北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍の北アルプスに登っていたころの写真記録、国内外の旅行、反戦平和への思いなどを備忘録として載せています。

活火山・焼岳の魅力を満喫

 焼岳・北峰のピークからみた正賀池と南峰

 

 

 

 

 長野県の上高地バスターミナルの西にそびえる赤茶けた活火山・焼岳(やけだけ)に、初めて登ってきました。

 

 

 5月25日(木)早朝、曇り空のもと、上高地バスターミナルを出発。帝国ホテル脇、田代橋(たしろばし)を経て、焼岳の北峰(標高2393㍍)に登頂。「新中の湯登山口」に下山する縦走です。

 

 

 焼岳登山者の9割「新中の湯登山口」から焼岳までのピストン」を選んでいますので、私はレアケースかもしれません。

 

 楽しかったです。焼岳小屋を過ぎて山頂近くまで登ると、あちこちで「シューッ、シューッ」と白いガスが噴出していて、「この山は生きているんだ」と感動しました。

 

 

目次

 

 

 

 

ゆったりとした私のコースタイム

 ルート図(地図アプリYAMAPから引用)

 

 

 ・ザックの重さ=12㌔

 ・ヘルメット着用

 ・チェーンスパイク=携行するも不使用

 ・ストック1本=携行するも不使用

 

 

5:43上高地BT~6:18田代橋~6.32焼岳登山口~8:36焼岳小屋前~9:06「焼岳展望台」(7分滞在)~9:18中尾峠(7分滞在)~10:15焼岳北峰(1時間44分滞在)~12:38広場(5分滞在)~14:05「新中の湯登山口」

 

 ・歩いた距離=10.2㌔

 ・時間=8時間22分(休憩含む)⇐ゆったりペースです

 

 

 

ハシゴが連続するルートでした

 

 上高地バスターミナルからみた焼岳(5月25日午前5時15分撮影)

 

 田代橋

 

 焼岳登山口

 「クマよけ鈴」をザックに着けて、鳴らしながら歩きました。ツキノワグマには早朝に出あうことが多いようなので・・・。

 

 最初に出てきたハシゴ

 

 

 ガケに、タナのようにかけられた「桟道(さんどう)」

 

 2つめ、3つめ、4つめ、5つめ・・・と、続きますね

 

 そうこうするうち、目の前に焼岳が迫ってきました。それにしても、「峠沢」(写真中央部)のえぐられ方は強烈です。溶岩が流れ下った跡のようです。

 

 

 見えてきましたね、ウワサの長いハシゴ。垂直に近いですね。でも、人が落ちた、というニュースはないですよね。

 

 3本のハシゴがつながれていて、数えたら「28段」ありました。

 足をきちんと乗せ、手で横に渡してあるバーをしっかりつかんで一歩一歩登れば、何の心配もいりません。

 

 ハシゴのすぐ上は、こんな一枚岩。上部に鎖が垂れています。

 

 

 

「新中尾峠」に建つ「焼岳小屋」

 緑色の屋根が見えてきました。

 

 

 焼岳小屋

 

 小屋のトイレ

 

 焼岳小屋は「新中尾峠」に建っていました

 

 「新中尾峠」は、3方向の分岐点。登って来た「上高地」方面と、「岐阜県側の西穂高岳や中尾」方面、それに、これから向かう「焼岳」方面です。

 

解説

 【焼岳小屋】はここに建つ前は、この先の【中尾峠】にありました。ここに移転したわけは、1962年(昭和37年)6月17日夜に起きた水蒸気噴火です。

 

 マグマの熱で、近くの地下水が水蒸気になって噴き出すのが水蒸気噴火なんですが、火口の北の「中尾峠」に当時あった焼岳小屋では、小屋番の2人が、火口から飛んできた噴石で大けがをしました。(気象庁HPなどの情報)

 

 噴火から6年後に、焼岳小屋は、現在の「新中尾峠」に移築され、今は松本市が管理・運営しています。老朽化が進んでいるために、松本市は2024年度から宿泊営業をやめて、噴火の発生を想定した無人シェルターにする方針のようですよ。

 

 

 

素晴らしい「焼岳展望台」

 焼岳小屋から10分ほど登ると、通称「焼岳展望台」に着きます。

 

 登山道の左に、パカンと穴が開いていて、何やら薄いガスが出ている感じ。手のひらをかざすと、「アッチッチ」。

 

 なにより強烈なインパクトを受けたのは、焼岳展望台のあちこちから、火山ガスが噴出していたことです。こんな光景は、日常生活とは無縁ですよね。

 ここは火山なんだ、生きている山なんだ、と、やや緊張しました。

 

