北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍の北アルプスに登っていたころの写真記録、国内外の旅行、反戦平和への思いなどを備忘録として載せています。

からだの豆知識②かぜをひくと、なぜ熱が出るのかな?

 「春」だというのに、標高2300㍍の北アルプス・涸沢のテント場は吹雪でした(2018年5月4日午後撮影)

 

 

 

 

 

 小学1年生を対象にした児童書にあった問題です。

 

 出題はレイトン教授と ふしぎ!なぜ?かがくの話 1年生(栄光ゼミナール監修、2012年発行、主婦と生活社

 

 

【こたえ】

 かぜというのは、からだにかぜのウイルスがはいってふえていくことでおこるびょう気です。

 げん気なときのたいおんは、わたしたちのあたまの中にある「のう」で、いつもおなじくらいになるようにちょうせつされています。

 しかし、かぜをひくと、のうは「ねつを出して、たいおんを上げなさい」と、からだにめいれいします。

 ウイルスはねつによわく、たいおんがたかくなると、ふえにくくなるからです。

 また、たいおんがたかくなると、ちの中で、ウイルスをやっつけてくれる白けっきゅうのたたかいをおうえんしているのですね。

 

 

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発熱のメカニズム

大手医療機器メーカー「テルモ株式会社」が、自社のホームページ「テルモ体温研究所」の中で、次のように書いています。

※監修:永島計・早稲田大学人間科学学術院教授(医師、医学博士)

 

 発熱は、敵ですか味方ですか?

 かぜの原因となるウイルスが侵入してくると、外敵に気づいた免疫細胞たちが一斉に動き出します。免疫細胞は相手を攻撃する力を持つものだけでなく、味方に(侵入してきたウイルスの)情報を知らせる役割を果たすものもいます。こうした伝令のような役割を果たすものが動いて、外敵の侵入情報を脳で体温調節の司令塔となっている「視床下部視床下部)」(という部分に)伝えます。

 外敵の侵入情報を得た視床下部、体の各部に、体温を上げるように指示を出します。この命令に基づき、寒さを感じて服を着たり、布団にくるまったりします。同時に、皮膚の血管が収縮して熱の拡散を抑える反応が開始されます。また、筋肉をふるえさせて熱産生を促します。これらの活動により、体温が上がるのです。

 

 発熱するのは、ウイルスとの戦いを有利にするためです

 発熱が生体(=生きているもの)全体にとって有利に働く理由は、まだ十分に分かっていません。

 しかし、試験管内の実験では、高い温度環境においては免疫細胞の働きがよくなり、ウイルスなどの異物に対する応答が強くなることが示唆されています。このため、発熱は生体にとって有利な応答であると推測されています。

 18~19世紀に解熱剤が開発された時は、発熱は病的な状態なので、すぐに解熱剤を飲んで体温を下げるべきだと考えられていました。

 しかし、現在では、発熱は体が身を守るための生体防御機能の一つ、として理解されるようになっています。

 感染症にかかった時に早い段階で解熱剤を服用すると、治癒(ちゆ)までの期間が長くなるなど予後を悪くする可能性があるといったデータもあります。また、ある種の感染症の治療に対しては、特定の解熱剤で副反応が強まることも報告されています。こうしたことから、安易な解熱剤の使用は控えるべきだといえます

 ただし、高熱が長く続くと体力の消耗や貧血などを引き起こすため、その場合は使用することもあります。また、発熱によるけいれんを起こしたことのある小児の場合は、解熱剤を早めに使うこともあります。

 時と場合によって対処方法は異なりますので、医師の判断を仰ぐようにしてください。

 

 

 

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≪「熱があるとき」の対応≫

 かぜ薬で知られる「コルゲンコーワ」(興和株式会社)のホームページの中の、「意外と知らない かぜ・インフルエンザの話」というサイトには、次のように書かれています。

 

 「かぜをひいて熱が上がるのは、体がウイルスと戦おうとしている証拠。ですから、むやみに熱を下げようとせず、38℃くらいまでは様子を見ましょう。(※ただし、平熱が低い人や発熱に敏感な人、ご年配の方などは、早めにお医者さんの診断を受けましょう。)

 とはいえ、高熱が続くと体力を消耗して、免疫力も下がってしまいます。そこで、カギとなるのが体温の上手なコントロールです。かぜのひきはじめで寒気がするときは、素早く熱を上げてしまいましょう。室温を高くして布団にもぐり込み、体を温めるのがおすすめです。(以下略)」

 

 

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 ★要するに、

「ちょっと熱が出たから解熱剤の服用を、という対応はやめましょう。熱が出るのは、体の中のウイルスをやっつけようと頑張っている証拠なんだから」

ということですね。ただ、緊急事態に備えて解熱剤を枕元に用意しておくことは必要でしょうね。