
威勢よく神輿(みこし)をかつぐ地元の皆さん
東京都大田区の日蓮宗・池上本門寺で2025年10月12日、「桜」をイメージした和紙の花で飾られた”ちょうちん行列”がありました。
【お会式(おえしき)】という宗教行事のひとこまで、正確には【万灯(まんどう)練り供養(ねりくよう)】というイベントです。が、日蓮宗とは無縁のようにみえる人も大勢見物にきていて、たいへんなにぎわいでした。
都内に引っ越してきて9年になりますが、初めて見ました。珍しいうえに活気もあって、3時間近く境内にいました。
目次
「お会式」って?

日蓮聖人が火葬された場所に建つ供養塔。
「お会式(おえしき)」は、鎌倉時代に日蓮宗という仏教の一宗派を開いた日蓮聖人が亡くなった『10月13日』の前後、全国の日蓮宗のお寺が営む行事です。
なかでも池上本門寺でのイベントがいちばん盛大だそうです。亡くなった場所だからなんでしょう。
池上本門寺での「お会式」

池上本門寺でのお会式は10月11日から13日まで営まれました。
法要は毎日、「大堂」で営まれたようですが、お会式のピークは12日の夜でした。
『万灯練り供養』が行われたからです。
『万灯(まんどう)』と呼ばれる100基以上の”和紙のしだれ桜”で飾られた五重塔などの灯籠(とうろう)が、日没後から深夜まで、街中から寺の「大堂」を目指して行列を作って練り歩くのです。

行列は、講中(こうじゅう)と呼ばれる日蓮宗関係者のグループによるもので、10数人から30人ぐらいが、ひとかたまりになっていました。

それぞれのグループを先導するのは、江戸時代の火消し衆が始めたという「纏(まとい)」を持った人たち。

纏(まとい)を激しく振り回し、舞いながらグループを先導する人のあとには、うちわ太鼓をドンドン打ち鳴らす人たちが続きます。

笛を吹く人もいます。

「鉦(かね)」というんでしょうか、金属をたたく人もいます。

そして、「万灯(まんどう)」を持つ人たちで構成されているようでした。

よく見ると、万灯(まんどう)の形や大きさはさまざま。五重塔のほかにも、お坊さんの像も登場!

「願いをかなえタイ」というわけでしょうか、タイの神輿も出現しました。
万灯の飾りの「言い伝え」



万灯(まんどう)の周りは、和紙でつくった「しだれ桜」のようなものが飾られています。
これは日蓮聖人が息を引き取ったとき、庭先の桜が10月であるにもかかわらず、季節外れの桜が咲いたという言い伝えによるものだそうです。


日蓮上人が亡くなった場所と庭先の桜。
万灯の3つのタイプ

高く掲げられる万灯には、3つのタイプがありました。
1つ目は、「台車」に乗せられたもの。(上の写真)

2つ目は、神輿で担がれたもの。

3つ目は、1人で持ち上げるタイプ。

「万灯」という「ちょうちん行列」のなか、うちわ太鼓をドンドンたたきながらキビキビ歩くお坊さんの御一行もありました。
96段の石段を上る!神輿

池上本門寺には、戦国武将で日蓮宗の熱心な信者だった加藤清正が整備したと伝わる96段の石段があります。
この暗い坂を、ちょうちんのあかりを左右に揺らしながらゆっくり上がってくる様は幻想的でした。(上の写真)
秋の風物詩ですね。おつかれさまです。