北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍の北アルプスに登っていたころの写真記録、国内外の旅行、反戦平和への思いなどを備忘録として載せています。

「新型コロナ」は終息したのか?薄れるコロナへの関心

国の補助がなくなった治療薬「ラゲブリオ」

 

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が法律の上で、危険度が一番低い「5類」に引き下げられて5月8日で1年経ちましたね。

 

 「コロナ」が発生した当初は、危険な「2類相当」にされていました。それがいまや、居酒屋でマスクをする人を見かけなくなりました。あまりコロナのことは話題にもなりませんね。

 

 「コロナ」はどうなったんでしょう。

 

 公表資料から自分なりに現状を整理しました。

 

目次

 

 

4月から「治療薬」購入に国の補助がなくなった

 「5類」になってからの1年間で大きく変わったのは、コロナの治療薬(飲み薬)を薬局で買う時に2024年4月以降は国による補助がなくなったことでしょうか。

 

 ことし3月末までは、「ラゲブリオ」などの治療薬については所得に応じて上限額を超える部分は公費で負担してもらえました。

 (注:上限額は3割負担の人は9000円、2割負担の人6000円、1割負担の人3000円)

 

 これがなくなりました。

 

 4月から治療薬は全額自己負担です。

 ラゲブリオの薬価(既定の5日分)は約9万4000円ですので、3割負担の人は約2万8000円を薬局で支払うことになりました。

 

 患者の中には、市販の対症療法の解熱剤で耐えることにしようという人が多いと思いますよ。

 

 

 

コロナの「発生」状況の調べ方が変わった

 もう1つ大きく変わったのは、公表される「感染者数」がそれまでの「全数把握」から「定点把握」に改められたことですね。2023年5月19日以降です。

 

 従来の全数把握は、感染者全員の情報を医療機関が毎日、保健所に報告し、都道府県がその日の夕方、感染者数と死者数を発表していました。

 

 これに対して定点把握は、一部の医療機関が確認したコロナの患者数から感染の動向を推定するものです。

 どの医療機関を選ぶかについては各地域の医師会の協力で、人口の分布などを考えて選んでいるそうです。

 全国では約5000ヵ所です。

 

 東京都の場合、「定点医療機関」は小児科264ヵ所、内科155ヵ所の計419ヵ所

 

 419の医療機関から報告された「1週間分」の感染者数を合計し、それを419で割った値が「医療機関当たりの1週間当たりの平均新規感染者数」ということになっています。

 

 

 

感染者が減ってきたように見えるが・・・

 上の図は、東京都発表の「東京都の1医療機関あたりの平均患者数」の推移です。(NHKのHPから引用)

 

 都の5月9日の発表によりますと、大型連休期間中の4月29日から5月5日までの1週間に発生した患者は、医療機関当たり「1.48人でした。

 ただし、都感染症情報センターは「連休中の医療機関の休診が影響していると考えられます」とコメントしています。

 

 グラフをみますと、ことし2月以降、減り続けています。これだけみると、コロナは「終息」に向かっているように見えますね。

 

 

 

 こちらもNHKのHPからの引用ですが、厚労省による全国の平均です。

 全国では4月29日から5月5日までの1週間の平均は「2.27人」という数字になっています。

 

 

 

コロナウイルスは「終息」したのか?

 「5類」への移行の背景には、社会活動や経済活動が停滞してしまったのでこれはマズイという政治的な判断と、①重症化をもたらす新たな変異株が今のところ発生していない②ワクチンや治療薬が開発された――という医療面での事情があったように思われます。

 

 「終息」したのか、と問われればそうとも言い切れないようで、厚労省は「変異株の発生動向の監視は継続する」(HP)としています。

 

 ウイルスはそれ自体がなくなったわけではなく、新型コロナウイルスも2週間に1ヵ所程度の速度で変異していると考えられています。

 

 

 

死者は減らず「5類」以降も3万人超!

 新しい動きですが、厚労省は新型コロナが「5類」に移行して以降、コロナによる死者数を、死亡に立ち会った医師が作成した死亡診断書の情報に基づいて公表し始めました。

 

 死亡診断書は、人が死亡した時に医師が作成する義務を負っている書類で、厚労省はいろんな統計に使っています。

 

 死亡診断書には「死亡の原因」を書く欄が2つあって、そのうちの「Ⅰ欄」には「最も死亡に影響を与えた傷病名」を、「Ⅱ欄」には、直接的に死因に関係していないものの「Ⅰ欄」の傷病の経過に影響を及ぼした傷病名を書くことになっています。

 

 厚労省はこの死亡診断書のⅠ欄かⅡ欄に「コロナ」「COVID」「SARS」など新型コロナに関連する記載があるケースを【新型コロナ関連死亡数】として集計

 以下のように公表しています。

 

 厚労省のHPから引用。全国ベース。

 

2023年(令和5年)

5月1379人、6月1596人、7月2489人、8月4977人9月5281人、10月3188人、11月2095人、12月2484人

2024年(令和6年)

1月4990人2月5766人

 

 2023年5月から「5類」に引き下げられたあとも、ことし2月までに全国で3万4245人が死亡しています。

 

 死者は減っていないんですね。

 

 

 

忽那先生の話

 感染症専門医の忽那賢志(くつなさとし)・大阪大学教授がYAHOO!JAPANニュース(2023年7月23日)でこう書いています。

 

「5類」になっても新型コロナという感染症がなくなるわけではありません。今後も流行は起こりますし、高齢者や基礎疾患のある人は重症化することもあります。」

ワクチンを接種した人や、これまでに感染したことのある人は、次に感染した際には重症化しにくくなる、というのがこれまでの知見です。しかし、そうした常識も新しい変異株では覆される可能性はゼロではありません新型コロナウイルスは、私たちの予想を超えた変異を繰り返してきました。そうした最悪の変異株が出現してしまった場合のシナリオも想定しながら、緩和を進めていくといった姿勢が必要だと考えられます。」

 

 まあとりあえず、家に帰ったら石けんで手を洗うということを続けます。

 

 

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