北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍の北アルプスに登っていたころの写真記録、国内外の旅行、反戦平和への思いなどを備忘録として載せています。

富士山登山道の落雷で死者が出た時、近くにいた(2008年8月9日)

 富士山頂で見た発達する積乱雲2008年8月9日午後0時36分撮影

 

 

 大好きな登山ですが、山で遭遇するはこわいですよ。

 富士山には、静岡市に住んでいた8年間に11回、登りました。いずれも日帰りです。

 こわい思いをしたのは、初めて登った2008年8月9日です。雷鳴の中を駆け降りている時、「ひょっとして落雷で死ぬかもしれないな」と一瞬思いました。

 山で雷に遭ったら「山小屋」に避難したらいい、なんてネットに書く人がいますが、富士山では山小屋に入れない、あるいは入れてもらえないケースがあったのです。

 その実体験の記録です。

 

 

目次

 

 

 

初めて山頂に立った日

 

 2008年8月9日は、生まれて初めて富士山の頂上に立った日です。

 

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 午前6時55分富士宮ルートの出発点となる富士宮口5合目静岡県富士宮市)をスタートして、会社の同僚と2人でピークを目指しました。

 

 

 

 

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午前7時11分撮影

6合目の山小屋2軒。

 

午前7時27分撮影

 

午前7時49分撮影

 

午前7時51分撮影

新7合目・御来光山荘。

 

午前8時5分撮影

 

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午前9時1分撮影

 

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午前9時9分撮影

8合目の山小屋「池田館」に到着。標高は3250㍍

 

午前9時25分撮影

 

午前9時36分撮影

 

午前9時38分撮影

 

午前9時48分撮影
標高3460㍍の9合目・万年雪山荘。

 

午前9時55分撮影

雲が気になる・・・・

 

 

「雹(ヒョウ)」が降ってきた!

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白い粒!

午前10時9分、突然、ポタポタと大粒の氷のかたまりが足元に落ちてきました。土の上で跳ねたり転がっています。直径は5ミリ以上。ヒョウ(雹)でした。びっくりしました。(あわてて撮ったので、ピンボケ・・・)

 

 

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午前10時12分撮影

空を見ると、積乱雲がモクモクとあちこちから発生し始めていました。

 ヒョウは、あの積乱雲の中で上昇や下降を繰り返すうちに大きくなって、重くなって落ちてきます。

 

 

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午前10時12分撮影

 

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午前10時12分撮影

大急ぎでカッパを子どもに着せるお母さん。

 

午前10時13分撮影

まだ先は長い。

 

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午前10時24分撮影

足元が白くなってきました。

 

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午前10時37分撮影

「積乱雲」がまた見えた!

 

午前10時53分撮影

青空が広がっているんですがねえ。

 

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午前10時53分撮影

富士山頂より高く伸びている雲。

 

 「これはちょっと、まずいねえ」「ええ・・・」などと同僚と言葉を交わしたものの、すぐ下山するという選択肢はなく、山頂を目指して進みました。

 

 

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午前11時10分撮影

富士山頂奥宮に着きました。

 

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午前11時26分撮影

剣ヶ峰のすぐそばまで登ってきましたが、立ち上る積乱雲が気になります。

 

 

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急な斜面を登りきったところが、標高3776メートル剣ヶ峰という地点で、山頂でもあります。

 かつて富士山測候所でしたが、2004年秋から無人

 

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午前11時38分撮影

足元の白いものは、先ほど降ったヒョウ

 

 

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午前11時39分撮影

富士山測候所跡。

 



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午前11時46分撮影

山頂の噴火口。

 

 

午前11時59分撮影
「剣ヶ峰」に登ってくる人たち。私たちは今から下山。

 

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午後0時6分撮影

雲がモクモク・・・。

 

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午後0時31分撮影

山頂の奥宮。すごい形の雲・・・。

 


 

突然、雷がゴロゴロ~~

 浅間大社奥宮の前まで戻って休憩していますと、すさまじい雷鳴とともに雨が降り始めました。午後1時ごろでした。

 ちょっとまずいなあ、ということで下山を始めました

 

≪この時刻からしばらく、写真ナシです。必死でしたので・・・≫

 

 

山小屋の中に入れない、避難できないという現実!

