(高血圧を除く)、慢性腎疾患、慢性肝疾患(慢性肝炎を除く)、神経疾患・神経筋疾患、血液疾患、糖尿病、疾患や治療に伴う免疫抑制状態、小児科領域の慢性疾患の9つに分類された基本的な疾患のこと

・発熱、せきなどで発病後、数日を経ても熱が下がらないとかせきや倦怠感が続くとか、息が荒い、早い、苦しい、などの症状は、「肺炎」を示す黄色信号であり、早めの受診が必要だ。そして、渡航歴の有無にかかわらず、高熱や呼吸器症状があれば、相談センターに相談すること。

 

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【これからの見通し】

・ワクチンの開発については、我が国をはじめ国際社会が努力を始めている。しかし、今回の流行を抑えるために間に合わない可能性が高い。

 

・クルーズ船の乗客は、感染リスクが高い状態に置かれており、このまま留めておくことは感染対策上も倫理的にも問題がある。順次速やかにPCR検査(遺伝子検査)を実施のうえ、下船させること。

 

・日本でも感染拡大が起こる可能性がある。しかし、2009年の新型インフルエンザでは、国、地方自治体、医療界、国民がそれぞれの役割を果たした結果、死亡率は世界で圧倒的に低かった。今回もオールジャパンでやるべきことを確実に行えば、死亡率を極力抑えることは可能だ。