とてもおいしかった信州牛のステーキ
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夜空に輝く星をみたくなったけど、長野あたりに、どっかいいとこ、ないかねえ――。そういうカミさんのご要望を受けて検索サイトでたまたま見つけたのが、長野県上高井郡高山村の畑の中にある温泉旅館。
2021年11月18日、毎日、メシをつくってくれている奥さんと1泊2日の旅に出ました。交通の便が良いとは言えない場所でしたが、「星」と「食事」と「温泉」と、三拍子そろって満足しました。
泊まった宿は「旅館わらび野」
選んだ宿は、標高760㍍にある「旅館わらび野」という温泉宿。
この宿についてネットでゴチャゴチャ検索しました。すると――
①旅館の運営は、東京都内の観光コンサルタント会社が2016年夏から担っている。
②「コロナ」前は訪日外国人をターゲットにしていて、志賀高原にスキーをしに来たフランス人やオーストラリア人などがクチコミで結構泊まりに来たらしい。
③「コロナ」で2020年4月23日から5月16日まで休業。再開後は「3密回避の宿」をウリにしている。
④ネットでクチコミを拾い読みすると評判は悪くなく、支配人らの接客態度も料理もお風呂も合格点を付ける投稿者が多い。
――てなわけで、ここに予約を入れました。
「旅館わらび野」への足
東京から公共交通機関利用で行きました。「優良運転者」という運転免許証はあるんですが、マイカーは売ってしまったしハンドルさばきが荒っぽいので奥さんがレンタカーを嫌がるし・・・。
いまの長野駅です。いや~、立派な駅舎です。
これ、昔の長野駅です。1979年(昭和54年)の年末に撮影。当時、長野の支局で仕事をしていました。
この仏閣型の駅舎は、1997年(平成9年)の北陸新幹線長野駅開業に向けて取り壊され、いまの駅舎になったそうです。
長野駅からは電車(長野電鉄)に乗って須坂駅で下車。須坂駅から山田温泉行のバス(長電バス)に乗り、「蕨温泉」というバス停で降りれば、目の前が「旅館わらび野」ということでした。
途中から「村営バス」に乗り換え
長野電鉄・須坂駅。停車中のバスが「山田温泉」行き。
旅館のチェックインタイム(午後3時)まで時間があるので、終点の「山田温泉」まで紅葉を見に行くことにしました。
須坂駅構内の案内窓口でバスの切符を買おうとすると、「バスの車内で買ってください。ここでは売ってません」とおじさん。で、バスに乗り込みましたが、整理券は出ません。降りる時に現金だけ払いました。
このバス、「山田温泉」行きでしたが、実際に山田温泉に行くのは朝夕の通学時間帯だけ。日中は須坂駅~「YON游ランド」間の折り返し運転でした。3年前(2018年10月)のバスダイヤ改正で、そうなったようです。
バス会社としては乗客が少なくて採算が合わないため、運行区間を縮めたんですね。
「YOU游ランド」から先の、「山田温泉」までは、村営の巡回バス「ふれあい」号に乗り換えて行きました。高山村が運営する10人乗りのワゴン車です。
これが村営の巡回バスです。
村としては、お年寄りの足を確保するためにも自前でバスを運行する必要があるんですね。運賃は100円。
高山村の松川渓谷の高井橋
バス終点の「山田温泉」近くの松川渓谷に架かる「高井橋」です。
このあたりの紅葉に、赤い橋が溶け込んで素晴らしい景観を生み出すそうですが、お目当ての紅葉は終わっていました。2、3週間前に・・・。
紅葉は終わっていましたが、村の道路両側に広がるリンゴ畑では、たくさんの真っ赤なリンゴで枝がたわわになっていたのが印象的。「サンふじ」という品種で、これからボチボチ出荷されるようです。
次のバスが来るまで、あと2時間・・・。ほかに見るべきところもなく、歩いて旅館に向かうことに・・・。
旅館に向かう途中、目にしたのは何軒かの空き家・・・。
兵隊さんのお墓。「故陸軍歩兵伍長 宮川勝三碑」と刻印されていました。
45分歩いて「蕨温泉」のバス停に着きました。
バス停「蕨温泉」の横に学校があるんだ・・・と思いましたが、廃校でした。「奥山田小学校跡」という石碑です。
