北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍の北アルプスに登っていたころの写真記録、国内外の旅行、反戦平和への思いなどを備忘録として載せています。

からだの豆知識⑪人間はなぜ眠るの?なぜ夢を見るの?

富士山。雪がたまっている穴が富士山山頂の大きな噴火口(2013年5月25日撮影)

 

 

目次

 

 

 

 

なぞ?

 夜中にガバッと目が覚めて、「ああ、夢か・・・こわかった」なんてことがありました。でも、夢の中身は、はっきり思い出せません。

 

 

「なぜ人間は寝ている間に夢を見るの?」

そもそも

「なぜ人間は眠くなるの?」

「なぜ人間は眠らなければならないの?」

「なぜ7時間前後、睡眠をとるの?」

 

 分からないですねえ。

 

 

 睡眠について研究をしている先生方がいらっしゃいます。

 筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構という近寄りがたい名前の、ハイレベルの組織です。でも、ホームページを見たら、少しだけ理解できるところがありました。分かる部分だけアップしました。

 

 

 

 

眠りのメカニズム(一般的な話)

脳は睡眠中もなにか仕事をしている・・・

図は、夜間の睡眠のパターン(ヤクルト中央研究所HP「健康用語の基礎知識」から引用)

 

 

 

 ヒトは眠っている時には、レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という眠り方を繰り返しているといいます。

 レム睡眠の「レム」は「Rapid Eye Movement:REM」(=急速眼球運動)という意味で、眠っているのに閉じたまぶたの下で眼球がキョロキョロ動いている状態

 「ノンレム睡眠は、レム睡眠ではない睡眠という意味ですね。

 

 レム睡眠は、眠っていて全身の筋肉はゆるんでいるのですが、脳は、大脳の表面を覆う「大脳皮質」という神経細胞の集まりと、「海馬(かいば)」という記憶を担当する部分あたりがフル稼働していて、夢をよく見る睡眠状態です。

 

 ノンレム睡眠は、眼球が動かないで、大脳皮質や海馬も休養してスヤスヤと深い眠りについている状態です。眠りの深さによって3段階か4段階に分類されます。

 

 夜、眠りにつくと、最初に深い「ノンレム睡眠」があり、その後「レム睡眠」がきます。これがワンセットで、90分周期で一晩の間に数回、繰り返されて、明け方に向けて「レム睡眠」が長くなって目覚める準備が整います。

 

 

 

 

「ねむりのQ&A」

 ここからが、筑波大学国際統合睡眠医学研究機構のホームページからの引用です。

 

 

Q1)なぜ私たちは眠る必要があるの?

A) 私たちが眠らなければならない理由はまだわかっていません。睡眠は「休息」と表現されることもありますが、睡眠中、脳はエネルギー消費をほとんど落とすことなく積極的に働いています。記憶の整理や取捨選択、脳機能の回復作業等が行われていいることが報告されていますが、これだけでは「なぜ眠らなければならないのか」という問いに対し、説明が不十分です。眠らないとパフォーマンスが落ちますし、健康被害もありますので、十分な睡眠が大切なことだけは事実です。

 

Q2)なぜ、私たちは夢をみるのでしょうか。

A) 夢の機能は全くわかっていません。ストレスとなる事柄に直面した時の状況を夢のなかで予行演習していて、現実に起こるかもしれない「恐怖体験」や「さまざまな葛藤(かっとう)状態」に備えているのではないか、とする学説もあります。しかしながら、証明されているわけではありませんので、わからないというのが正直なところです。

 

Q3)その日の行動や気持ちなどで見る夢は変わるのでしょうか。

A) 夢は、記憶断片がランダムにつながったものであり、当日の感情や気分で変わるものではないと考えられています。

 

Q4)夢を見る時と見ない時で睡眠の質に違いはありますか。

A) 夢を見ない睡眠はありません。浅い(ステージ1から2の)ノンレム睡眠時とレム睡眠時に見ることが知られていますが、特にレム睡眠時には複雑な夢をみます。一晩の睡眠でレム睡眠が見られないことはなく、通常、毎晩、夢は見ています。睡眠時には記憶の機構が働いていないので、通常、夢の内容は覚えていません。たまたまレム睡眠の直後に目がさめると、その内容を覚えていることができるので、「夢を見た」という認知が起こります。だからと言って、睡眠の質に違いがあることはありません。

 

 

Q5)夜中に目がさめてしまうのですが、良くないことなのでしょうか?

