北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍の北アルプスに登っていたころの写真記録、国内外の旅行、反戦平和への思いなどを備忘録として載せています。

JAL株主総会で抗議の株主に退場命令!尾を引く「整理解雇」

 「安全」にかかわるトラブルが続く日本航空(JAL)の株主総会が東京都内であり、出てみました。そこでビックリする光景に出くわしました

 

 会場の中では撮影や録音が禁止されていましたので、記憶をもとに目にした様子を記録しておきます。

 

目次

 

 

総会で株主が騒いで「退場」!

 株主総会の会場前で、解雇された人の職場復帰を支援する人たち。

 

 

 「ご静粛に願います。議長の指示に従っていただけない場合は、退場をお願いいたします。」

 6月18日に開かれたJALの定時株主総会の会場。議長を務めた鳥取三津子社長のこの発言で、出席した700人余りの株主に緊張が走りました。

 

 引き金になったのは、質疑応答の際に、愛媛から来たという女性株主の発言。

 質疑での発言は議長によって「1人1問、時間は2分以内」と制限されていましたが、女性は持ち時間を超えても発言をやめず、14年前のJAL社員の整理解雇をめぐって社長との話し合いの場をつくるよう求めました。

 

 執行役員が一応の回答をしましたが、答弁内容に腹を立てた男性が1人、大声で騒ぎ始めたのです。(発言内容は聞き取れず)

 

 4月に就任したばかりの鳥取社長が騒ぐのをやめるように二度警告しましたが、会場の後ろの席にいたその男性にやめる気配はありません。

 

 「度重なる警告にもかかわらず議長の指示に従っていただけませんので、退場を命じます。係のかた、退場させてください。」

 

 退場命令が出たあとも退場を拒んで騒ぎ続けたため、質疑応答は3、4分間、中断しました。

 

 初めて見た異様な光景に、あ然としました。

 

 

14年前の165人もの「整理解雇」が発端

 株主総会から帰宅後、いろいろ調べてみました。

 

 JALでは何をめぐってもめているのかというと、「整理解雇」という聞きなれない「首切り」でした。

 

 【解雇】と言った場合、職場で重大な規律違反をした時の「懲戒解雇」や、病気をして働けなくなったり成績が悪いことによる「普通解雇」が一般的ですが、もうひとつ、「整理解雇」という特殊な解雇があるんですね。

 

 「整理解雇」は、社員にはまったく落ち度がないのに、会社側の事情によって行われるリストラです。

 JALでは会社側の一方的な都合で行われた首切りに対して、整理解雇された社員が「元の職場への復帰」を求めているんですね。

 

◆     ◆     ◆

 JALは総額2兆円以上もの借金を抱えて、14年前の2010年1月19日に経営が破綻しました。

 東京地裁会社更生法の適用を申請し、当時のJALグループ社員約4万8000人のうち、3割の1万6000人を削減する計画をつくり、希望退職者募集しました。

 

 会社側の説明だと、「それでもなお、職種別に設定した削減目標達成することができず、やむを得ず」(株主総会事前質問への回答)、2010年大晦日(おおみそかに、会社の管財人運航乗務員(機長と副操縦士)81人と客室乗務員84人の計165人の社員を「整理解雇」しました。

 

 

 解雇対象者165人の「人選基準」について、更生管財人は次のように明言しました。

 「これまでの勤務状況を踏まえて将来に向けて見込まれる会社業務への貢献度を考慮。具体的には、病気欠勤日数や休職期間等による基準を設定し、それでも(削減計画の)目標人数に達しない場合は、年齢の高い者から対象とするという基準を設けております。」(2010年12月23日付のJAL社員向け文書)

 

◆     ◆     ◆

 解雇された165人のうち148人東京地裁に、「解雇は無効」であるとして労働契約上の地位確認を求めて提訴しました。

 しかし、2012年に下された判決「解雇の対象者の選定は人選基準に沿って合理的に行われたものと認めることができる」などとして地位確認を求める請求を棄却しました。

 

 さらに東京高裁141人が控訴しましたが、高裁は地裁の判断を支持し、控訴を棄却しました。

 

 そして最高裁に運航乗務員64人と客室乗務員71人の計135人が上告しましたが、最高裁は2015年2月、小法廷で「訴えの内容は事実誤認を主張するものであって、最高裁への上告が許される民事事件に当たらない」とし、「本件上告を棄却する」という決定をしました。

 

 

2労組は争議終結

 会社側2022年6月、整理解雇された人でつくる複数の労組に、「希望者全員に対して業務委託契約による在宅でも実施可能な就労機会の提供」という争議の「合意案」を提示しました。

 

 これを受けて、客室乗務員でつくる「日本航空キャビンクルーユニオンは7月13日に、運航乗務員でつくる「日本航空乗員組合は7月22日にそれぞれ合意案を受け入れることにし、争議を終結させました。

 

 合意内容の柱は、

①会社は被雇用者組合員に対し、希望者全員を対象とした業務機会の提供(=業務委託)を行う。委託契約の期間は、2022年11月から2024年10月末までの2年間。

②会社は二度と整理解雇が生じることがないよう、経営の安定化に向けて努力する。

――です。

 

 

30人余りは「職場復帰」をあくまで要求

 JAL争議では、争議を終結させた2つの組合のほかに、もうひとつ、グループがあります。

 2021年4月に発足したJAL被解雇者労働組合(=JAL争議団)です。争議団のHPの記載をみると、組合員は30人以上いるようです。

 

 JAL争議団の基本認識は「165人の解雇の真の狙いは、人員削減に名を借りた労働組合つぶしであり、モノ言う労働者排除にあった」(2015年2月22日のJAL不当解雇撤回原告団決意表明)というものです。

 そして具体的な要求の1つが「争議団組合員の職場復帰です。

 

 ただ、会社側は「整理解雇の有効性は最高裁の決定を受けて法的に確定しています。今後も会社の提示した解決案で理解を得られるように真摯(し)に対応したい」(株主総会事前質問への回答)という姿勢です。



◆     ◆     ◆

 JALでの整理解雇をめぐる労働争議は続いています。

 JAL争議団は「会社は社員の採用を再開しているのだから、自分たちを優先的に再雇用すべきだ」と主張しています。筋論として理解できます。

 

 ただ、争議から12年も経ち、現実的な対応として会社側提案を受け入れた「日本航空キャビンクルーユニオン」と「日本航空乗員組合」の選択も、コメントする立場にありませんが分かる気がします。

 

 整理解雇に追い込まれるような甘い経営を二度とするな、と新しい経営陣に言うしかないのかな・・・・・。

 

 

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