北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍の北アルプスに登っていたころの写真記録、国内外の旅行、反戦平和への思いなどを備忘録として載せています。

ライチョウとの出会いと「立山・地獄谷」の温泉体験

 ライチョウ。(2024年9月12日午前7時31分撮影)

 

 「ライチョウ、見ましたか?」。

 北アルプス立山連峰の主峰・雄山(標高3003㍍)から真砂岳別山まで標高3000㍍の稜線を縦走しているとき、すれ違う登山者同士のあいさつの1つがこれなんです。

 絶滅危惧種ライチョウとの出会いが楽しみなんですね。

 

 縦走を終えた2024年9月11日夜は、昔から「地獄」にたとえられている「地獄谷」そばの温泉付き山小屋に泊まりました。

 

 (「富山県 立山カルデラ砂防博物館」作成のパンフから引用)

 

 

目次

 

 

 

温泉付きの山小屋「雷鳥沢ヒュッテ」

 木造の小屋は、外風呂。

 

 ここを宿泊所に選んだ理由は「1部屋を1人で使うことができること」と「地獄谷のお湯が山小屋の浴槽に流れ込んでいること」。それに24時間利用できることでした。

 

 「外湯」は小屋のような建物にあり、男女別々。

 

 風に当たりながら、雷鳥沢キャンプ場の色とりどりのテントや晴れていれば別山真砂岳を仰ぎ見ることができます。

 しかし、湯槽から立ち上がれば上半身がキャンプ場や登山道から丸見え・・・。

 

 外湯は、屋根はありますが洗い場はなく、脱衣かごが3つあるだけです。

 

 

 お湯はかけ流しで、白く濁って、スベスベします。

 

 脱衣スペースの張り紙

 

 お湯の源泉が「地獄谷」で、熱いときはコックを開けて水を入れろ、ということですが、この日は40度ぐらいで適温でした。

 

 夕方になると、テント泊の登山者が900円の入浴料を払って汗を流しにきました。けっこう大勢いました。

 

 上の写真は、翌日の午前5時17分撮影。朝風呂の時は明かりがついており、下のキャンプ場からは入浴する際のお姿が丸見え。ご用心を。

 

 

 脱衣スペースに張ってあった温泉分析書」(令和4年8月19日分析)。

 主な項目を見ると・・・・・

▼泉質:単純硫黄温泉[硫化水素型]

▼温泉湧出地の泉温:51.5度

▼多い成分:カルシウムイオン、ナトリウムイオン、硫酸イオン

▼「かけ流しの温泉です」

▼「源泉の温度が高いので、加水しています

▼「加温していません

ほか

 

 こちらは本館にある「内湯」。大浴場ですね。お湯は無色透明。

 

 脱衣所の張り紙。この内湯は「温泉」ではないですね。

 「300㍍先の採湯地」というのがどこか分かりませんが、「ボイラーによる加熱はしていません」と。

 でも、熱くて、1分も湯につかるのは難しかったので、蛇口をひねってダバダバ冷水を入れました。

 

 クイズみたいですが、「温泉」ではないとすると、想像ですが、沢水を地熱でお湯にして、パイプで山小屋まで引っ張って来ているんでしょうかね

 

 洗い場に、シャワーはありません。固形石鹸がありました。

 

 

雷鳥沢ヒュッテ」の施設は哀れ

 雷鳥沢ヒュッテ」の外観。鉄筋コンクリート造りで4階建てです。

 

 屋根が緩やかにカーブした白いリゾートホテルのような雰囲気。でも、近づいてみれば、老朽化が進んでいますね。室内も・・・。

 

 2階の通路の張り紙。「212」が私の部屋。

 

 窓はあるんですが、開きませんでした。

 

 壁の上の方は・・・。

 

 室内の張り紙。アマモリだって・・・。

 

 通路の張り紙。

 冬にはこの建物がすっぽり雪に埋まるんだって。いたむでしょうね。同情します。

 

 夕食は美味。アルバイトの若いスタッフ数人も笑顔で迎えてくれて、感じがよかったですよ。

 

