これから向かう杓子岳(左側の山)と白馬鑓ヶ岳。写真右上の奥には、有名な「槍ヶ岳」が見えます。(白馬岳から撮影)
7月21日(金)の行動
2023年7月20日から22日まで、北アルプスの白馬三山(白馬岳・杓子岳・白馬鑓ヶ岳)を縦走しました。
【「山と高原地図」北アルプス総図2001年発行(昭文社)から引用】
ここからは、
7月21日朝早く山小屋「白馬山荘(はくばさんそう)」を出てから杓子岳(しゃくしだけ)、白馬鑓ヶ岳(はくばやりがたけ)を縦走し、宿泊先の山小屋「白馬鑓温泉小屋(はくばやりおんせんごや)」に入るまでのルート説明です。
快適な稜線歩きでしたが、白馬鑓温泉小屋のすぐ手前で3日前に滑落事故がありました。
目次
6:00 山小屋「白馬山荘」(標高2832㍍)を出発。
右下の赤い屋根は、山小屋「村営白馬岳頂上宿舎」。
6:19 丸山(標高2768㍍)を通過。
杓子岳から白馬鑓ヶ岳へ
もうじき杓子岳(しゃくしだけ)。「杓子」は「しゃもじ」ともいいますが、「しゃもじ」を傾けたような形をしていることから名付けられたらしい。
7:13 杓子岳直下。木の板には「⇧杓子山頂」「巻道⇨」と記されています。
体力・気力のありそうなお若い方は山頂を目指しておりましたが、メインルートの巻き道を行きました。
7:55 杓子岳の巻き道を通ったあと、休憩。
ゆったりと稜線を歩きます。ちょっとガスがかかってましたが・・・。
標識がありました。
「山頂」「天狗」「杓子」と3方向の表示です。
ここから白馬鑓温泉に向かうには2つのルートがあって、「山頂」方向に進めば白馬鑓ヶ岳(標高2903㍍)の頂上経由で行けるし、「天狗」の方向を選べば山頂に行くことなく時間を短縮できます。10分ほど先で合流します。
8:33 白馬鑓ヶ岳の山頂。
景色を楽しみながら気分良く歩けます。
9:05 分岐の標識。ここから稜線をさらに進めば天狗山荘・不帰嶮(かえらずのけん)・唐松岳方面。左にくだって行けば「白馬鑓温泉小屋」です。
白馬鑓ヶ岳中腹の「白馬鑓温泉小屋」へ
「分岐」からの下りは「ザレ場」。急斜面をジグザグに下るのですが、小石や砂のために一歩踏み出すごとにズルズル滑ります。神経がすり減って疲れます。
10:25 「クサリ場」がここから始まります。「両手をあけるように」と注意を促しています。
ここから先の下りは、高度感はないのですが足を置く岩が雪解け水でぬれていて滑りやすいので、岩壁に手で捕まることができる「鎖」が付けられています。
「鎖」を取り付けてくれるのは、近くの山小屋や地元山岳会などボランティアの人たち。県や市町村ではありません。
山小屋「白馬鑓温泉小屋」が見えてきましたね。
小屋が見えてホッとします。「気を抜かないず慎重に!」と注意喚起してくれるんですが・・・。
上の【立入禁止】の黄色いテープのところで、3日前に滑落事故が起きました。
難しい道ではないのですが、脚や体が疲れているから、ちょっとしたことでバランスを崩して滑落してしまうんですね。
直前に、長野県警ヘリが遭難者を救助(7月28日、追記あり)
ところで、
私が白馬鑓温泉小屋に着く5時間前の「7月21日午前6時半ごろ」に、小屋の上空に長野県警ヘリが飛来し、「遭難者」をピックアップして大町市内の病院に搬送したというんです。
「遭難者」は兵庫県西宮市に住む69歳の男性。白馬岳から白馬鑓ヶ岳経由で猿倉方面に下山中、白馬鑓温泉小屋近くの登山道から滑落して負傷。小屋に詰めているボランティアの「長野県山岳遭難防止常駐隊員」が助けて小屋に収容しました。
私がこの話を知ったのは翌日。常駐隊員の1人によると、遭難現場は難所のクサリ場を通過して「あと5分で山小屋」という登山道の狭い部分で、バランスを崩して雪の残るところ近くまで滑落したという。
助けを求める笛の音を通りがかった登山者が聞いてくれ、山小屋の「常駐隊員」が斜面下の「遭難者」を引き上げて小屋に運び込んだとのこと。
「遭難者」は自力で下山できないため県警はヘリによる救助を決断しましたが、雲が厚いためヘリは18、19、20日と飛べず、21日朝になってヘリで救助されたそうです。
その後、
「長野県警察山岳遭難救助隊」がTwitterに、「遭難事例から学ぶ」と題して、この事例を投稿しました。2023年7月28日です。(画像付き)
以下、救助隊による投稿を転記します。
先日、北アルプス白馬鑓ヶ岳で発生した滑落事故。Aさんは、道を間違えて引き返そうと岩に腰かけた途端、スリップして滑落。岩(の斜面と、口を開けた)雪渓の間に挟まり、身動きが取れなくなってしまいました。画像(⇐省略)は、実際にAさんが発見された時の状況です。
Aさんは、ザックの胸ベルトのホイッスルを吹いて周囲にSOSを知らせ続け、滑落から約3時間後、通りがかった登山者がホイッスルに気が付き、付近の山小屋(⇐白馬鑓温泉小屋)に通報。居合わせた長野県山岳遭難防止常駐隊員が出動し、Aさんを引き上げて救助。
今回の事例は、ホイッスルの活用とAさんの執念が救助につながりました。また、ヘルメットのおかげで頭部の負傷がなかったことも不幸中の幸いでした。自然が相手の登山は、常に何らかのリスクが存在します。万一に対する備えと慎重な判断・行動をお願いします。
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さて・・・
話は元に戻って、
7月21日
11:16 山小屋「白馬鑓温泉小屋」に到着。
ここに宿泊しました。露天風呂に入るのが目的の、今回の山行ですので。
出発から到着までの所要時間は、休憩を入れて5時間16分でした。
7月22日
6:00 「白馬鑓温泉小屋」を出発。
6:50 杓子沢の雪渓を通過します。
10:40 猿倉に到着。
最終日。出発から到着までの所要時間は、写真撮影と休憩時間を入れて4時間40分もかけてしまいました。
生ビール1杯(1000円)で、JR白馬行バスを待つこと2時間・・・。