北穂高岳で味わう至福のひと時

北アルプスの登山、散歩、旅行、反戦・平和への思いなどをデジカメでパシャッと撮った写真中心に記録しています。

鹿島槍ヶ岳~残雪期の爺ヶ岳から見た端正な姿の双耳峰!

 爺ヶ岳南峰の頂上。後ろは双耳峰の鹿島槍ヶ岳(2003年5月3日撮影)

 

 

 

 山に雪が残る5月に、鹿島槍ヶ岳(標高2889m)に登ったことがあります。まだ体力が十分あったずいぶん前のことです。

 鹿島槍ヶ岳は登山者の間で「かしまやり」と呼ばれていて、ファンが多いです。なにせ、美しいですから。

 

 「鹿島槍」は、耳が2つある双耳峰(そうじほう)といわれる山。「南峰」(こちらが標高2889m)と「北峰」(標高2842m)という2つの槍と、それを曲線でつなぐ吊尾根がきれいで、ほれぼれします。

 

 登ったルートは、夏山と少し違います。柏原新道の爺ヶ岳登山口から入るのは夏山と同じですが、途中、「八ツ見ベンチ」あたりから爺ヶ岳南尾根支尾根に入ります。「ジャンクションピーク」に立って爺ヶ岳の山容をじっくり眺めてから爺ヶ岳南峰に向かいました。

 

  ◇     ◇     ◇     ◇

 

【日程】2003年5月3日~4日(前夜発)

 

【行程】

5月3日(日)快晴

6:35爺ヶ岳登山口~7:10八ツ見ベンチ7:259:50ジャンクションピーク11:40爺ヶ岳南峰12:10~12:25爺ヶ岳中央峰12:40~13:05爺ヶ岳北峰直下~13:40赤岩尾根分岐(冷乗越)13:45~14:00冷池山荘前テント場(泊)

 

5月4日(月)晴れ

5:15冷池山荘前テント場~6:15布引山~7:00鹿島槍ヶ岳・南峰7:35~8:10布引山~8:55冷池山荘前テント場9:4511:25爺ヶ岳南峰11:5012:45ジャンクションピーク13:15~15:30爺ヶ岳登山口~15:50扇沢バス停

 

  ◇     ◇     ◇     ◇

 

【行動記録】

◆5月3日

 午前5時すぎ、JR信濃大町駅で臨時夜行快速列車『ムーンラート信州号』を下車。バスに乗って終点の扇沢で降り、車道を少し戻ったところが爺ヶ岳登山口(標高1350m)。

 雪崩が心配な時期だけに、ビーコンのスイッチを入れて柏原新道に入る。雪解け道を30分ほど登った八ツ見ベンチ(標高1635m)で山シャツを脱ぎ、長そでシャツ1枚になる。

 積雪期の登山ルートは夏とは違って、このベンチあたりから柏原新道を外れて右手(東側)の笹薮の斜面を登り、尾根に出た後は爺ヶ岳南峰を目指してひたすら直登するのが一般的。 この冬期ルートは赤テープが要所要所で木の枝に結ばれているため迷うことはない(ように、その時は思った)。たいへんな急登で、しかも木の枝がむき出しで歩きにくい状態がいつまでも続いた。

 標高2000mを過ぎたあたりで樹林帯を抜け、雪渓に出た。眼前には、南尾根との合流点であるジャンクションピーク(標高2330m)が見える。傾斜があり、キックステップせ着実に登る。

 ふと上を見ると、数人のパーティーがもたもたしている。そのうち1人が、仰向けの状態で滑り落ち始めた。「止めろ、止めろ~ッ」。上の方から声が飛ぶ。滑落者は反転してピッケルを2度、3度雪面に打ち込もうとするがなかなか刺さらず、30mほど落ちてやっと止まった。その場で立ち上がった滑落者は、ピッケルのピックを雪面に突き刺し、ピッケルバンドを腕から外すと、呆然として落ちてきた斜面を見上げた。ショックだったのか、駆け降りてきた仲間とほとんど言葉を交わすこともなく、私の横を下りて行った。30歳ぐらいの男性だった。

 ジャンクションピークに立つと、爺ヶ岳南峰(標高2660m)と中央峰(標高2670m)が見えた。300mほど先で雪渓を外れ、左手のハイマツ帯に入った。やがて岩がゴロゴロしたガレ場。やっとの思いで登りきると、そこは爺ヶ岳南峰眼前に広がったのは双耳峰の鹿島槍の美しい姿だった。これには感動した。

