北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍の北アルプスに登っていたころの写真記録、国内外の旅行、反戦平和への思いなどを備忘録として載せています。

意外!JR「リゾートしらかみ」は人気列車といわれるけれどガラガラだった

 観光列車「リゾートしらかみ」 (2023年4月13日、JR秋田駅で撮影)

 

 

 「『リゾートしらかみ』っていう観光列車に乗ってみない?日本海を見たいから」。

 

 奥様の発案で2023年4月13日(木)、秋田~弘前(または青森)間を走るJR観光列車に乗りました。

 

 車窓からの日本海の荒波の景色は素晴らしかったけれど、人気があるといわれる割には車内はガラガラでした。いったい、なんなんでしょうね。

 

 

目次

 

 

 

日本海をボーッとながめるのもいいもんだ

 観光列車「リゾートしらかみ」は、秋田県青森県をつなぐ五能線(ごのうせん)というローカル線を走る快速列車。特急券は不要で、乗車券と指定席券で乗ることができます。

 

 

 リゾートしらかみは4両編成で、使う車両によって「青池(あおいけ)「橅(ぶな)」「くまげら」の3つのタイプがあります。

 

 

 私たちが乗ったのは、午前10時50分に秋田発の「リゾートしらかみ3号」(くまげら編成)

 

 運転席のうしろは展望スペース 

 

 

 「秋田を出た列車は、4号車を先頭にして奥羽本線を走行。そして走ること50分、「東能代」駅に着きました。

 「東能代」駅では進行方向を変えて、五能線(ごのうせん)に入ります。そのために9分間停車。乗客は自分の手で座席を180度回転させます。

 

 「東能代」駅は五能線の起点になる駅です。

 

 

 ホームの待合室は風変わりで、「くまげら編成」をモチーフにしたつくりになっていました。

 

 

 乗車する前に、秋田駅で買った「駅弁」。「リゾートしらかみ」(くまげら編成)では、5時間も乗るというのに車内販売が行われていないんですよ。

 

 隣の「能代」駅では15分間停車しました。能代市には、バスケットボールの名門校・秋田県能代工業高校があるせいか、駅ホームに設置されているバスケットのゴール(写真左上)に、シュートを打つ体験ができました。シュートを決めれば、記念品として「秋田杉のコースター」をもらえるというイベントです。

 

 

 見事、シュートを決めた私、コースターをゲットしました。

 でも、コースターに書かれていた列車の名前は、「くまげら」ではなくて別の列車「青池」。品切れかしらねえ・・・

 

 

 

絶景ポイントで徐行運転

 「岩館(いわだて)」駅の手前から、日本海の海岸線に出ました。列車はここから始まる絶景ポイントで、「十二湖」駅近くまで徐行運転してくれました。

 

 

 海岸線のゴロゴロした岩に、波が打ち寄せます。

 

 

 

 奇岩・怪石が次々と視界に現れ、車窓から去っていきます。

 

 

 材木の集積場かな。はるか昔の小学生の時、社会科の授業で「能代は木材の産地」と丸暗記しましたが、初めてそのにおいをかぎましたよ。

 

 

 

 

 

 「深浦」駅付近

 

 

 

千畳敷」で15分停車

 列車は「千畳敷(せんじょうじき)」駅に着きました。でも、駅舎はない!

 

 千畳敷は、江戸時代の1792年(寛政4年)に起きた大地震で隆起した岩が、波に侵食されてできたそうです。

 

 名前の由来は、津軽藩の藩主が当時、畳を千畳敷かせて宴をもよおしたからだとか。

 

 15分間の停車時間に、乗客は車道を横断した先にある千畳敷海岸を散策できます。といっても、岩や水と戯れることができるのは実質数分ですが・・・。

 

 

 

 石仏がたくさん、林立する奇岩を祠(ほこら)にして並べられていました。どういうことなんでしょうねえ。

 

 

 

 発車3分前になると、「ポワ~ン、ポワ~ン、ポワ~ン」と出発の合図がありました。

 

