北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍の北アルプスに登っていたころの記録、国内外の旅行、反戦平和への思いなどを備忘録として載せています。

「アマチュア無線」を登山の非常通信で使うために始めたが、やめた話

お題「思い切ってやめてみた事」

 

 マイナーな世界での話ですが、書いておきます。

 

 アマチュア無線の免許を取って無線機も買いましたが、ほとんど使うことなく、15年後にやめました。

 通話を楽しもうと「趣味」で始めたわけではなく、登山で遭難した時に救助要請をする「非常通信」の手段に使おうと思ったんですね。でも、荷物になっただけでしたので・・・。

 

 持っていた免許は、第4級アマチュア無線技士。国家試験があって、合格することが必要です。取得したみなさんがおっしゃる通り、そんなに難しくはないです。

 免許を取得したのは2003年3月末で、すぐに開局手続きをしました。

 

 所属していた社会人山岳会で、遭難対策部門にいた関係で率先して取得したんです。会報にも、次のように偉そうに書いて、仲間を勧誘しました。

 

 

 「携帯電話は、電波が届かない圏外表示になると全く役に立たないけれど、アマチュア無線非常通信すると助かるかもしれないから、免許を取って無線機を山に持って行こうよ」

 「以下は、非常通信の一例。私のコールサインは【7N4XCY】。無線を傍受してくれた人を【JA1SOS】とします。まず、

①無線機の周波数を≪呼出周波数≫と呼ばれる【433.00MHz】に合わせる。

②『非常、非常、非常。こちらは7N4XCY、××と言います。北穂高岳山頂付近で仲間が滑落しました。お聞きの局がありましたら、応答願います』。⇐これを繰り返す。

③交信が成立した場合は、こう続きます。『非常、非常、非常、7N4XCY。こちらはJA1SOS、非常通信を受信しました。周波数を移動できますか、どうぞ』

④『非常、非常、非常、JA1SOS。こちらは7N4XCYです。では、【434.82】に移動していただけますか、どうぞ』

⑤『非常、非常、非常、7N4XCY。ことらはJA1SOS。貴局からの非常通信を受信しました。遭難の状況を順次送ってください、どうぞ』

※ここで、事故がいつ、どこで、だれが、どうした、けがの程度などを話し、『ヘリコプターでの救助を要請したいので長野県警本部に通報をお願いしたい』などと、無線を傍受してくれた人に警察への連絡をお願いするわけです。

 

 

 こんなふうに書いたのですが、会の仲間の反応は冷ややかで、免許を取ってくれたのは女性一人だけでした。

 

   ◇   ◇   ◇

 その翌年の2004年2月関西学院大学ワンダーフォーゲル部の14人パーティーが山岳遭難を起こしました。

 福井・石川両県境にある標高1671㍍の大長山(おおちょうやま)で豪雪に遭い、自力で下山できないと判断して救助を要請したのですね。

 

 この大長山遭難事故では全員無事に下山できたのですが、その時に有効な通信手段となったのがアマチュア無線でした。発した無線での悲痛な訴えをアマチュア無線家2人が傍受し、警察に連絡してくれたのです。

 

 ただ、部員の2人が「4級」の免許を持っていたものの、「開局」という手続きをしておらず、コールサインがないまま無線機を使ったことについては「違法行為ですよ」と総務省北陸・近畿両通信局から後日、指摘されました。

 

 

 私の場合ですが――

 第4級アマチュア無線技士の免許を取ってから、アイコムの「ICーT90」というハンディ機を買いました。当時の価格で4万1800円(税別)もしましたけど。

 

 ですが、山に持ち歩いたのは、買ってから数年間ほど。ドコモのガラケーでも北アルプス穂高連峰後立山連峰の山小屋で電波を拾えましたので、アマチュア無線機に頼る必要性を感じませんでした。

 

 押入れの奥に突っ込んでおいたハンディ機は、いつのまにか充電式バッテリーパックも単三電池ケースも故障して使用不能に。無線機自体は既に製造終了となっている商品ですので部品の在庫は店にありません。

 免許は5年ごとの更新手続きが必要ですが、その気も失せ、2018年3月末に免許が切れました。

 

 

 いまはスマホが普及してますので、遭難対策としてアマチュア無線機を山に持っていく人はほとんどいないでしょうね。

 

 ですが、山頂で見知らぬ誰かと交信するのも楽しいかもしれません。

 それに、この先いつ大地震が起こるか分かりません。学者も、地下のことは分かりません、とギブアップしているぐらいですから。緊急時の通信手段としてもアマチュア無線の価値がいまもあることは間違いありません。

 

 

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