涸沢の水源が枯れ、「飲み水」持参を山小屋が呼びかけ
驚きました。北アルプス涸沢(からさわ)の山小屋「涸沢ヒュッテ」が「x」(旧ツイッター)で、『緊急!水不足!!』などという情報を流したんです。2023年9月15日です。
いわく――
【深刻な水不足の影響により、現在涸沢においては、宿泊、テント泊、お立ち寄りのお客様に対して、飲料水を含め水の提供ができない状態となっております。「徳沢」「横尾」にて水が汲めますので、どちらかにおいて必ず必要な量の水をお持ちの上、向かうようお願いいたします。】
【涸沢には現在、水がありません。全てのお客様(宿泊者の方も)に対して、飲料水のご提供ができません。横尾で十分な水をお持ちの上、お越しください。誠に申し訳ございません。】
9月下旬から涸沢が誇る≪紅葉シーズン≫が始まろうとしているのに、「水」がないから麓から自分で背負ってくるように、というお願いですね。
標高2300㍍に建つ「涸沢ヒュッテ」や「涸沢小屋」では毎年、4月下旬の小屋開けに向けて、雪山を登って水源の沢を掘り出し、ホースで雪解け水を小屋まで引っ張ってくるのですが、昨冬は雪が少なかったうえ、この猛暑で雪解けが速く水不足になったのですね。
そんなことから今年は予定していた10月4日の涸沢入りを止めました。
4年前を回想しました。
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涸沢の紅葉を見ずして穂高を語ることなかれ
この名言は、山小屋「涸沢ヒュッテ」のオーナーの作だと思われますが、実際、涸沢カールの紅葉は素晴らしい。
涸沢ヒュッテのテラスから見て、左から奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳と連なる3000mの岩峰の斜面は、秋の深まりとともに色づくダケカンバの黄色の葉と、ナナカマドの赤い実と赤い葉が、みる者の心をひきつけます。
2019年9月27日早朝、上高地を出発して、昼に涸沢のテント場に着きました。
しかし、ことしは残暑が厳しく気温の高い日が続いているために、心を打つような素晴らしい紅葉にはお目にかかれませんでした。
涸沢カール (9月27日正午撮影)
まだ葉が緑色のナナカマド。実は赤い。向こうにみえるのは常念山脈。
(9月27日午後2時、涸沢ヒュッテの前から撮影)
広い涸沢カールの中で、唯一、真っ赤に葉が色づいていたナナカマドの木。
バックは前穂高岳。 (9月27日午後2時45分撮影)
雲が低く垂れ込める涸沢カール。 (9月28日午前6時45分撮影)
雲の切れ間から薄日がさした涸沢カール。紅葉のピークはもうちょっと先です。
(9月28日午前6時50分撮影)
涸沢小屋の少し上でパチリ。まだまだ緑の部分が残ります。 (9月28日正午撮影)
小雨のあとのナナカマド。丸い水滴がいい感じ。 (同上)
涸沢ヒュッテ裏のパノラマ新道のナナカマド。(9月28日午後撮影)
先日通過した台風のせいでしょうか、傷んだナナカマドもあります。 (同上)
赤くなり始めたナナカマドの実 (同上)
紅葉のメカニズム
どうして木々は紅葉するのだろうか。
研究者の説明によると、紅葉が始まるのは、①日照時間が短くなって日差しが弱くなること②気温が低くなることーーこの2つの条件が必要なようです。
そして、色の変化は色素によるとのことです。
葉は、春から夏にかけて「緑」に見えますが、これは葉の中の「クロロフィル(葉緑素)」という物質(色素)が、太陽の光の3原色(赤、緑、青)の中で赤と青を吸収し、「緑」色だけを反射するために、人間の目には「緑色」に見えるわけです。
このクロロフィルが太陽の光を浴びて「空気中の二酸化炭素と水」から、栄養素である「糖質と酸素」をつくる"光合成”をします。
ところが日照時間が短くなると、クロロフィルの働きが弱くなる一方で、葉の中の「カロチン」という物質が強くなってきます。カロチンは青い光は吸収するものの、赤と緑を反射するため、赤と緑が混じって「黄色」に見えます。
また、日照時間が短くなって、光合成でできた糖質が枝や幹に移動できなくなると、葉の糖質が過剰になって「アントシアニン」という物質(色素)が生まれます。これが赤い光を反射するために葉が「赤色」に見えます。
やがて、木は生き続けるために葉を落とします。これは葉からの水分の蒸発を止めるためだ考えられます。
美しく紅葉する条件
気象条件によって、紅葉の美しさは変わります。美しくなるには、
①晴れの日が続き、太陽の光がタップリ葉に当たること
②昼と夜の寒暖の差が大きく、夜には急に冷え込むこと
③葉が枯れない程度に適度の湿気があることーーです。
見ごろ
涸沢カールは10月初めごろ、もっと下のほうは10日前後かな。
2021年は10月7、8日に滞在しましたが、「1週間遅かった」という印象でした。
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