
羽田空港で見かけた『ジンベエジェット』(本文と無関係です)
ヒコーキに乗っていて、目的地の空港の滑走路がすぐそこに見えて、さあ着いたぞと思ったときに、ヒコーキが着地せずにまた上昇を始めたら、どうでしょう。
「どうしたんだろう、大丈夫か・・・」と緊張するでしょうね。スムーズに滑走路に降りて当たり前ですから。
ところが・・・・・羽田空港で2025年10月6日、【ゴーアラウンド(Go‐around)】という、着陸のやり直しをするシーンに遭遇しました。
メディアで騒ぐほどの話ではありませんでしたが、この機会に「ゴーアラウンド」について調べました。
目次

(ゴーアラウンドのイメージ図)
JALの格納庫を見学

10月6日の午前中、羽田空港のJAL格納庫に入って機体の整備の様子を見学していました。
点検作業中の「ボーイング737」や「ボーイング767」の説明を案内人から聞くとともに、格納庫前の「ランウェイ34L」から「A滑走路」に着陸してくるヒコーキの写真をコンパクトデジカメで撮っていました。


着地寸前のJALの「ボーイング737‐800」(上の写真)を撮影。(午前11時01分)。小型機です。
その2分後のことです。A滑走路に向かって降りてきたANAのボーイング787‐9をカメラに収めようとしていたところ、なんと、急に機首を上げて、そのまま飛び去ってしまいました。(下の写真)


(午前11時03分撮影)
「ありゃ、着陸のやり直しか。珍しいなあ」。そう思っていると・・・・。

その次に降下してきたANA機(上の写真)も機首を徐々に上げて、滑走路を通過していきました。(午前11時04分撮影)

そしてその次のANAのボーイング787も通過です。
「ゴーアラウンドだ。実際に見たのは初めてだよ」「滑走路でなんかあったんでしょうね」と、見学にきた皆さんはザワザワ。
3機がゴーアラウンドを実施したのを確認したところで、格納庫内の見学時間は終了。退去しました。
ゴーアラウンドの話
羽田空港では4本の滑走路を使って、1日におよそ1300回、ヒコーキが離着陸しています。2分から3分の間に、1回離着陸があります。
たくさんの飛行機を裁くためには、1機が滑走路に滞在する時間を、到着機の場合は「滑走路に接地して減速し、機体が完全に滑走路を抜けるまでに「90秒」、出発機が滑走路に入って加速し離陸するまでに「90秒」、というタイムテーブルをスムーズにこなす必要があります。
ところが、何かの原因で着陸しようとしていたヒコーキが滑走路に降りることができなくなると、ゴーアラウンドとなるわけですね。
ゴーアラウンドとなると、ヒコーキは管制塔の最上部から監視している管制官の指示で、羽田空港上空で着陸許可がでるまで「待機」することになります。
ヘリコプターのようにホバリングできないので、大きく旋回を続けるわけです。
滑走路は一時的に閉鎖
そんな光景を見てから1時間後、羽田空港第3ターミナルビルに戻って「展望ロビー」からA滑走路を見下ろしますと、A滑走路への「着陸」は再開されていました。
帰宅後、SNSをチェックすると、以下のような書き込みがありました。
●「機長からのアナウンスによりますと、羽田空港一時的に滑走路閉鎖で木更津上空でホールド中・・・。」(午前11時17分)
●「JALのA350‐900。羽田空港はバードストライク発生で滑走路が混雑中。離陸まで40分でした。」(午後0時24分)
●「今回も羽田空港のバードストライクで30分遅れての離陸!そんなにおこるもんかな?2回連続したんだけど。」(午後1時01分)
●「羽田空港バードストライクで1時間出発遅れてます。」(午後1時54分)
どうやら、バードストライクがA滑走路で起きて、滑走路を短時間閉鎖。これに伴って上空を旋回しながら待機する到着機や、羽田からの出発が遅れた便がたくさん出た、ということですね。
ゴーアラウンドは1年間に約800回

統計のうえで、ゴーアラウンドはどのくらい起きているんでしょうか。
国土交通省がまとめた『羽田空港におけるゴーアラウンド発生件数』(2024年4月~2025年3月』というデータをネット上で見つけました。
1年間に羽田の4本の滑走路で起きたゴーアラウンドは計771回でした。
このうち一番多いのは、北西の風のときに千葉県木更津市方面から「A滑走路」の「34L」に着陸したときで、半数近い327回。次いで南風のときに江戸川区方面から「B滑走路」の「22」に着陸したときで288回です。
もう1つ、羽田空港のある大田区が区議会に出した資料があります。それをみますと、2024年1月から10月までの10ヵ月間に、羽田空港のA滑走路とB滑走路で発生したゴーアラウンドは合計431回となっています。


(大田区が区議会に出した資料の一部)
こわい「ウインドシアー」
大田区の資料には、ゴーアラウンドに至った「理由」が書かれています。
「431件」のうち、最も多いのは「気象」で142件(33%)。
「滑走路視認できなかったため」「ウインドシアー」「気象の乱れにより進入が安定しなかったため」など。
このうちの「ウインドシアー」は、局地的に風向きや風速が急激に変化する現象のことです。
ヒコーキが着陸直前にこの現象に遭遇すると、急降下して地面にたたきつけられるようにおりてしまうことがあり、事故につながるそうです。
気象に関係してゴーアラウンドするかどうかは、管制塔の管制官ではなくパイロット自身が判断するようですね。
ゴーアラウンドの原因の4件に1件が「鳥」
「気象」に次いで多いのが「バードストライクによる滑走路閉鎖」です。
104件(24%)で、全体の4件に1件がこれです。
バードストライクは鳥と衝突すること。鳥は低空で飛ぶので離着陸のときによく起こります。
パイロットが衝突に気づいて管制官に通報すると、滑走路が閉鎖されて点検車両が鳥の死骸の発見に出動します。
鳥の死骸が滑走路上に転がっていると、別の鳥が群がるので排除する必要があるようです。
一番危険なのはエンジンに吸い込まれた場合で、エンジンの出力が低下した場合、停止して墜落するそうです。
ただ、いまのところ、国内では墜落につながった事例はありません。
羽田空港は海に面しているため鳥が多く、毎日係りの人が散弾銃の空砲で鳥を追い払っていますが、妙案はないようです。
3番目に多いのは、「先行到着機の滑走路離脱遅れ」で95件(22%)。
着陸したヒコーキがいつまで滑走路に残っていると、すぐそこまで来ているヒコーキは着陸できません。過密空港ですから、羽田は。
まとめ
羽田空港では1日に1300回も「離陸」と「着陸」があります。「ゴーアラウンド」は毎日毎日起きているわけではありません。
でも、ゴーアラウンドとなると、通常の飛行コースと違うところを低く飛ぶこともあります。
羽田空港に近い大田区や品川区あたりにいる人にとっては「どうしたんだろう、だいじょうぶかね」と、気が気ではありません。