岩魚の活き造り
北アルプスにあこがれて本格的に登山を始めた40代のころ、温泉などというものに興味はなかったですね。それが近ごろは下山後に湯につかってのんびりしたいと思うように・・・。
2023年5月25日、上高地の焼岳(やけだけ)登ったあとに、「中の湯温泉旅館」に泊まって湯につかりました。
初めて味わったイワナの活き造りにも満足!
目次
焼岳のふもとにある温泉宿
「中の湯温泉旅館」は、上高地の玄関口にある山あいの一軒宿。
上高地の入り口、「釜トンネル」前を左に入り、くねくねとした山道(国道158号)を2.2㌔上った標高1540㍍の高台にあります。
下山してから旅館までのアクセスは?
5月25日早朝、上高地帝国ホテル・田代橋から焼岳(北峰の標高2393㍍)に登頂。反対側の登山道を下って「新中の湯登山口」に出ました。
そこは旧安房峠道路(国道158号)で、登山者のための駐車スペースがありました。(上の写真)
事前の調べでは、この登山口から旅館までショートカットした道があったのですが、「⇐中の湯温泉」と書かれた標識はあるものの、道路を右に登っていくのか左に下るのか分かりません。
で、ガラケーから切り替えたばかりで使い慣れないスマホを取り出し、旅館に電話して事情を話すと、「駐車スペースの向こうのガケに向かってください。旅館までのショートカットの道をガケ下に切ってありますから・・・。道路を渡って、車の後ろのガケに寄ってください」というご案内。
ありましたワ、道が・・・
※(補足)「中の湯温泉旅館」へのアクセスは、松本電鉄「新島々」駅がら上高地行きの路線バスに乗って、「中の湯」で下車。バス停から旅館までの送迎サービスがあります。バス停から歩くと約50分。
水蒸気爆発のため現在地に移転
創業は1915年(大正4年)。1998年に現在地に移転するまでは、釜トンネル入り口近くの梓川(あずさがわ)右岸にありました。
梓川の河原には露天風呂がありましたが、釜トンネルに進入するための信号待ちのバスから、入浴している客の姿がよく見えたらしい。
ところが、「安房(あぼう)トンネル」の建設工事が始まった影響で1993年10月、やむなく一旦休業に。悪いことは重なるもので、1995年2月11日、釜トンネル入り口の「中の湯温泉旅館」露天風呂近くで、安房トンネルへのアクセス道路を建設中に水蒸気爆発が発生、土砂崩れが起きて作業員4人が亡くなりました。
こうしたことから安房トンネル開通翌年の1998年5月、代替地としての現在地に新館を建てて移転したとのことです。
露天風呂から穂高連峰が見える!
この旅館の魅力は、穂高連峰の奥穂高岳から前穂高岳への「吊尾根(つりおね)」を眺めながら湯につかることができるということです。晴れていれば、ですが。
露天風呂から見える穂高連峰。ちょっと雲が邪魔ですが。山好きにはたまらない!
お風呂の源泉
この旅館の温泉の「源泉」は、旧旅館があった梓川沿いのガケ地です。湧き出る温泉を現在の旅館までパイプで2㌔ほど引いているようです。
旅館は、「秘湯を守る会」の会員宿で、ホームページでは【単純硫黄温泉の掛け流し温泉です】と記載されています。
※(補足)「かけ流し」と「源泉かけ流し」の違いを、一般社団法人日本温泉協会は次のように用語解説しています。(要約)
「源泉かけ流し」とは、「浴槽に常に新しい湯を注いでオーバーフローさせ、あふれた温泉を再び浴槽に戻して再利用しない状態。温泉に水を加えることもしない。」
一方の「かけ流し」とは、浴槽をオーバーフローさせ、あふれた温泉を再利用しないところは源泉かけ流しと同じですが、温泉に水を加えたり過熱して温度を上げている状態のことをいい、実施している場合はその状況と理由を明示することが義務付けられています。
内湯
お風呂は、男湯も女湯も大浴場に2つの浴槽があって、温度が少し違います。
午後1時のチェックインから翌日午前10時のチェックアウトまで、いつでも入浴できました。
私は、チェックイン直後と、夕食前、ひと眠りした後の午後11時、それに翌朝の計4回入りました。
午後7時に、男湯と女湯の入れ替え(=のれんの掛け替え)がありました。
露天風呂
露天風呂は、ブナの原生林の中
雨の時の「笠」も
「中の湯温泉旅館」の温泉データ
【温泉分析書(本表)】
★源泉名と湧出地=中の湯(旧本館泉)、松本市安曇4467
★湧出地での調査年月日=2014年7月28日
★泉温=53.5℃
★湧出量=150㍑/分 (自然湧出)
★知覚的試験=無色・澄明、弱硫化水素臭を有す。
★水素イオン濃度=pH 6.6
★泉質(⇐温泉の性質のこと)=単純硫黄温泉
※補足:「単純硫黄温泉」というのは、温泉に溶け込んでいる物質が1キログラム当たり1000ミリグラム未満だが、「硫黄」だけみると含有量が基準値より多い温泉のことをいいます。
【温泉分析書(別紙1)】
★泉温=42℃ (源泉53.5℃)
★加水の理由=入浴に適した温度に保つため
食事
夕ごはん
カモ鍋のアップ写真
イワナの塩焼き
頭と尻尾と背骨は残しました・・・
そして、特注したのがコレ☟
イワナの活き造り!
イワナ君のお顔
これは逸品でした。
お口が時々動くので、配膳係のおにいさんに、「口が動いてるよ」と声を掛けますと、「さばいたばかりですから」という返事。
身がしまっていて、おいしかった。おすすめです。
朝ごはん
朝ごはん
鍋に豆乳とにがり」が入っていて、温めると豆腐に。たれにつけてお口に・・・
こちらは「朴葉味噌(ほおばみそ)」というんだそうです。岐阜県飛騨地方の郷土料理だとか。
朴葉(ほおば)の上に味噌を載せて焼いて食べる料理。ごはんに載せていただきましたが、美味!
ほかに焼き魚、のり、たまごなど。
部屋
山ではテント暮らしに慣れておりますので、ぜいたくは言わない。比較的安い部屋を選びました。
1泊2食付き。ネット予約で1万7100円。トイレ付きですが、バス、冷蔵庫ナシ。
旅館のロビーから見た穂高連峰・吊尾根の稜線。いつ、何度みても飽きない。いいなあ~。
ロビーにあった【説明版】