 奇妙な形をした岩にぶち当たって砕け散る白波を、列車の窓からボーッと眺める旅もいいもんですな。

 

 

 

 

「乗ること」自体をもっと楽しめたらいいのに・・・

窓は大きく座席の足元もゆったり

 「観光列車」というウリなんですが、車内は天井も床も、装飾らしいものはみられまへんね。

 

 まあそうは言っても、座席は特急列車のようなリクライニングシートであり、前の座席との間は広く、ゆったり脚を伸ばせました。

 

 それに、窓が大きいのは開放感があっていいですね。

 

 先頭車両の1号車と最後尾の4号車には、展望スペースもありますし・・・。

 

 

 

 

車内で「津軽三味線」のライブ演奏会も

 東北の伝統芸能津軽三味線」の生演奏が、先頭の1号車の展望スペースで行われました。

 

 車内アナウンスがあって、私たちも4号車からいそいそと1号車に向かいました。

 

 演奏する女性2人は、「鯵ヶ沢」駅から乗り込んでこられ、20分間ほど「津軽じょんがら節」などの民謡を披露してくださいました。

 津軽三味線を聞くなんて、初体験でした。

 

 

お2人は「五所川原」駅で降りました。

 

 

 

 

乗客はパラパラ

 ところで、最も気になったのが、乗客の数があまりにも少ないこと。平日ということもあるでしょうがそれにしても・・・。

 

 

 これは私たち夫婦が乗った「4号車」。(午後0時18分撮影)

 客はぜんぶで7人です。

 

 

 となりの3号車。(進行方向が変わる前の午前10時47分撮影)

 秋田出発時には、乗客は2人でしたが途中で1人下車し、終点の弘前は真ん中あたりの席の若い女性1人のみ。

 

 

 

 「2号車」の4人掛けボックス席は、8区画のうち3区画に客がいたのみ。

 

 津軽三味線の生演奏が行われた「1号車」は、多くて数人、という寂しさでした。

 

  どうしてなんでしょうかねえ。物足りなさを私は感じましたが・・・・。

 

 

 

 

欲しい観光案内アナウンス

 「観光列車」と銘打つからには、沿線の観光地の案内、歴史上の小話あたりを節目節目に入れてくれると刺激を受けるのですが、ガイドがないのです。ガイド面での車内放送に、物足りなさを感じました。

 

 「鯵ヶ沢」駅付近から見えた岩木山

 

 岩木山が見えても、白神山地付近を通過しても、何のアナウンスもないのです。津軽平野のリンゴ畑についても何のお話もないのです。「観光列車」とはいえませんね。

 

 これは乗務員の問題ではなく、JR東日本の経営トップの姿勢が現れていると思いますよ。

 これでは観光客は増えません。二度と利用しませんね。

 

 

 

五能線」は赤字で観光列車廃止も?

 JR東日本は2022年7月28日、管内のローカル路線の中で、『利用者が少ない区間の収支』を始めて公表しています。

 

 リゾートしらかみ」が走る五能線も、その1つなんですね。

 

 

 発表資料によりますと、2021年度の統計ですが・・・

 100円の運賃収入を得るために必要な費用は、東能代能代区間」で2088円

能代と深浦の区間」だと4852円

 

 五能線」というのは完全に赤字なんですね。「観光列車」は走るけれど、ほかの在来線には沿線住民もほとんど利用しないということですね。その観光列車もガラガラ。

 

 

 JR東日本は、赤字区間バスへの転換に向けて沿線自治体と話し合っていく、と表明しています。

 

 このままでは、観光列車はだけでなく、鉄道も廃止、ということになりそうな雲行きですが、地元では大きな問題にはなっていないようですね。

 

 1観光客としては、観光に訪れた人がもっと満足してくれるようJR東日本秋田支社のスタッフが知恵を出し合って行動してくれることを願うばかりですが、手遅れですかね。

 

 

www.shifukunohitotoki.net