児童がどんどん減っていって、もう40年以上前の1978年に別の学校と統廃合されたようです。
校舎の脇に立っていたコンクリートの支柱。「憲法発布記念」と書かれています。国旗掲揚のための支柱のようでした。
当時は、いまの世相と違って、憲法が大事にされていたんですね。
夕食
さて、やっとたどり着いた旅館「わらび野」の玄関です。
食事は、個室での会席料理でした。
地元の野菜を使った料理です。
リンゴを食べて育ったという信州牛のステーキです。特別注文ですが、これはよかったです。
長野県産のブドウで作ったワイン。
地元の野菜などを使った天ぷら。
デザート。
お風呂
旅館に、お風呂は3つありました。
「木の風呂」と、それとセットになった「露天風呂」。少し離れて「岩の風呂」です。
これらを貸切で利用できました。ただし時間は夜は40分間、朝風呂は30分間です。「コロナ」対策で、他のお客さんとの接触を避けるためだそうです。
部屋は和室が10室ありますが、今宵の宿泊客は7組だそうで、ほとんどが中高年の夫婦。入浴時間帯はチェックインの時に決めることになっていました。
「木の風呂」です。湯舟が広いだけに、ゆったりした気分でお湯につかりました。
「木の風呂」の湯舟の奥のガラス扉を開けると、そこにあるのが「露天風呂」。
吸い込まれるように湯につかりました。晩秋とあって外気は冷たかったですが、ぜいたくなひと時です。
ここが「岩の風呂」です。翌朝、入りました。
豪快な音を立てて湯が流れ込みます。ややぬるめで、他人様に気兼ねすることなく長く湯につかることができました。
「貸し切り」という提供方法は小さな宿だからできるサービスでしょうが、「コロナ禍」といういまの時流に乗った賢い運用方法だと思いましたね。
村営の「日帰り浴場」が隣に
旅館の駐車スペースをはさんだ別棟(上の写真左半分)にあるのが、高山村が運営している日帰り浴場。地元の人たちが大勢利用しています。
旅館わらび野のフロントでチケットをもらえば、無料で入れます。午後4時前に私も入ったのですが、ここの展望風呂からは夕日がきれいでした。展望風呂の板の間にあおむけにひっくり返って寝そべっているおじさんもいました。
夜中に星空を眺めた
今回の旅の目的がコレ。星をみることです。幸運にも日中は快晴でした。
「星空を仰ぎ見るのにふさわしい場所はありますかねえ」と、フロントにいた副支配人に聞きますと、旅館の裏手は畑や田んぼだから空が広いですよ、というお話。深夜用に、足元を照らす照明を貸してくれました。
旅館の裏。
畑や田んぼ。右端は旅館の屋根。
左は旅館の建物。空は広い!
遠くに見えるのは、雪をいただいた北アルプス。
午後8時ごろ。星を見に外に出ました。
あいにくこの日は満月に近く、お月さんはこの時間帯、東の空の高い位置にあって、星は多く見えませんでした。
そして、日が変わって午前3時30分、また外に出ました。お月さんは西に傾いていました。
2階建ての旅館の建物で月を隠し、空を仰ぐと、広い空に輝く星座をたっぷり眺めることができました。
ウチの奥様は満足そう。星に興味があまりない私でも、有名な北斗七星と北極星をみることができて、「ホーッ」と感激しました。空が照明で明るい東京では、星は木星や金星ぐらいしか見えませんから。
朝食
これが朝ごはんです。昨夜の夕食に比べると、見た目は落ちますが、これだけ種類があれば満足です。
ごちそうさんです。
朝の送迎サービス
朝は小布施駅(長野電鉄)への送りのサービスがあります。午前10時に旅館発。利用したのは私たちだけで、支配人が自ら乗用車を運転して送ってくれました。
立ち寄った軽井沢は冬景色
帰りに北陸新幹線を途中下車して立ち寄ったのは、軽井沢。
長野県内で紅葉では一番人気があるという雲場池(くもばいけ)に、駅から歩いて行きました。
やっぱり、でした。ガイドブックなどには「湖畔に遊歩道があって紅葉を楽しめます」と紹介されていますが、見ごろはとっくに過ぎていました。木の枝には枯葉すら乏しく、冬景色でした。
それでも、軽井沢で眺めた夕日はきれいでした。
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