解説

 穴から噴き出している物質を「火山ガス」というようです。

 火山ガスは地下のマグマに溶け込んでいた水素、酸素、硫黄、塩素などの成分が、マグマから分かれて地表に向かって上昇し、途中で「地下水」とも触れて水蒸気や二酸化硫黄、二酸化炭素硫化水素などとなって地表に放出されます。

 火山ガスの成分は、「水蒸気が90%以上」だそうです。気象庁HP)

 

 焼岳展望台からは、正面に焼岳の全容を見ることができました。 

 真ん中の大きな溶岩ドームがこれから目指す「北峰」、その右に突き出している岩が立ち入り禁止の「南峰」。

 

 

 焼岳展望台からは、霞沢岳と、その下に大正池が見えますね。

 

 

 

中尾峠

 焼岳展望台から少しだけ下ったところが中尾峠です。

 「峠」という表示は何もありませんので、ここがどこか分かる人はごくわずかでしょう。

 ただ、右に行くと「中尾」への登山道がある気配。左側には上高地から登ってくる登山道があったらしいですが、1962年(昭和37年)の水蒸気噴火で使えなくなった、という理由で、「新中尾峠」を通るように付け替えられたということです。

 

 

 いよいよ焼岳への最後の登りになります。

 山腹からは、あちこちで白い噴気が立ち上ります。

 

 振り返ると、先ほどまでいた「焼岳展望台」と、その向こうに緑色の屋根の「焼岳小屋」、さらには上高地からの登山道(写真右下)がみえました。

 

 

 

焼岳山頂(北峰)

 上高地側から北峰のピークに登るためには、左側から回り込むようにして高度をかせぎます。

 

 溶岩の塊ですね

 

 焼岳・北峰の下で、左から「新中の湯登山口」からの登山道と合流します。(左の山は、立ち入り禁止の「南峰」)

 

 北峰のピークは目と鼻の先ですが、左手上方では噴気孔からガスが「シューッ」と音を立てて吹き出し、近くの岩には黄色い硫黄が付着しています。

 その横を通過してピークに立ちました。

 

 目の前にさえぎるものはなく、360度の眺望を楽しみました。

 

 

 焼岳・北峰のピーク

 

 焼岳・北峰のピーク、標高2393㍍。焼岳は最高峰が南峰(標高2455㍍)ですが、崩壊が激しいために立ち入り禁止になっており、北峰が立ち入ることができる最高地点なんです。

 

 槍ヶ岳

 

 写真の左側は、奥穂高岳(左上)から前穂高岳の吊尾根

 

 乗鞍岳方面

 

 写真左端に、奥穂高岳から西穂高岳への縦走路。ジャンダルムも見えますね

 

 上高地

 

 笠ヶ岳

 

 奥に、南アルプス方面の山々

 

 焼岳・北峰のピークから見下ろした噴気孔。山頂で一番元気な噴気孔ですね

 

解説

 焼岳の山頂の北峰と南峰は、2300年前の「マグマ噴火」の時にできた溶岩ドームなんですね。(気象庁HPなどから引用)

 「溶岩ドーム」というのは、地球内部の岩石がドロドロに溶けたマグマが噴き出す「マグマ噴火」の時に、地表に現れた溶岩が斜面を下ることなくその場でお椀を伏せたように固まったものです。

 

 

 

 

正賀池

 北峰のピークに立つと、眼下に火口湖が見えます。正賀池(しょうがいけ)といいます。気象庁のデータによりますと、1907年(明治40年)から1911年にかけて起きた水蒸気噴火によって、火口に水がたまってできた火口湖だそうです。

 正賀池をはさんで左手(南)にあるのが南峰(2455㍍)。南峰には国土地理院の二等三角点が置かれているのですが、地元自治体や警察が立ち入り禁止にしています。

 

 雪がだいぶ溶けて、エメラルドグリーンの水面が姿を見せていますね

 

 正賀池の右にある穴も火口なんです。「隠居穴」という名前が付いています。911に形成された火口です。

 

 

焼岳・北峰から「中の湯温泉」に下山へ

 噴気孔の横を通り、正賀池を間近でみたら、減算します。南峰と北峰のコルから、一気に下山します。

 

 

 下山途中に「広場」があって、休憩ポイントになっています。後ろは焼岳。

 

 

 登山道で、仰向けにひっくり返っている車。登山道の上は、ヘアピンカーブが連続する「安房峠道路」。そこから転落したようです。

 数十年前に起きたことですが、資料が見当たらず、事情は分かりまへん。

 

 「新中の湯登山口」に出ました。駐車スペースは10台ぐらい。数分で今宵の宿、中の湯温泉旅館に着きました。

 

 

www.shifukunohitotoki.net

 

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