北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍の北アルプスに登っていたころの写真記録、国内外の旅行、反戦平和への思いなどを備忘録として載せています。

コロナ禍~感染症を理由にした行動の自由の制限と日本国憲法

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  多摩川右岸(川崎市)の桜 (2021年4月8日撮影)

 

 

 

 新型コロナウイルスの感染が全国で急拡大し、政府は4月12日から1ヵ月の間、

東京都に「まん延防止等重点措置」を適用して、飲食店での感染対策を強めます。

「重点措置」実施区域はほかに、大阪府兵庫県宮城県京都府沖縄県ですが、もっと増えそうです。

 

 私の元勤務先は毎年OB会(食事なし)を5月にセットしていますが、不運にも昨年に続いて開催を見送らざるを得ない事態。お祝い対象の卒寿(90歳)を迎えた大先輩15人中7人が出席するとの返事をいただいているだけに、心底申し訳なく思っています。

 

 さて、コロナ禍で以前から気になっていたことが1つあります。それは、

総理大臣や知事が「不要不急の外出・移動の自粛を」と言っていることです。

ことは憲法の根幹に触れる重大な要請なのですが、感染の拡大防止という観点から大多数の方が当たり前と思い、警戒感がないことです。

 

 備忘録として、いま思うことを書きました。

 

 

外出自粛の要請に法的強制力はない

 

 菅首相は4月9日に、東京都などで「重点措置」を実施することを決めた後の会見で、適用期間中の行動について

「不要不急の移動というのは極力避けていただきたい」

都道府県間の移動について、極力自粛してほしい」

と話しました。

 

 

 小池百合子都知事は9日の会見で感染防止対策について次のように話しました。

「これまで以上の徹底した人流の抑制が最も重要な取り組みと考えます。まず、他の道府県との往来の抑制。都民の皆様、都県境を越える外出は自粛をお願いします。特に、感染力の強い変異株で、感染が拡大をしております大都市圏との往来は、お控えください。ゴールデンウィーク中の旅行も、すいません、延期してください。都内においても、外出は買い物など必要最小限なものにしてください。(中略)事業者の皆様方には、都県境を越える出張はお控えいただいて、オンラインの会議など、これを活用してください(以下略)」。

 

 質疑に移って、記者から、東京都に流入してくる人の抑制はどう考えているのか聞かれると、知事は

「そうですね、日本中から来られる方の抑制っていうのはなかなか難しいかと思いますけれども、今はまず、あの変異株がこのN501Yっていうのがでているところからの、地域からの訪問ということをお互いに往来を控えるというところにその意味が込められて、申し上げているということです」

と答えました。(注:以上、東京都のホームページから引用)

 

 

 

 総理大臣も知事も、国民に「お願い」するだけで、法律に基づいた強制ではありません。いってみれば行政指導のたぐいです。

 

 大事なことは、権力者による自由な行動に対する制限は、その目的のために行動を制限することが必要不可欠で、しかも範囲や期間も限定しなければいけません

 新型コロナウイルス感染予防のために「都県境を越える外出自粛要請」はどうなのか――。「不要不急の」と冠をつければ横やりは入らないと考えているのでしょう。

 

 総理大臣や知事から「外出しないで」「東京から外に出ないでね」といわれれば、無視できませんね。

 健康維持のため、デイパックを背負って人の少ない山にハイキングに行くにも、他人の目には「不要不急」と映るでしょうから、外に出るには度胸がいる世の中になりました。

 「不要不急」か「いま必要」かは、個々人が判断することであって、ひと様にあーだこーだと言われたくないですが。

 

 

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 多摩川右岸の土手に咲くカラシナという草花

 

 

日本国憲法は、こう書いている

 

 憲法では、「行動の自由」は保障されているんです。関連する条文を挙げておきます。

 

憲法第22条1項

 何人(なんぴと)も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

 

 これは自分がどこに住むのか、どこに行くのかについて自分の意思で決めることができるというものです。

 

憲法第13条

 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

憲法第21条1項

 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由、これを保障する。

 

 

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 ウコンという品種の桜。

 

 

NHK調査に見る国民の意識

 NHKが2021年1月15日にホームページで公開した世論調査結果があります。2020年11月から12月にかけて全国の18歳以上の3600人を対象に、郵送で実施。回収率64.8%。

 

 それによりますと、

感染症対策のため政府や自治体がとる措置について具体的に、『外出の制限』が許されるかどうか聞いたところ、

 

『許される』28%

『どちらかといえば許される』58%で、

合わせると86%が容認でした。

 

 

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 目に見えないウイルスへの恐怖から、お上の言うことはなんでも受け入れようという空気があるようです。

 

 戦時中のように、軍や政府の号令に無批判に従う・・・。協力しない人間は

非国民】として弾圧されていくような怖さをいま、感じます。

 知事が言うから「はい、分かりました」ではなく、説明に説得力があるかどうか、論理的かどうか、自分のアタマで考える必要があります。

 

 ウイルスはどんどん変異します。感染が深刻化する過程で、憲法が保障する行動の自由、集会の自由などの自由権が封じられてもしょうがないね、という風潮にならないか、気掛かりです。