北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍の北アルプスに登っていたころの写真記録、国内外の旅行、反戦平和への思いなどを備忘録として載せています。

からだの豆知識⑨血液はどこでできるの?

氷点下20度の樹氷 (2017年11月22日、フィンランド北部の街、サーリセルカで撮影)

 

 

目次

 

 

 

 

体重の8%が血液

 人の体に血液はどのくらいあるか・・・考えたことはないですよね。

 日本赤十字社の資料(血液用語集)をみましたら、「体内を循環する血液の量には、個人差がありますが、研究の結果、成人の場合、男性で体重の約8%、女性で約7%と言われています」などと書かれていました。

 

 例えば体重が70㎏の男性の私の場合、70×0.08=5.6という計算で、5.6㎏が血液の重さです。血液の比重は水に比べてわずかに大きい程度で大差ないので、血液1㎏=1㍑としますと、約5.6㍑の血液が流れているという計算です。

 

 多いのか少ないのかは別にして、事故などで血液量の20%を急速に失うと、酸素不足で臓器に影響が出るし、30%失うと命が危ないそうです。

 

 ケガをした時は、一刻も早い「止血」が大事。趣味の登山でも、山には救急車は来ませんから、「直接圧迫止血法」というやり方でとにかく止血を、という思いです。

 

 

 

 

血液はどこで生まれるの?

上の図は、「人体のふしぎ 見るだけノート」(坂井建雄監修、宝島社)から引用

 

 

 

骨髄は血液の製造工場

 血液はどこでつくられているんでしょうか。

 教えてもらえる機会がないですが、「骨髄(こつずい)」というところでつくられています。

 「骨髄」は骨の中の、スポンジのような組織にあります。

 

 

 

すべての血球は単一タイプの細胞からつくられる

 骨髄の中に、造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)と呼ばれる細胞がたくさんあります。この細胞はふしぎなことに細胞分裂してどんどん増えて、「赤血球」「白血球」「血小板」の3種類にだんだん変化していくそうです。成熟した血球は、骨髄の中を走る毛細血管に入り、それから全身へと旅立っていくそうです。

 

上の図は、「Newton別冊 人体完全ガイド」から引用

 

 

 

 赤血球などの血球は、20歳ごろまでは全身の骨の骨髄でつくられますが、成人になると、血液をつくる骨髄は頭蓋骨(とうがいこつ)、脊椎骨(せきついこつ)、肋骨(ろっこつ)、骨盤(こつばん)など一部の骨髄のみになります。

 

 

 

 

 

大事なしごとをしています

 血液は何をしているんでしょう。ボーッと全身を流れているんじゃないんですね。

 

血漿のしごと

 血液は、血漿(けっしょう)と呼ばれる液体の部分と、赤血球・白血球・血小板という細胞からできています。

 このうちの血漿(けっしょう)はほとんど水分ですが、タンパク質・糖質・脂質・ミネラルといった栄養素や、ホルモンも含んでいます。

 血漿はこれらの物質や赤血球など血球を、各組織に運ぶ役割を担っているんですね。

 

 

赤血球のしごと

 赤血球は、酸素を肺で取り込んで、毛細血管の中を走って酸素全身の細胞や組織に届けます。「酸素の運搬」という一番大切な営みです。

 赤血球は赤い色をしています。これはその中に含まれているヘモグロビンという物質が赤い色をしているためです。

 

 

白血球のしごと

 白血球は、体内に侵入したウイルスや細菌を取り除いて、身を守ることが任務。「免疫細胞」と呼ばれる細胞です。

 細かくなりますが、白血球には「単球」「顆粒球(かりゅうきゅう)」「リンパ球」の3グループあります。

 「単球」は血管から出て組織に移ると「マクロファージ」や「樹状細胞」になります。

 「顆粒球」には、好中球、好酸球、好塩基球の3つがあります。

 「リンパ球」はT細胞、B細胞、NK細胞があります。リンパ球は血液の中以外にもリンパ節に多くいることから、リンパ球と呼ばれています。

 

 

血小板のしごと

 血小板の役割は、ケガなどして出血した時に、血管の傷ついた部分をふさいで、血を止めることです。

 

 

 

 

 

血液にも寿命がある

赤血球は脾臓(ひぞう)で破壊される

上の図は、「脾臓(ひぞう)」の位置(「文系のためのめっちゃやさしい人体」監修吉川雅英・東大大学院教授、ニュートンプレス)から引用

 

 

 

 

 血液の成分の「赤血球」「白血球」「血小板」には、寿命があるそうです。

 赤血球の平均寿命は約120日(約4ヵ月)といわれ、新陳代謝しています。

 白血球の寿命は種類によって異なり、数時間から数日。血小板の寿命は約10日。

 

 

 寿命が来た「赤血球」は、脾臓(ひぞう)という左わき腹にある臓器で壊されます。その時、赤血球の中にあるヘモグロビンも分解され黄色い【ビリルビン】というゴミになります。

 

 ビリルビンは血流に乗って「肝臓」に運ばれます。肝臓で「胆汁の成分」となり、胆管を通って十二指腸に出て、小腸、大腸に至ります。

 

 

 

 

 

おしっことうんちの色は赤血球の影響

 ビリルビンは、小腸の後半部と大腸で、腸内細菌によって分解されて、「ウロビリノーゲン」さらには「ステルコビリン」という物質に変わり、便と一緒に排出されますうんちの茶色は「ステルコビリン」の色です。

 

 しかし「ウロビリノーゲン」の一部は大腸で吸収されて血管に入り、体内で酸化されて、黄色い「ウロビリン」になります。これがおしっこが黄色い理由です。

 

 

 排せつ物の色は、壊れた赤血球に含まれている「ヘモグロビン」によって生じた色というわけですね。

 

 

 

 

 

【参考資料】

①「すばらしい人体」(山本健人著、2021年発行、ダイヤモンド社

②「Newton別冊 人体完全ガイド」(2018年発行、ニュートンプレス

ほか。