五色沼避難小屋
はてなブログのお題「動物に襲われた記憶」をみたとき、❝あの時の記憶❞がよみがえりました。
襲われた、というのとちょっと違いますが、携行していた食い物を狙われたことです。雪深い山の中の小屋での出来事でした。
2003年3月15日夜から16日未明にかけて――。栃木県の日光湯元スキー場から「前白根山(標高2373㍍)」、「五色沼(ごしきぬま)避難小屋」経由で「日光白根山(にっこうしらねさん)(標高2578㍍)」に登った時です。
ゾ~ッとしたのは、五色沼避難小屋でのことです。
そのまえに、いちおう「避難小屋」の説明をしておきますね。
これは普通にいう「山小屋」と違って、文字通り「災難を避ける」ための小屋です。雷や大雨といった悪天候の時に逃げ込むことができる山の中に建てられた小さな小屋です。
管理人は常駐していないことがほとんどで、寝具はないのが普通。都道府県や市町村が山の中に建てるケースがほとんどで、地元山岳会あたりに管理をゆだねる場合もあります。
使用料金はたいていの場合、後日、管理している組織に協力金名目で送りますが、無料の小屋もあるようです。
話を本題に戻します。
五色沼避難小屋に、山岳会の仲間と2人で、日光白根山に登る前夜、宿泊したんです。薄暗い小屋の中に、2階の窓を開けて入った記憶があります。
冬期は1階の引き戸が雪に埋もれてしまうために、2階の窓が出入り口になるんですね。ほかの山の冬期小屋もほとんどそうです。
小屋には我々以外に泊まり客がいないようで、貸切状態でした。
小屋の中は2段ベッドらしく、広い2階部分に持参したテント(1~2人用)を張りました。寒かったからです。
小屋の中の構造は暗かったこともあって、どんな配置か記憶がないんです。(あとで調べたら、20人ぐらい泊まるスペースがあるようです。)
小屋の中の、しかもテントの中で食事をしたあと、とにかく寒いので早めにシュラフにもぐり込みました。
ところが、です。暗闇の中で、なにやら「ガタッ、ガタッ」「トントン、トントン」なんていう音がするんです。
だれか、寝ている人がいるんかなあ、と思いました。
音はすぐやみましたが、しばらくするとまた、「ガサッ」。
そのうち、テントの横の、ナイロン1枚隔てた私の耳元あたりで、「ガサッガサッ」と音がしました。体に鳥肌が立ちましたよ。
仲間はガバッと上半身を起こして、「なんか、いるんじゃないか!」。
私はシュラフをかぶったまま、「ネズミじゃあないかなあ。食い物はぜんぶ、テントの中に入れてあるよねえ」と多分言ったと思うんですが、怖くて、テントのチャックを開けて外を見るようなことはしませんでした。
仲間も気味悪がって、なかなか寝付けなかったようです。
下山後、ネットでいろいろ検索して調べましたら、やはり、あそこは、ネズミさんのお住まいでもありました。ことらがお邪魔したんですね。
しかしまあ、独りであの避難小屋に泊まっていたら、きっと怖かったでしょうね。真っ暗で、だれもいない雪山の中ですから・・・・。
避難小屋の窓が2階部分。そこが出入口でした。
◇ ◇ ◇
さて、肝心の雪山登山ですが・・・
日光白根山への登りは、かなりの急斜面でした。山頂へのトレースはありませんでした。
真っ白な雪面にキックステップを一発で決め、しっかりした雪の階段をつくって快適に登りました。自分が先頭に立って、青空の下、山頂へのルートを切り拓いていく気分はそう快でした。あの快感はいつまでたっても忘れないですね。
3月16日の午前10時前に、山頂に立ちました。
こちらの写真は、前日に撮った写真で、場所は前白根山の山頂。
このあとで五色沼避難小屋に向かったわけです。