 ドタバタと登山道を駆け下り、九合目の「万年雪山荘」(標高3460㍍)まできましたが、小屋の前は人でいっぱい。小屋に張り付いている感じ。

 もっと下まで行こうということでさらに駆け降り、やっとの思いで八合目の「池田館」(標高3250㍍)にたどり着き、小屋の中に逃げ込もうと思いました。 ところが、入口はもとより、既に軒下まで人があふれていました。

 小屋の中をのぞき見ようとしても、先着の皆さんは微動だにせず、中の様子は分かりません。

 それでも雷の直撃を受けたくないので、入口から2mほど左のひさしの下のベンチに上がり、強引に背中で人と人の間にすき間を作って体をねじ込みました。同僚も同じです。

 雨は降り続き、雨具をパチパチたたきつけます。

 

 

 

稲妻が「縦」でなく「横」に走った!

 10分、20分と目を閉じて突っ立っていると、同僚が興奮した声で「稲妻が走りましたよ、右から左へ。アーッ、また、ほらほら」

 「エエーッ」と声を出して目を開けると、確かに稲妻が、“上から下へ”ではなく、真横に走っているではありませんか。

 普段、アスファルトの上で見るような、雲から地面に落ちる「落雷」ではなくて、積乱雲と積乱雲との間で稲妻が走る「雲間放電(うんかんほうでん)」という現象が起きていたのでした。

 カメラを構えるような、気持ちのゆとりはありませんでした。

 

 

 

落雷で死者が出た

「あっ、また走った」と稲妻を眺めているうちに、体がガタガタ震え始めました。雨具のフードを脱いでいたために首の後ろから背中に雨水が入ったためでした。

 雨と雷鳴は止みそうにありません。山小屋の中ならともかく、軒先だと危険だと思い、同僚に「こりゃ、あかんわ。走るぞ。一気に下まで」と声をかけて走り出しました。

 ゴロゴロと雷鳴は続き、時折、光ります。背中を丸めて駆け降りますが、なにせ、さえぎるものがないですからね。怖いですよ。

 6合目の山小屋の手前だったと思いますが、登山者同士が「落雷にあった人が小屋に担ぎ込まれたよ」と話しているのが耳に入りました。

 

 

翌日の新聞記事(概要)

 ★8月9日午後1時50分ごろ静岡県富士宮市富士山富士宮口登山道6合目と7合目の間で、東京都内の会社経営男性(52歳)が落雷の後、うつぶせに倒れているのを、別の登山グループが発見。呼び掛けても反応がないため、近くの新7合目の山小屋で借りた「担架」で5合目まで運んだ。そこから救急車で病院に搬送されたが、死亡が確認された。右肩から両ひざにかけてやけどの跡があり、県警富士宮署は落雷による感電死とみている。

 「毎日」によると、男性は妻と富士登山に来たが、妻は先に下山し、1人で山頂に向かっていた。

 

「読売」10日付社会面

 

「毎日」10日付社会面

 

「朝日」10日付東京版

 

「中日」10日付静岡版

 

 

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午後3時11分撮影

雷鳴の中を登ってくる人たち。

 

 

 

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午後3時29分撮影

富士宮口5合目の登山口。

 

ゴロゴロ雷が鳴る中を登っていく外国人ツアー

 すれ違う時に聞こえた言葉から、隣国からのツアーだと思いました。雷鳴がとどろく中を、これから上の山小屋を目指して登って行きました。宿泊の予約をしてあるんでしょうが、雷をなんとも思わないのでしょうか。

 

午後3時34分撮影

やっと富士宮口の「5合目」の登山口に戻りました

 

午後5時4分撮影
富士山の山肌が白く見えました

「富士山が初冠雪」と気象台が発表!

 甲府地方気象台はこの日(8月9日)、「富士山の初冠雪を観測した」と発表しました。これまでで一番早い記録でした。

 富士山の「初冠雪」は、山頂の1日の平均気温が年間を通して一番高くなった夏の日以降、甲府市内の甲府地方気象台から職員がみて、初めて山頂が「雪」や氷の粒の「あられ」(=直径5ミリ未満)、「みぞれ」(=直径5ミリ以上)などで覆われ、白く見える状態を言います。甲府地方気象台による「初冠雪」の平均値(=1991年~2020年)は「10月2日」です。

 

 

 

 

まとめ

 危険な富士登山でした。

 山では恐ろしいこともあります。事前に天気予報をチェックして、「雷注意報」が発令されるような状況なら、ぜったい登らないように・・・。

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