 90度左は剱岳、行く手には爺ヶ岳の中央峰と北峰。反射的にニコンF3をザックから取り出してシャッターを10枚ほど切った。【残念ながら撮った写真アルバムはネガとともに引っ越し時に深い考えもなく処分してしまった】

 

 爺ヶ岳中央峰のピークを踏み、北峰は西側を巻いて通過し、先を急いだ。

 午後1時30分ごろ、赤岩尾根方向で「ドカーン、ドン、ドン、ザーッ」という音がした。雪崩だろう。

 冷池山荘前は「防衛大山岳部」と書かれた3張りのテントなどが既に10張りあり、夕方までに25張りになった。

 夏のテント場は、この山荘からさらに10分ほど鹿島槍方面に登ったところにあるが、残雪期は山荘前がテント場になるようだ。この日はアイゼンを使うこともなかった。午後4時、気象通報をラジオで聞いて天気図作成。

※テント場使用代=1泊500円

※缶ビール(ロング)=750円

※1㍑(殺菌済み)=150円

 

 冷池山荘前のテント場(右端の青色エスパースが私のハウス)

 

 

 

◆5月4日

 午前4時、起床。テント内の気温4度。ラーメンにモチを入れ、朝食とする。コーヒーを忘れたのでハチミツを湯に溶かしてのどに流し込んだ。アイゼンをつけて出発の準備をしていると、数m先で防衛大学校の学生さん9人が整列。リーダー格の女性が「××(名前)、いい?」と最後尾の男性に声を掛けた直後、威勢よく「行くぞー!」。この掛け声に、近くのおじさま方はギョッ!

 一行は整然と隊列を組んで鹿島槍を目指して歩きだした。私も5分後、ザックの中身を軽くして彼らの後を追った。

 冷池山荘のすぐ上部は、張り出した雪庇が落ちておらず、注意して通過。夏のテント場より上部にもテントが4張り。布引山(標高2683m)の取り付きから先は雪がなく、布引山山頂でアイゼンを外した。鹿島槍への斜面は、黒部側は雪がなく、信州側はたっぷり付いた雪が崩れかけている状態。

 鹿島槍・南峰のピークは気温5度。風は穏やか。南の槍ヶ岳も見えた。

 

 鹿島槍ヶ岳・南峰(2003年5月4日撮影)

 

 

 テント場に戻ってテントを撤収し、長そで1枚で下山へ。冷乗越から赤岩尾根を下るパーティーが多いようで、爺ヶ岳経由で扇沢に下る登山者は少ない爺ヶ岳南峰で、360度の素晴らしい景色をもう一度、目に焼き付けた。

 爺ヶ岳南峰から南尾根への下りは浮き石がいっぱい。足を置けば石が動き、背中のザックも揺れてバランスを崩す。スタミナを消耗する。疲れもあってスピードが落ちてきた。悪いことに、暑さも手伝って、前日のうちに用意した飲み水が足りなくなり、雪渓上のジャンクションピークで急きょ、雪をコンロでとかして水をつくった。飲んでみると木の香りがしたが、自分の小便を飲むよりましだろう。

 ジャンクションピークからの下りでアイゼンをつけた。前日に滑落者を見ているためだ。ただ、アイゼンの効きは悪く、雪面に置くだけでは滑り落ちていく状態。雪渓の終わりでアイゼンを外し、今度は木の根がハチの巣のように走っている樹林帯に足を踏み入れる。根っこに足を縦に置こうものなら、たちまちツルッと滑る。この樹林帯を登る時には、木の枝に結ばれた赤テープがよく目に入ったが、逆に、下りのような高い位置から見下ろすと、必ずしも見やすいとは言えない。雪の上に足を置いたつもりが、すぐ下が笹だったためにツルッと1m滑ったことも2度ほど・・・。

 

 5月のGWに、このルートで下山したテント泊の人の山行記録を3件見たが、「ヘトヘト」「脚がガタガタ」「最後の力を使い果たした」という表現が使われていた。どうしてそんなに疲れるんだろうと、と山行前は思ったが、実際に自分が25㌔の思いザックを背負ってみて、よく分かった。

 残雪期の鹿島槍登山は、体力が人一倍いる。

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