至福のひと時・・・北アルプス・北穂高岳の北穂高小屋から槍ヶ岳をながめる
(2019年8月10日撮影)
目次
心臓は電気信号で動いている
「心臓」は血液を送り出して、全身に循環させるポンプですね。血液には酸素や栄養素が含まれていて、細胞や組織に届いている・・・。そこまではなんとかわかるけど、どういう仕掛けで血が回っているのか、どういうルートで広がっているのか・・・。
ちょっと気になって調べると、どうやら、電気信号が心臓の中を走っていて、収縮と拡張を一生繰り返しているらしい。
「電気信号」といわれても、戸惑っちゃいますが。
参考にした本は、『すばらしい人体』(ダイヤモンド社、2021年発行。
筆者は、山本健人医師。「外科医けいゆう」というペンネームでTwitterなんかに情報を発信しているらしい。
山本医師は、こう書いています。
「昔から人類は、心臓がなぜ絶えず動き続けられるのか、不思議で仕方がなかったようである。心臓がポンプのような機能を持ち、血液を全身に循環させているという事実が発見されたのは17世紀以降である。」と。
そして、心臓のしくみを、次のように説明してくれます。(ちょっと、長いです)
「心臓は筋肉でできている。この筋肉を『心筋』という。心筋は、腕や足の筋肉と違って、自力でコントロールできない。」「心臓の拍動(注:収縮と拡張の繰り返し)は、心臓の壁の中を電気信号が指令として走ることで起こる。この電気信号の経路を刺激伝導系と呼ぶ。」
「心臓は1つの大きな袋ではなく、右心房・右心室・左心房・左心室という4つの部屋でできている。それぞれの部屋が適切なタイミングで、整然と、秩序を保って『収縮』と『拡張』という営みを繰り返しているのだ。」
「いわゆる『社長』にあたるのが『洞結節(どうけっせつ)』である。最初に指示を出す部位であり、ここが『ペースメーカー』となる。(洞結節という特殊な細胞群があるのは)右心房の右上で、規則正しく電気信号を発生させ(、心房の筋肉を収縮させ)る。この指令が次に届くのが『房室結節』である。」
図は心臓。左上が「右心房」で「洞結節」がある。真ん中に「房室結節」。
「房室結節は4つの部屋のほぼ中央にあり、ここで少し(時間的な)タメをつくって下方へ信号をつなぐ。この後、ヒス束、左脚(さきゃく)と右脚(うきゃく)、プルキンエ線維に信号が伝わっていく。ただし、これらは点ではなく線であり、心臓のすみずみ(の心筋細胞)まで信号を届け(心室の)筋肉を収縮させる。」
「心臓は1分間におよそ60~70回、拍動する。」
「心臓の拍動はいつも一定ではない。緊張したり、激しい運動をしたりすると速くなる。こうした調節は、脳から自律神経を通して行われている。」
山本健人医師は、心臓が送り出した血液が、全身をどう循環しているか、次のように解説します。
【上の図は、『1から学ぶスポーツ生理学(第3版)』(中里浩一日体大教授ら著、2022年発行、ナップ)から引用】
「重要なのは、この循環には『2種類の系がある』ということだ。1つが肺循環、もう1つが体循環である。外界から得た酸素を全身に送り届けるしくみだ。
2つの循環のプロセスを簡単に書くと、こうである。
①肺に流れ込んだ血液が外気から酸素を受け取る
②この酸素は血流に乗って心臓の左心房に入る
③(左心房から左心室に入り、)左心室から全身に送り出され、酸素が各臓器で消費される
④各臓器から、排泄物である二酸化炭素を受け取る
⑤二酸化炭素は血液中に溶け込み、心臓の右心房に戻ってくる
⑥この血液が右心室から再び肺に送り出され、二酸化炭素を放出し、再び酸素を受け取る。肺では酸素と二酸化炭素が交換されており、これを「ガス交換」という
以上が、山本医師による説明でした。
心電図は心臓内の電気の流れを立体的に記録したもの
【図は、日本医療機能評価機構のホームページからの引用】
この刺激伝導系の働きを波形にしたものが「心電図」です。
心臓の中を走っている電気信号は、なんと、体の表面でキャッチできるので、電流の変化を波型にして記録したものが心電図なんですね。
専門家の皆さんの解説によりますと、正常な心電図の波形は、上の図のように、P波、QRS波、T波の3つの山で構成されています。
最初のドーム状のP波は、右心房の洞結節から発生した電気信号が、心房内を走ったために心房が収縮したことを示す波形です。
P波に続く大きな波はQRS波。電気信号が房室結節からヒス束、左右の脚、左右のプルキンエ線維に伝わって心室が収縮した時の波形です。この時、右心室から肺へ、左心室から大動脈にそれぞれ血液が送り出されます。
最後のドーム状の山はT波。収縮した心室が元に戻る過程を示しています。
医療の専門家が心電図で波形を見れば、心臓のどこが異常で、どんな病気か推定できるようです。
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