モスクワ「赤の広場」に建つ「聖ワシリー大聖堂」。(1990年1月16日撮影)
ソ連(正式名:ソビエト社会主義共和国連邦)が崩壊して30年。第一次世界大戦のさなかの1917年に、食糧難から労働者・農民・兵士が武装ほう起して帝政ロシアを倒したロシア革命をきっかけに、世界で初めてできた社会主義国でした。
ソ連が消滅する1年前の1990年1月13日から17日まで、自民党のソ連訪問団に同行して、日航特別機でモスクワに行きました。
あの時、15の共和国からできていたソ連が間もなく解体するなどとは想像もしていませんでした。ふつうの旅行者の感覚で撮影した当時のモスクワの写真をアップしました。
目次
モスクワ郊外のシェレメチェボ空港に着陸。ソ連最大級の空港でした。
(1990年1月13日撮影=現地時間)
自民党のソ連訪問団(団長・安倍晋太郎元幹事長)がソ連当局に案内された宿泊所は、オクチャブリホテル。
ソ連共産党中央委員会が経営している準迎賓館ともいえる施設でした。
オクチャブリは「10月」という意味で、ロシア暦で1917年10月にレーニン、トロツキーらの指導で起きたロシア革命をにおわせています。
オクチャブリホテルに開設されたプレスルームです。当時は、パソコンが普及する前の時代ですので、新聞原稿を送る手段は、固定電話。電話交換手のおばさんに東京の電話番号を伝えて、つないでもらいました。
凍てつくモスクワの街の様子
街の様子。真ん中の建物は「軍人パシュコフの家」という宮殿のような豪華な邸宅。
これは川ですが、水が凍っていました。
クレムリン
航空写真
1987年当時のクレムリンの航空写真 (ウィキペディアから引用)
建物の配置図
クレムリンの中の建物の配置図。隣(右上)は、赤の広場。 (1990年前後)
ここはクレムリンの入り口の1つです。秘密のベールに包まれている塀の中を、ちょっとのぞいてみようという、観光客の行列ができています。
スパスカヤ塔
スパスカヤ塔。赤の広場とクレムリンの中を結ぶ出入口。大時計があります。
クレムリンは「城塞」という意味で、総延長2235㍍の壁に囲まれています。
壁の内側には、「クレムリン大宮殿」や「ウスペンスキー大聖堂」「武器庫」「元老院(現・ロシア大統領府庁舎)」などの建物や鐘楼があります。
クレムリン大宮殿
クレムリン大宮殿です。皇帝が代々、住んだ建物です。
クレムリン大宮殿はクレムリンにある建物の中で最大規模です。黄色と白色を基調とした落ち着いたたたずまいです。
写真の奥に見えるのは、ボロヴィツカヤ塔という出入口。
現在は、プーチン・ロシア大統領が外国政府要人との会見にだけ使う「迎賓館」です。一般公開していないようです。
「クレムリン大宮殿」の中です。
額の絵は、アジ演説をするレーニンでしょうか。
クレムリン大宮殿の中には、いくつも豪華絢爛というべききらびやかなホールがありました。
大砲の皇帝
「大砲の皇帝」と呼ばれる大砲です。
大砲の口径は89㌢。芸術作品であって、一度も使われたことはないそうです。砲弾もダミーだそうです。
鐘の皇帝
「鐘の皇帝」という展示品です。重さ200トン。観光客が群がっていました。
ウスペンスキー大聖堂
ウスペンスキー大聖堂です。
元老院(ソ連共産党中央委員会)ビル
上の写真は、ソ連共産党中央委員会が入っている建物の、書記長会議室です。
写真は、ソ連最高会議議長(=最高指導者)でもあったゴルバチョフ・ソ連共産党書記長。
その後ろについているのは、ゴルバチョフの片腕、ヤコブレフ共産党政治局員です。
(1990年1月15日午前10時すぎ撮影=現地時間)
ゴルバチョフは、この翌年、失脚しました。
ゴルバチョフは自民党訪ソ団との会談で、翌1991年中の日本訪問を約束して、実際に1991年4月、ソ連の最高指導者として日本を訪れ、当時の海部俊樹首相と北方領土問題を討議しました。
ところがその4か月後の1991年8月、ソ連で共産党の守旧派によるクーデターが起こり、ゴルバチョフの排除を図りました。クーデターは失敗しましたが、ゴルバチョフはソ連共産党書記長のポストを辞任、ソ連共産党の解体も決めました。また、ソ連を構成していた15の共和国が次々と独立し、ソ連は1991年暮れに「崩壊」しました。
ソ連共産党中央委員会ビルは、党が消滅してしまったために名前は消え、「ロシア大統領府庁舎」という名前で世の中に出ています。
赤の広場
ここは「赤の広場」です。毎年5月9日にロシア軍の軍事パレードが行われます。第二次世界大戦で旧ソ連がナチス・ドイツを破った戦勝記念日のお祝い行事です。
写真は右から、高級デパート「グム百貨店」、正面が「国立歴史博物館」、その左下に低く小さく見えるのが「レーニン廟(びょう)」。レーニンの遺体が安置されています。左端はクレムリンの城壁です。
国立歴史博物館
国立歴史博物館。赤レンガで重厚な印象を受けます。
グム百貨店
グム百貨店。
聖ワシリー大聖堂
モスクワのシンボル、聖ワシリー大聖堂。タマネギの形をした不ぞろいの塔が面白い。
「ソ連」が崩壊したいま、宿泊したこの「オクチャブリホテル」がどうなっているのか・・・。
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ソ連みやげ。
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