北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍の北アルプスに登っていたころの写真記録、国内外の旅行、反戦平和への思いなどを備忘録として載せています。

北海道の旅~さっぽろ雪まつりに貨物列車が登場

 

目次

 

 

 

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   JR貨物が展示した貨物列車の大雪像 (2019年2月7日午後7時撮影)

 

 

 コロナ禍に見舞われる前の2019年2月7日さっぽろ雪まつりに行きました。

 

 

 札幌市の大通会場では、「ヘルシンキ大聖堂」「チコちゃん」といった名の知れた雪像がありましたが、これはいいねえ、と思ったのがJR貨物の貨物列車でした。

 

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 貨物列車がトンネルから出てくるシーンかな (午後3時撮影)

 

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                        (午後7時撮影)

 

 レッドベアという愛称のある機関車が、コンテナを引っ張ってトンネルから飛び出してくるシーンの雪像です。

 この白い芸術作品が、日没後には映画のスクリーンのように変身して、

プロジェクターという機材を使ってCG(コンピュータ・グラフィクス)を映し出します。

 プロジェクション・マッピングという技術です。

 

 

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   会場では、粉雪が舞う空に、青色でJR貨物の文字が現れます。続いて、赤いボディの貨物列車の機関車「レッドベア」が浮かび上がり、見る人を感動させます。

 

 タマネギ、ジャガイモ、乳牛の画像が次から次へと映し出されます。

 

 「ピーッ」という汽笛も響いて機関車が実際にトンネルから飛び出してくるように見える演出に、降雪も気にせず見入っていた観光客らから拍手が起きていました。

 

 

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 日本列島の地図も投影され、タマネギやジャガイモが鉄道で全国に届けられていることを宣伝していました。

 

 

 

JR貨物という会社の仕事は?

 

 ブースに立ち寄って、解説パネルを見ました。大筋、こんなふうに書いてありました。

 

「みなさんがスーパーで買っているジャガイモやタマネギは、もしかすると『レッドベア』が北海道の農家からお預かりして運んだ食材かもしれません」

「日本で唯一、全国ネットワークを持って生活に関連する物資の輸送を担っている貨物輸送会社が、私たちJR貨物です」

JR貨物の機関車は、コンテナを載せた貨車を引っ張って、北海道の大地や青函トンネルを今日も休まず走っています」

「コンテナの中身は見えませんが、北海道産のジャガイモの4割、タマネギの7割が全国に向けて鉄道で運ばれています」

「駅から駅はJR貨物、駅からお客さまへはトラック輸送と、鉄道とトラックが連携して荷物をお届けします」

 

 

 まあ、貨物列車が駅構内を通過する姿は見たことがありますが、貨物列車は意識しない存在です。

 でも、この展示で「貨物列車」のことが少し、分かったような気がします。

 

 

 

小樽で目にした過酷なJR北海道のシーン

 

 さっぽろ雪まつりを楽しんだ翌2月8日、小樽に行きました。小樽は初めてです。

 

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  JR小樽駅構内で、車両のそばで車両に付いた雪氷を点検している職員の姿を見た同行の“奥様”が、「この寒い中であんなつらい作業をしているんだよ。豪雪で車両故障は当たり前なんだから、政府がもっと経営面で支援すべきだよ」。

 

 

 

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  車両に付いている「雪氷」は、走行中に雪を巻き上げた結果、台車の周りに着くようです。

 

 走っている時に、氷のかたまりが線路に落ちると、地上のいろんな設備を壊したり、線路上の小石に当たると周りに飛び散る心配があります。だから、これをつついたり、熱湯で落としています。

 そんなことまでするのか、とあきれるとともに、人知れず地味にやっているんだな、と思った次第。

 

 

 

苦しいJR北海道の経営

 本業の鉄道事業は慢性的に「赤字」です。

 JR北海道という独立した会社を生き残らせるために、道内の赤字路線を廃線しようとしています。

 

 

 

国鉄分割の直接要因は借金

 JRは昔、国鉄(こくてつ)という組織でした。政府が100%出資していました。

 

 さまざまな要因から、結果的に37兆円の借金を抱えたために、

「地域の実情に即した効率的な経営形態に改める」として、

全国を6つの旅客会社に分割し、かつ全国1社の貨物会社を設立して、

「JR7社」が発足しました。国鉄の分割・民営化です。

1987年4月のことです。

 

 

 本州の3社は膨大な利益を出す一方で、JR北海道JR貨物は赤字続きで会社存続の危機にチョア工面しています。

 

 

中曽根首相は組合つぶしが目的と明言

 国鉄の改革に首相として政治生命をかけたのが、中曽根康弘首相です。

 彼は国鉄分割・民営化の狙いが国鉄労働運動の解体にあったことを、驚くことに公然と1996年12月30日号の雑誌AERAアエラのインタビューで語っているのです。

  「総評を崩壊させようと思ったからね。国労が崩壊すれば、総評も崩壊するということを明確に意識してやったわけです」。

 

 「総評」というのは「日本労働組合総評議会」のこと。「国労」は国鉄労働組合のこと。国労国鉄最大の労働組合で、当時の日本社会党の支持基盤でした。ストライキを打って要求を貫徹しようとする闘う組合でした。

 

 JR貨物の元会長だった人も、中曽根首相国鉄問題は基本的に財政問題ではない。労働問題である言っていた、と講演で話しています。

 

 実際、国鉄の分割民営化で労働組合側は完敗して、国労の力は衰え、国労が中軸だった総評も1989年に解散。ここで日本の労働運動というものは事実上、終わりました

 

 

 

廃線は避けて欲しい

 

 JR北海道はいま、コロナ禍で観光客やビジネス客が減り、人の動きが鈍くなったために、経営が厳しさを増しています。

 そこでJR北海道は、苦し紛れで営業路線の半分を「廃線」にして出費を減らそうとしているようです。

 

しかし、ですよ。

 

 鉄道というのは、そこで暮らす人にとっては生活の「足」です。病院に行くにも高校に行くにも、鉄道が必要な人が少なくないでしょう。

 

 JR北海道は、「利用者が少ない、あるいはいないから廃止」と短絡的に切り捨てるのはいかがなものか。

 

 政府はJR北海道に財政支援を続けています。でも、本来、国土のインフラ部分は「公益性」という観点から、「政府」(=国)が管理すべきではないでしょうか。「支援」ではありません。

 全国各地に国民が安心して移動できるネットワークというものは、国の責任で整備し管理するべきだと考えます。

 限られた国の予算を、何に使うか、という問題です。

 

 「廃線」はしないで欲しい。