ここが「雪の大谷」・・・・・2021年5月10日午前11時45分撮影
目次
祝いごとがあって富山県に大型連休明けの2021年5月8~10日に行きました。用事を済ませたあとは、チューリップを鑑賞したり海の幸を味わい、8年ぶりに雪の立山黒部アルペンルートを通り抜けて帰りました。
その記録を、
・残雪期の立山黒部アルペンルート・雪の大谷を歩く(上)
・残雪期の立山黒部アルペンルート・全行程スケッチ(下)
・富山県内プチ旅行
――の3回に分けてまとめました。
立山黒部アルペンルートの行程図——左側が立山方面、右側が扇沢方面
【立山黒部貫光㈱のパンフより】
高さ13メートルの雪壁「雪の大谷」は面白い
5月10日(月)朝、富山地方鉄道の電鉄富山駅でアルペンルートの切符をゲット。立山線終点の立山駅で下車しました。
ここからが立山黒部アルペンルートの旅の始まりです。
雪の大谷
富山県の立山と長野県の扇沢を結ぶ山岳道路「立山黒部アルペンルート」は、6つの乗り物を乗り継いで通過します。
ゴールデンウィークの時期の観光の目玉は、標高2450㍍の室堂(むろどう)というエリアにできる「雪の大谷」でしょうね。
雪の大谷とは?
雪の大谷というのは、観光の基地となる室堂ターミナルから立山駅方面の
バス道路両側にできる雪の壁のことです。大谷地区のわずか500㍍間です。
雪の大谷は1年中あるわけではなく、除雪後の4月15日から6月22日までに限って、立山高原バス道路にできる期間限定の観光スポットです。
壁の高さは、その年の降雪量にもよりますが、20メートル近くなった年もあるとのこと。ことしの「雪の大谷」の最大の高さは、4月15日時点の14メートル。
私が雪壁の間を歩いた5月10日は雪解けが進んで、「13メートル」ということでした。
雪壁の間を歩く【雪の大谷ウォーキング】
室堂ターミナルです。
室堂は標高が2450㍍で、立山(標高3015㍍)に登る時の登山口でもあります。
室堂近くの大谷という地点は、地形的に吹きだまりになっているため、積雪が多くなるとのことです。
室堂ターミナルから500㍍の区間の道路は、2車線のうち1車線は「車道」に、
もう1車線は観光客用の「歩道」になっています。
観光客はこの歩道を500㍍進むと、その先は1車線になっていて、歩行者は通行禁止です。(上の写真)
今年(2021年)限りのイベントも
雪の大谷は例年、2車線除雪してバスを通していますが、アルペンルートの全線開通50周年にあたる今年だけは、開業当初のように1車線だけ除雪し、その狭い道路をバスが通っていた「開業当初の雪の大谷」を再現しています。わずか50㍍という短い区間ですが。
「1車線」になる場所は、室堂ターミナルから立山駅方向に10分程度歩いた地点です。ここに立てば、そびえる狭い雪の壁の間から、大型バスがニューッと現れるシーンを見ることができます。
上の写真は、大型バスが立山駅から室堂ターミナルに向かって、「雪の大谷」の1車線部分に入る地点。 (5月10日午前11時、バスの中からの撮影)
右側は雪の壁。バスの中からの写真です。
雪壁の上の方を撮影。
1車線区間を抜けると、観光客が雪壁の間から出てきたバスを撮影していました。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
室堂ターミナルから「雪の大谷」の1車線部分まで歩いて行った時の景色は、以下のような感じでした。
室堂ターミナルです。
ここから歩き始めます。
見えました。バスが。
雪壁の間から、バスが姿を見せたシーンです。
除雪はどのようにするの?
立山黒部アルペンルートの開通は、毎年4月中旬です。
「除雪」は1月下旬から始めるようです。
一体どのようにして、だだっ広い雪原から道路の位置を見つけ出して除雪できるのだろうか。
GPSが威力を発揮しているようです。
GPSというのは、地球を回る24個の人工衛星から発信される電波を利用して、地球上の自分の位置を地図上で知ることができる仕組みです。
ブルドーザーにGPSの受信機を取り付けて、自分の位置を確認しながら道路の除雪をしているそうです。
富山県道路公社のホームページに、除雪方法が書かれていました。それをみますと、
一般的には、GPSを搭載したブルドーザーが、人工衛星から電波を受信して道路のセンターラインの位置を把握し、センターラインの位置の雪をブルドーザーで除いて、道筋をつけていきます。
次に、ブルドーザーで1車線を掘り出し、路面付近はロータリー除雪車で雪を飛ばして1車線の除雪は完了です。
続いて、2車線に拡幅するためバックホウという油圧ショベルで両側の雪壁を崩し、それをロータリー除雪車が雪壁を越えて吹き飛ばし、拡幅作業は完了します。
上の写真は、富山県道路公社のホームページから引用。
積雪量が多い「雪の大谷」の区間の除雪方法は特別です。
GPSを活用した除雪は一般の道路部分と同じですが、除雪の途中でロータリー除雪車では壁が高すぎて吹き飛ばせなくなります。
そこからは、上の写真のように、ブルドーザーを2台並走させ、雪面をカンナではぎ取るように掘り下げていくそうです。