北穂高岳で味わう至福のひと時

コンパクトデジカメ写真を使って趣味の登山のこと、海外旅行のこと、わが歩みなどを地味に備忘録として書いております。

ニュース深掘り~新型コロナ~「専門家会議」の岡部信彦さんに聞く

 新聞やテレビの記者、OBでつくる日本記者クラブが2020年3月10日、政府の「専門家会議」構成員の1人、岡部信彦さんを東京都千代田区のクラブに招いて、新しいタイプのコロナウイルスについての「勉強会」を開きました。

 

f:id:alps6717:20200310170217j:plain

医師の岡部信彦さん

川崎市健康安全研究所の所長

 岡部さんは、感染症対策が専門の医師で、2009年に新型インフルエンザが流行した時は、国立感染研究所で対応に当たりました。

 今は、川崎市健康安全研究所の所長という肩書です。

 

 

≪一斉休校≫に質疑が集中・・・・・≫

多くの質問者が、世の中を混乱に陥れている安倍首相による全国公立小、中高校の一斉休校要請――これは首相が首相秘書官の発案を受け入れて政治決断したと伝えられていますが、この一斉休校要請について「効果」がどの程度あるのか聞きました。

 岡部さんは、専門家会議はそんなことはひとことも言っていない、とか、自分が提案したものではないと説明。これには会場から、医者の集団として科学的根拠に基づいた提言を政府に積極的にして欲しい、という、堅苦しい(?)記者会見ではなく”勉強会”ならではの「要望」が出るありさまでした。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 勉強会ではまず、岡部さんがスライドを使って、新型のコロナウイルスについて1時間説明しました。(以下、抜粋)

 

f:id:alps6717:20200312085015j:plain

2009年の新型インフルエンザ対策総括会議の報告書

(岡部医師の解説)

「2009年に発生した新型インフルエンザ対策の反省を踏まえて、われわれ専門家会議は翌年、厚生労働省にいくつかの提言をしました。その中で――

地域の状況に応じた対策をする必要があるので、全部一律ではなく、地域の状況に応じて判断を行うこと、という項目を入れましたが、

あの反省が(今回の政府の新型コロナウイルス対策では)生きていなかったなあ、と極めて、極めて残念な寂しい思いがしています

 

 

f:id:alps6717:20200312085137j:plain

1人の感染者が生み出した2次感染者数(2月26日時点の国内発生110例の分析結果)

 

(岡部医師の解説)

「8割は他人にうつしていない。これも分かってきた。でも、何人かにうつした人を見ると、スポーツジムとか屋形船になったり。こういう場所というと、そこで仕事をしている人たちが不利になるので、どうしようかというのはあったんですが、感染の拡大の広さを見ると事例を挙げないといけないということになりました。共通点は、①換気が不十分な密閉空間②多くの人が密集している場所③近距離で会話したり、声を出している場所、という3つの条件が重なっている場所です」

 

 

f:id:alps6717:20200312085159j:plain

感染症予防の基本:感染経路の遮断

 

(岡部医師の解説)

マスクは感染源の人が着けてくれれば、一番いい。感染経路は、飛沫感染接触感染と空気感染があります。空気感染するのは限られた病気で、結核などです。もし今の流行が空気感染で広がるような病気だったら、あっという間に広がっていくだろうと我々は考察している。(だから、今は空気感染していない)」

 

 

f:id:alps6717:20200312085215j:plain

コロナウイルス感染症に対する治療

(岡部医師の解説)

「現時点では、新しい薬の開発は無理ですが、既存の薬で何とかならないかと考えています。HIVの治療薬やマラリアの薬、抗インフルエンザ薬などありますが、それぞれ副作用を考慮して使うわけです」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

続いて、質疑が30分――

 

f:id:alps6717:20200310170116j:plain

勉強会の会場

※(問)会場からの質問 (答え)岡部医師の回答

 

(問)政府の政策をどう受け止め、今後の対策はどうあるべきかと考えますか?