A) 加齢にともない、眠りの持続性が低くなっていくため、中年(40歳~50歳)以降の方については、夜中に目がさめてしまうことは正常です。少し目がさめる程度であれば問題ありませんのでご安心ください。しかしながら、3~4回以上、何度も起きてしまう場合や、次の日の生活に影響するほど目がさめてしまうようでしたら、日本睡眠学会の認定を受けた専門医にかかることをおすすめします。(睡眠の専門医の一覧アドレスは略)

 

 

Q6)夜中にいびきをかいて困っています。

A) 少し、いびきをかくだけなら問題ありませんが、呼吸がとまっている場合は眠りの質がとても悪くなるだけでなく、高血圧・脳卒中等のリスクが非常に高くなるため、必ず検査に行ったほうがいいでしょう。(以下略)

 

 

 

 

 

研究成果の一部紹介

睡眠中に脳はリフレッシュされている(2021年8月25日発表)

(骨子)

「睡眠中のマウスの脳において、毛細血管の中の赤血球の流れを顕微鏡で観察しました。脳に必要な酸素や栄養と、不要になった二酸化炭素や老廃物の物質交換は、毛細血管を通して行われており、毛細血管の中の血流は脳の機能を維持するうえで重要です。」

「観察の結果、レム睡眠中に、大脳皮質の毛細血管への赤血球の流入量が大幅に増加していることが判明しました。このことから、レム睡眠中は大脳皮質で活発な物質交換が行われ、脳がリフレッシュされていると考えられます。レム睡眠が少ないと、アルツハイマー病などの認知症などにかかるリスクが高まります。

「今回の結果を踏まえると、レム睡眠の不足がレム睡眠中の大脳皮質での物質交換を損なって、これが認知症の発症に関与している可能性があります。本研究成果は、認知症の発症に関するメカニズムの理解につながるとともに、レム睡眠を標的とした全く新しい治療法の開発にも貢献できると期待されます。

 

 

 

運動は深い睡眠の質を向上させる(2021年3月26日発表)

(骨子)

「運動が睡眠に及ぼす効果について、健常な成人男性9人に比較的激しい運動をしてもらい、新しい手法で睡眠中の脳波の分析をしました。この結果、運動することによって睡眠時間が短くなり、特に睡眠前半で深い眠りにつくことが確認されました。運動を行うことにより、質の良い睡眠がとれ、より短時間で効率よく睡眠要求を満たすことができる可能性が示唆されました。」

 

 

 

森林浴の習慣はストレスに対処する力を高める(2021年1月13日発表)

(骨子)

「これまでの研究から、1回、森林浴をした場合、リフレッシュ効果があることは数多く報告されていますが、森林浴を習慣として行った場合のストレスに対処する力との関係については明らかになっていませんでした。そこで茨城県つくば市の勤労者6466人を対象に聞き取り調査をし、特殊な尺度で解析しました。その結果、森林浴や緑地の散歩が多い人ほど、ストレスへの対処力が高いことが明らかになりました。」

 

 

 

眠りの量と質が決まる仕組みがわかった(2022年12月6日発表)

(骨子)

「筑波大などの研究チームはこれまで、脳の中にある「SIK3」という酵素が、睡眠の量や質を調整するカギを握っているとみて注目してきましたが、具体的なメカニズムは分かりませんでした。」

「今回、マウスを使って実験したところ、大脳皮質の神経細胞でSIK3が活性化すると睡眠が深くなり、自律神経の中枢である視床下部」という部分の神経細胞でSIK3が活性化すると睡眠時間が長くなることがわかりました。今後研究が進み、睡眠障害の治療法の開発に貢献することが期待されます。」

 

 

 むずかしい話でした。