薬王院の天狗
高尾山(たかおさん)は、東京西部の八王子市にある山です。標高は599㍍。
この山に、会社のOB5人で小雨が降る2023年1月16日(月曜日)に行ってきました。
目次
登山コースの案内図(高尾登山鉄道HPから引用)
京王線の電車の吊り下げ広告・・・うまいキャッチコピーだ。「そうか、高尾山の山頂から見える冬の富士山は素晴らしいんだ」と思えてきますわ。
京王線「新宿」駅から特急に乗って1時間で、登山口の「高尾山口」に着きました。
リフトやケーブルカーの乗り場(標高201㍍)。
「高尾山口」駅から歩いて5分ぐらい。
往復で950円。
リフトで中腹の標高462㍍地点まで運んでくれます。わずか12分で。山頂は標高599㍍だから、あとちょこっと歩くだけ。
この高尾山は、「コロナ禍」以前は外国人が多かったようです。フランスのタイヤメーカー、ミシュラン社が2007年4月に発行した日本版の旅行ガイドブック「ミシュラン」で、高尾山が富士山や京都と同じ、評価が最高の「3つ星」を獲得して以降、多く訪れるようになったとか。
この日は朝から小雨。リフトなんぞに雨に打たれて乗る変人は、ほかにいない!
リフト終点から「薬王院」までゆったり歩く
リフトの終点駅です。標高462㍍。山頂(標高599㍍)までの標高差はごくわずかですが、緩やかな傾斜の道を時間をかけて歩くことになります。
5分ほど歩いたケーブルカー終点駅の隣にあったダンゴ屋さん。炭火で焼いていました。
高尾山には、ハイキングコースが6本あります。
そのうちの「1号路」という舗装された、山歩きが初めてという人向きの超安全ルートを進みました。
ニホンザルが飼育されている「さる園」を過ぎると、「たこ杉」という観光スポットに着きます。
「たこ杉」は根っこがタコの足のように曲がりくねっている杉の大木。樹齢が450年と書いてあります。
「浄心門」(上の図の右下)をくぐると、道は二手に分かれます。左は108段の階段がある「男坂」。右は緩やかな坂道が続く「女坂」。迷わず「女坂」を進みました。
「女坂」を登りきると、「男坂」と合流。
女坂と男坂にはさまれた空間にいくことができる舗装路がありました。「シベリア抑留者慰霊碑」という案内板も。
そこにおじさん5人連れは入っていきました。観光目当ての登山客は入っていかないような特異な空間が、その先にありました。
ガスで見通しは悪いんですが、ぼんやりと「白い塔」がみえます。仏舎利塔です。高さは18㍍ほど。
「お釈迦様の遺骨」が納められている、ということをあとで知りました。タイの王室から日本とタイの友好関係のしるしとして1930年に授けられたとのこと。
仏舎利塔の前に、像がありました。両側に「天狗」を従えた御本尊の飯縄大権現(いづなだいごんげん)の像だと、これもあとで知りました。
こちらは、硫黄島での戦死者の慰霊碑。碑は、硫黄島の形をしています。
硫黄島では1945年(昭和20年)2月の米軍との戦闘で、日本兵2万人が戦死しており、碑は生存者の1人が供養と平和を祈った建てたそうです。
薬王院
さて、少し進むと、薬王院の山門にぶつかります。
薬王院は、正式名が「高尾山薬王院有喜寺」。いまから1300年前の奈良時代に、行基(ぎょうき)という僧侶が開山した真言宗の寺。高尾山の山腹にあります。
行基は聖武天皇の依頼で「奈良の大仏」を造った責任者でもあります。
寺を建てた当初は、「薬師如来」を御本尊としていましたが、その後、寺が衰退。14世紀になってから中興され、いまの御本尊の飯縄大権現(いづなだいごんげん)がまつられたということです。
山門をくぐって境内に入りますと、すぐ右手に天狗の像が2体、目に飛び込んできます。
天狗は、御本尊の飯縄大権現の護衛官、今ふうのSPという立場でした。
右側に建つ像(上の写真)は、うちわを持った「大天狗」。鼻は高く、翼を広げています。
左側の像は、カラスのようなクチバシをした「小天狗」。「魔」を断つための剣を振り上げています。
おじさん一行が上る階段の先にあるオレンジ色の門が仁王門。その門をくぐると、仁王門で一番大きな建物の「本堂」がありました。
薬王院の本堂。この本堂では、「薬師如来」と「飯縄大権現」の両方をおまつりしています。
鎌倉時代までは薬師如来が御本尊、それ以降は飯縄大権現が中興の御本尊ということだそうです。
「本堂」からさらに石段を登ると、朱色の鳥居があり、一見、神社のように思えます。その先に色鮮やかな「本社」がありました。
この薬王院はお寺ですが、明治時代になるまでは「神道」と「仏教」が混然一体となっていたことの現れというか、名残りですね。
薬王院から高尾山頂へ
高尾山頂に到着。人影まばら。
天気が良ければ、ここから富士山も南アルプスの山々も見えるそうですが、この日はガスの中・・・。
山頂には「お茶屋さん」が3軒あって、とろろそばを食べられるとされていますが、実際は平日や客が少ない雨の日は休みが多いらしい。
帰りはケーブルカーを使って下山
帰りは「3号路」を歩いて下山しました。
「3号路」は見晴らしはよくありませんが、通る人が少ないため静かな山歩きができます。40~50分間、緩やかな道を下ると「1号路」の浄心門近くに合流しました。
ただ、途中の道は狭く、木の根が浮き出ている場所があります。雨の日に根っこの上に靴を置くと、確実に滑りますのでご注意を。
「1号路」と合流した後はケーブルカーでらくちん下山。
京王線・高尾山口駅の隣には「極楽湯」という日帰り温泉があり、ぬるめの湯につかった後は、軽く宴会。疲れを知らないらくちんハイキングでした。