(答え)今のコロナウイルスは注目を浴びていますが、日本では大流行ではありませんね。たとえ話をすれば、丁寧にやっていた庭に雑草が飛んできて、丁寧に摘んで数も分かっている時に、ブルドーザーを持ち出すかどうかの違いだと思います。丁寧にやっていて、そのうち茂ってくるとなると、その中から特に悪いものを引っ張り出さなくちゃならない。今はそういう段階である、と。北海道で流行している時に、沖縄の離れ小島の人から連絡があったんですが、”ウチは何にもないのに小学校を休むの?と。「全国」と言ったら全部含まれちゃうんですね。柔軟にやらなくちゃいけないんですが。

 

 

(問)韓国は積極的にウイルス検査をして封じ込めようとしていると思いますが、検査をすれば封じ込めるとお考えですか?

(答え)日本ではインフルエンザでは90%の人が熱が出ると検査を受けますので検査に重きを置くのですが、インフルエンザですら「陽性」に出ないとか、インフルエンザの症状が出ていないけれどもインフルエンザウイルスが「陽性」に出るという、グレーゾーンがいっぱいある。その人が「陰性」だったから大丈夫とは、医学的には言い切れない。その、いい加減さを知らなくちゃいけないんです。検査の限界の部分ですね。心配だという人も含めて全部検査をやるということは不可能なので、症状のある人が検査の対象ではないかということを申し上げています」

 

f:id:alps6717:20200310171546j:plain

質問に答える岡部医師

 

(問)小学校の休校に、どれくらい意味があると考えますか?子供から大人への感染は、ないのではないですか?

(答え)「その(=休校の)効果はどんなもんかは、やった人に聞かないと分からないです。私は答えられないです(苦笑)」

「最近のレポートでは、家族内感染はあるんだという報告は出てきています。ただ、家庭の中ですから子供にうつるが、子供は軽いというレポートです。学校閉鎖は効果がないことはないと思う。それなりの一定の効果はあるので、そう考えた時に、そのバランスとして、あれだけの子供たちが休んだり、子供たちだけでなくいろんな影響が外に出るんだけれども、それを犠牲にしても学校を抑えるんだという強い意思は、それはそれとして決してマイナスではないと思う。ただ、バランス感覚をどこで落としどころを見つけるかということだと思います。私はその翌日から、学校閉鎖は自分として提案したものではない、とお伝えしましたけど」

 

 

(問)岡部さんのような専門家は、“科学的には過剰な自粛、休校は意味がない”ということを明快に言う機会を設けて発信しないと、過剰で無意味な対応が続くと思う。やっていただけないものでしょうか?

(答え)「専門家会議は決して、大相撲をやめてくださいとか、プロ野球はやめてくださいということは、ひとことも言っていません。身近なところで人が集まるのはクラスターとして起こりやすいから、これはやめた方がいい」

 

 

f:id:alps6717:20200310165115j:plain

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

◆参考; 厚生労働省のHPからの引用

新型コロナウイルスに関するWHO・中国合同調査団 報告書

2020年2月28日にWHOに提出され、公表されたもの

子供関連部分抜粋・仮訳

【メンバー及び作業の方法】

合同ミッションは、中国、ドイツ、日本、韓国、ナイジェリア、ロシア、シンガポール、米国、WHOの専門家25人で構成。うち中国人12人、日本人は1人。

2月中旬の9日間にわたり、武漢や北京で政府関係者、医療関係者、科学者らと議論した。

 

【主な調査結果】

▼子供

18歳以下の個人に関するデータでは、罹患率が比較的低く、すべての報告症例の「2.4%」だ。武漢市では、検体を検査したうち、2019年11月から2020年1月の第2週までに「陽性」となった例はなかった。

手元のデータからは、まだ血清学的調査の結果がないことからも、子供の感染の程度、子供が感染に果たす役割、そして子供の方が感受性が低いのか、全般に症状が軽いのか判断することは不可能である。

合同ミッションは子供の感染者について、大部分が家庭内の大人からの感染であることを認識した。子供から大人への感染は確認されていないことは、指摘するに値する。

 

▼症状・重症度

子供での発症は比較的まれなようであり、19歳未満の個人で報告された全症例のうち、約2.4%で、多くが軽い症状だ。

19歳未満のうち、重症化したのは「2.5%」、重篤な症例は「0.2%」と、非常に少ない割合になっている。