北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍の北アルプスに登っていたころの写真記録、国内外の旅行、反戦平和への思いなどを備忘録として載せています。

新聞社志望の人、必見!【部数ランキング】・・・衰える業界(中)

 読売新聞専売店(都内で)

 

 

目次

 

 

1年間で「朝日」は53万部、「読売」は42万部減った!

 いろんな銘柄の「新聞」がありますが、それぞれどのくらい売れているのか――それは「ABC部数」でだいたいわかります。

 

 ABC部数は、日本ABC協会という広告活動のための会員制組織が作成している新聞発行部数です。

 

 それをみますと、2023年4月時点で、一年前の部数に比べて「朝日」は53万6244部も「販売部数」が減っています。「読売」も42万2474部の減。

 

 「販売部数」は、新聞を発行した新聞社が販売店や即売会社に新聞を送って、その原価を請求した部数のことです。似たような言葉に「発行部数」がありますが、こちらは「印刷した部数」のことであって、商品にならなかったものも含まれます。

 

 新聞離れが止まりません。紙の新聞を読んでくれるのは高齢者ばかり。なんとかしないと、先がありません。

 

新聞「朝刊」の売れ行きランキング(=販売部数の順)

 新聞業界に、一般社団法人・日本新聞協会という組織があります。その調査データによりますと、新聞の「発行部数」が一番多かったのは1997年でした。これをピークに減り続けているんです・

 なにが1997年ごろにあったのか――

 それはインターネットの普及です。Yahoo!ニュースが前年の1996年から、新聞社やテレビ局からニュースの提供を受けてネットで無料配信を始めています。新聞社は自分で自分の首を絞めたようなもんですね。

 

 

 「朝刊」の販売部数の一覧を載せました。全社が前年同月比でマイナスでした。

 

「読売」は、この1年間で42万部余りを減らしました。

「読売」は長い間、公称「1000万部」という部数を誇ってきました。しかし、2011年の「3.11東日本大震災」で7万部を失って以降、部数が減り始めました。いまは「641万部」余りです。

 

 

「朝日」は1年間で53万部余り減っています。2009年までは公称「800万部」でしたが、こちらも「3.11」を境に減り続け、いまやピーク時の半分以下の「375部」余りです。

 この社の場合は、「3.11」の後の2014年に起きた2件の「記事取り消し事件」が致命傷になりましたね。

 

 1つは、アジア太平洋戦争当時の従軍慰安婦」問題を報じた記事について、「慰安婦と女子挺身隊を混同した」「朝鮮半島の女性を強制連行して慰安婦にした、という吉田清治(故人)の証言は虚偽だった」として記事多数を取り消しました。

 

 もう1つは、東京電力福島第一原発事故当時の吉田昌郎所長(当時・故人)が政府事故調の調べに対し答えた「吉田調書」関連。「朝日」は「発電所員の9割が所長の待機命令に違反して福島第二原発に撤退していた」と報道。これについて後日、社長が記者会見し、「間違った表現だったと判断」して記事を削除。そのうえで社長も辞任しました。

 

 この2つの出来事で、「朝日」の信用は地に落ちました。

 

 

「産経」は新聞業界関係者の間では「全国紙」とされていますが、部数は上の表のとおり。販売部数は「100部」を切っており、ブロック紙の「中日」の半分。売れているのは近畿地方と関東地方ですが、東京本社版は2002年に夕刊を廃止しており、朝刊のみ。

 

 

「中日」の販売部数は、4銘柄をあわせて「231万部」。「読売」「朝日」に続いて全国で3位です。

 名古屋本社と東海本社が愛知・岐阜・三重・静岡4県で「中日新聞」を発行。南関東を中心に東京本社が「東京新聞」という商品を発行。金沢にある北陸本社が「北陸中日新聞」を、福井支社が「日刊県民福井」をそれぞれ発行しています。会社は1つです。

 

沖縄県には琉球新報沖縄タイムスという県紙がありますが、データが載っていません。両紙ともABC協会の会員社ですが、月ごとの販売部数を知らせていないと思われます。

 

★千葉県では、「千葉日報」が千葉日報社によって発行されていますが、ABC協会の会員名簿にこの会社の名は載っていません。

 

「販売部数」をめぐる業界の裏事情

ABC部数とは?

