北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍の北アルプスに登っていたころの写真記録、国内外の旅行、反戦平和への思いなどを備忘録として載せています。

紅葉の谷川岳と一ノ倉沢ハイキングと土合駅地下トンネルの話≪下≫

 谷川岳マチガ沢出合の岩にある遭難者のレリーフ (2022年10月14日撮影)

 

 

 

(続きです)

 

目次

 

 

 

「ホテル湯の陣」に泊まった

 紅葉の谷川岳(たにがわだけ)にロープウェイで登った2022年10月13日の夜は、JR湯檜曽(ゆびそ)駅に近いホテル湯の陣という老朽化が進む温泉ホテルに泊まりました。

 

 

 なぜここなのか・・・

 ほかでもない、「早割60」というプランがあって安かったからなんです。「夕食時はアルコール飲み放題」で、なんと、1泊2食付き・和室で7630円(税込み)

 

 それと、「温泉」だということ。もうひとつ、JR土合駅近くに「土合山の家」という名の知れた登山者向けの宿があるんですが、ここに電話したら「1人ではお泊めできません」と断られたました。20年ほど前は1人でここに泊まったことがあるんですが、いつから方針を変えたんでしょうかね。

 

 「ホテル湯の陣」は㈱伊藤園ホテルズが運営している観光ホテル。この会社は経営が行き詰った温泉ホテルを買いとって再生させる事業をしているらしく、徹底した合理化経営で、全国で50ほど運営しているとか。

 

 

 

夕食はバイキング

 夕食はバイキング形式で、70分間、食べ放題。メニューは豪華とはとても言えませんでしたが、豚肉料理はたっぷり。私好みの「牛肉」はありませんでした。


 「アルコール飲み放題」という誘い文句にも乗ってしまったのですが、用意されていたのは生ビールのほかは、日本酒(群馬の地酒「聖徳」の熱燗)、赤ワイン(やや甘口)、梅酒。

 私好みの「日本酒の冷酒」「赤ワイン(辛口)」はなかったですね。

 まあそれでも、お腹はいっぱいになりました。宿泊料金からして、こんなもんでしょう。

 

 

 

 

絶景の「一ノ倉沢」まで国道を歩いた

 一夜明けた10月14日(金)。前日と同様、小雨が朝から降っていました。

 この日は、有名な一ノ倉沢出合(いちのくらさわであい)という標高870㍍の地点まで行って、そそり立つ岩壁を仰ぎ見ます!

 

 

 

 上のイラストの下の部分に「一ノ倉沢トレッキングコース」と書かれているルートです。(「谷川岳ロープウェイ」作成パンフから引用)

 

 ロープウェイの「土合口駅」からトイレのある「一ノ倉沢出合」まで標高差は120㍍ほどありますが、舗装された道路で傾斜も緩やかです。ご高齢の夫婦にもすれ違いました。片道1時間ぐらいです。

 

 

 

 

朝ごはんもバイキング

 トレッキングに出発する前に腹ごしらえ。朝食もバイキング形式。上の写真に、ホットコーヒーと、ジュース1杯を追加。いま思うに、パンをとってくるのを忘れていました。いいかげんだ。

 

 

 

一ノ倉沢の大岩壁を見ることができた!

 午前9時30分谷川岳ロプウェイの土合口駅(標高746㍍)前を出発、一ノ倉沢に向かいました。

 

 登山指導センター

 

 

 西黒尾根の登山口

 

 

 ベンチがあります。

 3つある「休憩ポイント」の1つ目です。

 

 

 休憩ポイントの2つ目

 

 

 休憩ポイントの3つ目

 

 

 

山の天気は変わりやすい

 午前10時30分、ブナ林の先のカーブを曲がって、「一ノ倉沢」が見えた時、「こりゃあ、あかんわ」と思いましたね(上の写真)。ガスがかかってる。

 

 ところが、山の天気は変わりやすいんです。

 

 

 午前10時31分。すぐそこが一ノ倉沢出合。ガスが減ってきましたわ。いい感じ!

 

 

 天気が変わりやすい理由は、風が山にぶつかるせいなんですね。雨上がりで湿った空気が山の斜面にぶつかると、行き場がなくなって上昇気流になる。空気に水蒸気がいっぱい含まれていると、標高が上がるにつれて気温が下がるために、空気中の水蒸気が水滴になってができ、重くなってとなって落ちてくる、というわけです。

 雲は山を越えて反対斜面で下降気流になると、雲は蒸発して消える。空に強い風が吹いている時にも、雲は流されて消える、という理屈ですね。

 

 

 

 午前10時33分に撮影。

 

 

 案内用の看板です。

 

 

 午前10時40分。また、雲が湧いてきましたね。

 

 

 午前10時50分

 

 図の「S」が衝立岩(ついたていわ)「M」が「衝立岩中央稜」

 ロッククライマーの憧れのルートであり、たくさんの若い命を飲み込んだ場所です。

 

 

 衝立岩(ついたていわ)と衝立岩中央稜のアップです。(午前10時50分撮影)

