北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍の北アルプスに登っていたころの写真記録、国内外の旅行、反戦平和への思いなどを備忘録として載せています。

共産党さん、「党首公選を」という党員の訴えにどう対処する?

 書店に平積みされていた本

 

 

 「共産党が変われば国会で野党共闘が進んで、日本の政治が変わる。共産党の党首を一般の党員が選べるように仕組みを変えよう。日米安保条約自衛隊も堅持しながら、『核抑止抜きの専守防衛』を党の基本政策にしようよ」――。

 こんな趣旨の提唱を日本共産党が公然と行い、著書がウクライナ戦争の渦中の1月19日に出版されました。都内で記者会見もしたそうです。驚きました。

 

 「産経新聞」1月20日付朝刊

 

 記者会見したのは、共産党の現役の党員、松竹(まつたけ)伸幸。ジャーナリストで、かもがわ出版編集主幹。

 著書のタイトルは、「シン・日本共産党宣言~ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由~」(文春新書)。

 

 共産党は「民主集中制」を組織の原則としていて、党員は口を開けば「みんな発言内容と口ぶりまで一緒で、一枚岩」というふうに昔から感じていただけに、あらまあ・・という感じ。

 

 

 間髪を入れず、党本部は猛反発。

 「赤旗編集局次長」という肩書の人物(=幹部会64人のうちの1人)が1月21日付「しんぶん赤旗」に論文を掲載。「規約と綱領からの逸脱は明らか」と題し、「党の内部問題は、党内で解決する」という党の規約(第5条第8項)を踏みにじるものだ、と批判しました。

 

 これに対して著者・松竹氏は、待ってましたとばかりに自らのブログ「超左翼おじさんの挑戦」で、「(党の機関紙の)『しんぶん赤旗』に(自分を)登場させてほしい」と切り返しました。うまいですね。

 

 この、時ならぬ❝お家騒動❞――どう展開するのかしないのか、部外者には見通せませんが、自公政権に対峙すべき立憲民主党がフニャフニャで政党としてはお話にならないだけに、コチコチの共産党のことが少しだけ気になりました。

 歴史的事実として動きをテイクノートしておきます。

 

 

 

無視できないのは経歴

 本の著者は「ヒラ党員」と謙虚なふりをしていますが、肩書きがあります。

日本民主青年同盟(略称:ミンセイ)の国際部長

・金子満広・党副委員長(衆院議員)の国会秘書

・党政策委員会・安保外交部会長(2006年9月の党本部退職まで)

こうした重責をこなした人物です。

 

 「朝日新聞」1月20日付朝刊

 

 

 

著書で訴えていること

著書によると――

 現在、共産党の党首(=正式な名称は「幹部会委員長」)、2年から3年に一度開かれる党大会で選ばれる中央委員会(中央委員193人で構成)が総会で決めている。その中央委員会は、党大会に出席した1000人ほどの代議員の投票で選出される。

 とはいっても、代議員が自発的に立候補し、政策を争って選ばれるのではない。その時点で党首を筆頭とする中央委員会の常任幹部会(26人)が新中央委員の候補者名簿を作成し、党大会に提案する。その結果、提案通りの名簿が信任されてきたのが実態。

 

 この現状に対し、著者の松竹氏は、『全党員の投票による党首選挙の実施』を提案しているのです。

 

 松竹氏が挙げる「党首公選」が必要な理由は3つ。

他党(公明党を除く)が実施し、国民的な常識になっているから。

党員の個性が尊重され、国民には親しみが生まれる。国民からみれば、共産党は異論を許さない、怖い、というイメージがあるが、それが目の前で払しょくされていくことになる」と書いています。

党員の権利を大切にするために。

 

 著者は、党首公選になれば自分が立候補し、野党共闘の最大の障害となっている安全保障・自衛隊政策を国民の前で議論し、野党共闘を主導できるようにしたい、と言います。

 さらに、党の基本政策として、『日米安保条約自衛隊の堅持を前提とした核抑止抜きの専守防衛』を主張しています。

 

 

 

 「朝日新聞」2022年7月16日付「社説

 

 松竹氏の「党首公選論」は、「朝日新聞」も昨年の7月16日付朝刊で「社説」として提案しています。共産党の結党100年にからめて書いた記事です。

 

 記事は、100年前の結党当時からの組織原則である民主集中制」――民主的な議論を尽くして党方針を決め、決まった方針はみんなで実行する、という原則――について、「異論や少数意見が出にくい」と指摘。そのうえで「党の代表は複数の候補者から党員が選ぶ。それができれば、何よりも党を開く改革になるのではないか」と「党首公選制」の導入を提案しているのです。

 

 

 

 

 これに対して共産党は敏感に反応し、1ヶ月後の8月24日付「しんぶん赤旗」に、党建設委員会名の論文「日本社会の根本的変革をめざす革命政党にふさわしい幹部政策とは何か――一部の批判にこたえる」を掲載。

 このなかで、党首公選をしない理由について、党首を党員の直接選挙で選ぶことになると必然的に党首のポスト争いのために派閥・分派がつくられていくことになるからだ、と説明しています。

 

 

 

 

 共産党は昨年、党の「創立100周年」だったとのことです。

党員は「27万人あまり」で、「しんぶん赤旗」読者は日刊紙と日曜版、電子版をあわせて「約100万人」、と2020年の第28回党大会で報告されました。

 

 若い人の入党が少なく、党員の高齢化が著しいようです。それは、わが家の近くの私鉄駅前で時折、「憲法9条を守ろう」などと訴えながら署名集めをしている数人が、いずれもご高齢で車いすの方が複数いらっしゃる姿を見ているだけに、想像できます。

 

 NHKの世論調査(2023年1月7~9日)で「政党支持率」をみますと、自民党38.9%、立憲民主党5.7%、支持政党なし36.7%に対し、共産党2.5%でした。

 

共産党参院選での得票数(比例代表は、選挙のたびに減っています。

820万票(1998年7月)⇐ピーク

601万票(2016年7月)

448万票(2019年7月)

361万票(2022年7月)

 

 

 

後退する党勢を挽回するには、若い人をひきつける「何か」が必要でしょうね。

 

 

 

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