 ABC部数は「ABC協会」が第三者機関として、新聞社の「販売部数」を調べて定期的に発表しているレポートです。

 ABC協会(正式名称:一般社団法人日本ABC協会」)は、広告スペースの売り手の「新聞・雑誌・専門紙発行社」、広告スペースの買い手の「広告主」、その仲介をする「広告会社」の3者で構成する組織です。

 部数を発表する目的は、広告取引を公正に行うため、です。

 

 発表される「販売部数」は、以下の3つ。

①新聞社が販売店に送付し、その「原価」を請求した部数

②新聞社が即売会社に送付し、返品を差し引いてその「原価」を請求した部数と、直接「定価」で読者に販売した部数の合計

③新聞社が郵送予約購読者に送付し、その購読料を請求した部数

 

 発表しているのは「販売部数」であって、「印刷した部数」を示す「発行部数」ではありません。

 

 

「残紙」も含まれている

 これは注意しなければいけませんが、ABC部数には、読者に売らずに販売店に残っている「残紙(ざんし)」も含まれているということです。

 

 「残紙」は配達されない部数です。このため売店が実際に配達している「実配数」は、ABC部数の「販売部数」よりも少ないのです。

 

 

 

「残紙」「押し紙」「予備紙」?

 その残紙についてですが、押し紙」とか「予備紙」という呼び方が新聞販売現場にあるようです。

 

 「押し紙」というのは、新聞社が販売店に押し付ける形で引き取らせている部数というニュアンスで使われます。

 一方、「予備紙」は、配達中に新聞紙が雨にぬれたり破れたり、誤配などに備えて販売店が自分の判断で余計に仕入れているという新聞のことです。

 

 似ていますが、ニュアンスが違いますね。元新聞販売店主が特定の新聞社を相手取って起こした裁判で、法廷で使われている用語でもあります。

 

 「残紙」問題については、販売部門は神経質になっています。

 

 

 

部数減には「残紙」の整理も?

 部数の大幅減は各販売店「残紙」を減らしている可能性も考えられる、と、元販売局で幹部だった知人は言います。

 

 新聞販売店にとって、新聞社から引き受ける部数を減らすということは、新聞折込チラシも減る、ということでもあります。

 扱い部数が減ってチラシの宣伝効果に疑念を抱いた地元商店からは、チラシの依頼が減るかもしれません

 実は、チラシを新聞にさしはさむ手数料は、そのまま新聞販売店の独自の収入になるんです。新聞社に渡す必要はないのです。

 それでももろもろの経費節減のために「残紙」を極力減らしているのであれば、経営がかなり厳しいんでしょう。

 現に、新聞購読の長期契約をしているわが家でも、販売店がサービスで届けてくれていたトイレットペーパーの数も減り、美術展などのチケットはいつの間にかなくなりました。

 

 

 

新聞離れの背景 

 「紙」の新聞が読まれなくなっていく背景はなんでしょう。すぐ思い浮かぶのは――

①ニュースはネット配信の方が速く、しかも無料。

②夕刊に載った記事が朝刊にそのまま返されている。夕刊の読者が少ないため重要な記事を再掲するのですが、手を抜いて手直しもしておらずセット読者を愚弄している。

③役所や民間企業からの「広報」はネットで直接アクセスできる時代。

④「動画」が興味深いのに、新聞には埋め込めない。

⑤そもそも毎月5千円も支払って読む必要性を感じない、という20~40代の増加。

 

 「紙」の新聞に魅力を見出すには、なにかうまい方法はないかしらん。

 

 

 

www.shifukunohitotoki.net

 

www.shifukunohitotoki.net

 

 

www.shifukunohitotoki.net