 

 

 

 帰ろうと思ったとたん、雲がとれました。いずれも午前11時1分撮影。

 

 来てよかった・・・・。

 

 

 

 

一ノ倉沢への道で見え隠れする「遭難碑」

 一ノ倉沢出合まで歩いてくる途中、いくつか見ました、事故で亡くなった登山者を慰霊する遭難碑を――。

 

 

 伊藤五郎 柳川和雄 伊藤政文 西川忠佑
 昭和41年11月3日 一ノ沢・一ノ倉沢に眠る

 君がねむる あの峰 この流れ 

 幾年の風雪に耐え

 君は静かに 時をおくるだろう

 昭和43年6月9日建立 千葉商科大学WV部

 

 

 ヒマラヤ遠征を目前に耐寒訓練のためマチガ沢東尾根を登山中未曽有の豪雪による雪崩のため昭和55年12月21日遭難する

 野中和雄 速水豊 信末好一 岩本真智子 川辺多美子 小林清美

 栃木県南地区山岳協議会

 

 

 (マチガ沢マムシ岩・・・右上にレリーフ

 若き魂の為に

 寺山幹夫

 1952年5月3日

 横浜国立大学山岳部

 

 

 

 昭和34.8.5 於一ノ倉本谷

 遭難 浅田清

 小千谷市片見町  浅田時勇 建之

 

 

 とこしえの 友を残して 一人 たびゆく

 1960年7月31日

 

 

 

 (土砂崩れ防止用ネットの向こう側の壁に・・・)

 飯田敏夫

 昭和27年10月 一ノ倉遭難 25歳

 

 

 

 

マチガ沢出合

 (マチガ沢出合は、図の真ん中)

 

 マチガ沢出合の少し手前の休憩スポット。(午前10時に通過した時は、ガスで稜線は見えませんでした)

 マチガ沢出合からは、アルパインライミングスタイルで「東尾根」経由で谷川岳・オキノ耳に達するルートがあるそうです。私には無縁ですが。

 

 「マチガ沢出合」という地名の由来・・・・の看板。

 

 このマチガ沢出合(であい)あたりには昔、3軒ほど宿があったそうです。越後(新潟県)から清水峠を越えて夕方に山道を下ってきた人が、マチガ沢出合あたりで明かりを目にして、「ああ、街が見える」と思わず発した「マチガ」という単語が、マチガ沢の由来だといわれています、と書かれています。

 マンガみたいな話ですが。

 

 

 マチガ沢出合の橋を渡った左手の岩が、通称「マムシ岩」。美しいレリーフの埋め込まれている岩です。岩登りのロープワークの練習に使われるようですね。

 

 

 午前11時25分、一ノ倉沢出合からの帰りにマチガ沢出合を通過した時は、雲がほぼとれて、トマノ耳が見えました。その右手はオキノ耳に通じる「マチガ沢東尾根」です。

 

 

 

土合霊園地は❝魔の山❞をほうふつとさせる

 「過去碑」と名付けられている遭難者の巨大な墓標です。

 JR土合駅から谷川岳ロープウェイ・土合口駅や「一ノ倉沢出合」に通じる国道わきにあります。

 

 3つ開きのびょうぶの形をした石碑は、谷川岳を中心とする谷川連峰に向かって建てられています。昭和42年(1967年)に遺族の寄付などによって建てられました。

 石碑には、困難に向かった亡くなった人の名前と出身地が書かれています。その数、800余。

 刻むのは地元の石屋さん。ただ、氏名記入を拒む遺族や連絡が取れない人は除かれているようです。

 

 

 谷川岳に観光に来て、ロープウェイ乗り場に向かう車が止まることはないですね。

 

 毎年7月のみなかみ町観光協会主催の「谷川岳山開き」の時には、ここで登山者の安全を祈願する神事が行われており、私も1度だけ来たことがあります。

 

 

 

 

写真を見ると、昔、土合駅は登山者でいっぱい!

 ロープウェイ乗り場の近くにある「山岳資料館」で、展示してある古い写真を館長さんの許可を得て接写しました。

 

 

 「昭和34年初夏 登山者で混み合う土合駅プラットホーム」

 

 

 「昭和29年 土合駅前で帰り列車を待つ登山者」

 

 ホームに入り切れなかったんでしょうかねえ。「キスリング」と呼んだ横長の大型ザックですよ、みなさん。重そうだわね。

 

 「昭和42年 土合駅待合室で仮眠する登山者」

 

 売店の前にも転がってますね、登山者。すさまじぃ~~。

 

 

 「昭和30年代 マチガ沢出合にできたテント村」

 

 隔世の感がありますね。

 

 

 

 これはいまの土合駅の時刻表。列車は1日、5本しか止まりません。

 

 

 

 土合駅の上り線ホーム。

 

 上り線ホームの待合室。昭和44年(1969年)にできたようです。

 

 

 10月14日午後0時40分土合駅発水上行き。これに乗って、帰途に就きました。

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