 こちらは朝食。

 個室を1人で使う場合、夕食と朝食付きで1万5500円

 

 自販機で買ったこの缶ビールは600円

 

 食材や飲み物は、室堂平から背負って運んでくるので、高くなるのはやむを得ませんね。

 24時間いつでも入浴できる「温泉付きの山小屋」と割り切れば、ぜいたくです。登山者には十分です。

 

 ただ、紅葉前の平日とあって、宿泊して2食とったのは、わずか5人でした。

 

 

源泉の「地獄谷」の話

 有毒な火山性ガスをや水蒸気を噴き上げる地獄谷

 

 立山地獄谷は、大昔に火山が何回も水蒸気爆発してできたたくさんの噴気孔や源泉があるくぼ地です。

 地下にはいまも熱水があって、幾筋もの噴気が立ち上る活火山です。

 白く見える部分は水蒸気ですが、一緒に有害な硫化水素亜硫酸ガス塩化水素など火山性ガスが出ているそうです。

 

 火山性ガスの影響で草木が育たず、茶色の地肌をさらけだした殺伐とした風景。上の写真はリンドウ池と山小屋「雷鳥」。

 

 

 地獄谷の中には、青白いも見えました。(写真)

 殺伐とした様子から、平安時代の著作物「今昔物語集」で「地獄」とされた場所なんですね。

 

 山小屋「雷鳥沢ヒュッテ」の横に、地獄谷の遊歩道への入り口がありますが、立入禁止になっていました。2012年4月から続いているようです。

 有毒な亜硫酸ガスの濃度が濃くなったそうです。

 

 

 

地獄谷にある「温泉造成引き湯施設」

 立山カルデラ砂防博物館(富山県立山町)に立ち寄ったところ、【地獄谷の模型】がありました。
 それをみて、地獄谷の中に「温泉造成引き湯装置」という場所があることを知りました。

 「温泉」が地下からボンボン噴き出しているわけではないんですね。

 

 拡大した写真ですが・・・。立入禁止になっている遊歩道のわきにあるようです。

 

 解説版。

 

 その説明を読むと、地獄谷では、あちこちから湧き出る温泉水を1ヵ所に集めています。そのほか、高温の蒸気を噴き出している「噴気孔」の周りをマスで囲い、そこに「水」を通すことによって水と高温の蒸気が混じり合い、人工的に温泉をつくっているようです。それを山小屋までパイプで引いている、ということですかね。

 

 


ライチョウとの出会い

 地獄谷を見下ろす「エンマ台」近くの遊歩道で、10数㍍先の茂みにいるライチョウを見ました。

 

 ライチョウ国の特別天然記念物で、絶滅危惧種に指定されていますね。

 北アルプス南アルプス標高約2300㍍以上のハイマツ帯で生息。ワシやタカに襲われるのを避けるために、早朝や夕方とか、ガス(=霧)が濃い時に活動することが多いそうです。

 

 9月12日午前7時31分撮影

 

 ニワトリより、ひと回り小さかったです。

 

 

おまけ;ニホンカモシカにも会った

 立山黒部アルペンルートの「室堂」からバスで「美女平」に向かう途中、9月12日午前9時すぎですが、ヘアピンカーブの道路中央に、黒っぽい動物が立ち止まって、コチラ(=走行中のバス)を見ていました。

 

 

 バスの運転手が、動物を跳ね飛ばさないようにスピードを落として動物をよけたときに撮ったのがこの1枚。

 

 国の特別天然記念物ニホンカモシカです。

 ヨコを通り抜けるバスをにらんでいました。

 

 そして、悠然と茂みに向かっていきました。

 

 ニホンカモシカは、標高1500㍍から2000㍍ぐらいのところで生息しているらしいですね。

 

 ニホンカモシカを、誤ってはね飛ばして殺してしまうと、文化財保護法という法律の規定で「5年以下の懲役もしくは禁固または30万円以下の罰金」となるそうですから、ドライバーの方は気を付けにゃいけませんな。

 

 

 

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