岳沢湿原で毛づくろいするおサルさん(5月26日午後撮影)
サルに出会いました。5月26日の朝から夕方まで長野県の上高地を散策していた時です。
これまでも河童橋(かっぱばし)から横尾経由で涸沢(からさわ)に行き来する時に、河童橋や明神あたりでサルの軍団を見ていますが、今回は岳沢湿原(だけさわしつげん)と田代橋近くでの遭遇です。
目次
人慣れしている上高地のサル
サルと人間とは、もともと距離を置いて暮らすものでしょうが、上高地に住むサルは人間がいても怖がらないんです。
人間をみる子ザル
散策路で人間とすれ違っても、大人のサルはチラッといちべつするだけで、わがもの顔で歩いているんです。
母ザルの背中にくっついている子ザルはまだ、人間という生きものを見慣れていないのか首を回してみていますが・・・。
人慣れしているおサルさん。でも、人間が食べ物を持って歩いていることを知らないので、襲ってくることは今のところありません。が、食べ物を与えてしまうと、味を覚えたサルは荷物を奪うようになるかもしれないそうです。
ニホンザルの生態
サルの数は4群200頭超
上高地の施設管理や野生動物対策をしている【自然公園財団】のスタッフの解説によりますと、大正池から横尾までの上高地では、野生のニホンザルが群れをつくって生活しているそうです。
群れの数は4つ。生息数は200頭を超えるということです。
サルは巣を持たず、昼間は一定の範囲をエサを探して移動し、夜は森林の木の上で寝るようです。
標高1500㍍の上高地は冬になるとマイナス20度になりますが、それでも上高地で暮らしているんですね。
サルの食べ物
上高地で暮らすニホンザルの主な食べ物は、自然公園財団上高地支部のホームページに次のように書いてあります。
(春)草木の新芽や花、水中昆虫
(夏)サクラ類、ハルニレの実、昆虫
(秋)チョウセンゴヨウ、マツの実
(冬)樹皮やササ類
そして、こんな注意書きも。
「サルにエサを与えないでください。人から食べ物を奪うようになってしまうと、自然界で生活ができなくなります。ニホンザルと人間との距離が適切になるように追い払い活動を実施しています。なるべく離れて観察しましょう。」
田代橋近くの梓川の岸辺で、竹のようなものを食べようとしていたサル
岳沢湿原で、毛づくろい
この春に生まれたばかりの子ザル
魚を捕まえて食べるサルもいるらしい!
これは驚きでした。
上高地のサルが、梓川で泳ぐ魚を捕まえて食べるシーンの撮影に成功したという話です。
私は見ませんでしたが、その映像が2022年7月にテレビ放送されたとか。
NHKのドキュメンタリー番組のチームが信州大学の研究グループと組んで、2022年1月から3月にかけて撮影したそうです。
サルは食べ物のない冬は木の皮やササを食べ、そして川虫を食べに川に入り、川面に浮かぶ藻(も)も食べるそうです。
その延長線上でサルは魚を捕まえて食べるという行動に進化した、と信州大学研究グループは見ているようです。
怖いのはクマ
山歩きをしていて一番会いたくないのは、クマです。ですが、上高地は全域がツキノワグマの生息地なんですね。
大正池から明神までの観光客の散策エリアでも、「クマ目撃情報」が環境省の上高地ビジターセンターに寄せられています。
私が上高地をウロウロしていた5月26日も、目撃情報が3件、寄せられていました。「何かを食べていた」「歩いていた」「水を飲んでいた」というふうにです。
クマの習性
登山道を横切って木の上にのぼったクマ (2019年8月11日午前6時22分、涸沢から下山途中に撮影)
クマは、自然の中で人間を避けるように生活しており、積極的に人間を襲う動物ではないそうです。小さな音でも、不自然な音には気付くようです。
ですから、クマさんとの遭遇を避けるためにクマ鈴(=上の写真)をチリンチリン鳴らし、クマの方が遠ざかってくれることを期待しているんです。
そうはいっても怖いのは「鉢合わせ」ですね。いつも恐れているのは、狭い登山道の両側が2㍍近い笹薮・・・そういう場所がよくあるんですが、突然クマが茂みから出てきたら、アウトですよね。向こうもビックリして、逃げる時に襲いかかってくるでしょうからね。
登山者が前後にいないときは、鈴を鳴らしたり、大声を上げ、ビクビクしながら歩いております。