「星」を観る旅に出かけました。夜空に輝く星を眺めるのが好きな奥さんの、ボディガードです。
行き先は、国立天文台のある八ヶ岳東側山麓の野辺山高原(長野県南牧村)です。
国立天文台・野辺山宇宙電波観測所の望遠鏡
星降る野辺山高原
2019年11月29日(金)からの1泊2日の旅です。視界を妨げる大気中の水蒸気が少ない、この時期を選びました。
泊まったのは、JR線の駅で一番高いところにある小海線・野辺山駅近くの「八ヶ岳グレイスホテル」。標高1375㍍の位置にあります。ホテル主催の星空観賞会に参加しました。
午後8時、ロビーに参加者30人ほどが集合。近くのホテル専用グラウンドにマイクロバスで移動しました。
星空の案内人は、“星ソムリエ”の資格があるホテルの女性スタッフです。
シリウス・すばる・カシオペア座・・・
芝生の上にシートを広げて寝転んで、空をみます。
星の案内人さんが緑色のレーザーポインターで星を示しながら、星座の解説してくれました。
一番明るいシリウス、小さな星が集まっているすばる、アルファベットの「W」に似たカシオペア座、薄い雲のような天の川・・・。
天体望遠鏡で肉眼では見えない星もみることができ、すばるも観察できました。
「みなさんが今みている光は、地球からはるかかなたの距離にある星で何百万、何千万年も前に、その星の中心部分が爆発した時の光なんです。やっと地球に届いて、みなさんの目に見えているのですよ」
星の案内人さんの解説を聞いて、思わず「ホーッ」と声が出ました。
ロマンを感じますし、天体物理学の世界は深いです。
気温はマイナス2度かマイナス3度。鑑賞会は30分ほどで終わりました。
解説を聞いている間に、流れ星を5、6個、みることができました。
ホテルの部屋にいったん戻った後も、
午後11時に、また独自に森の中に入っていき、暗い空でまたたく星を観察しました。
日があらたまった午前1時にも、星を観ようとホテルの玄関から出たところ、正面の暗闇の中に北斗七星がくっきりとみえました。感動しました。
これまで星に関心がありませんでしたが、なかなか良いものです。
翌日は、星空の案内人さんの運転する車で、近くの国立天文台・野辺山宇宙電波観測所まで送っていただきました。(1人2役でたいへんですね)
「ブラックホール」を確認した「45㍍電波望遠鏡」
国立天文台は天体観測をする国の研究機関で、野辺山高原にある「宇宙電波観測所」は、45㍍電波望遠鏡や名古屋大学電波ヘリオグラフなどの観測設備を置き、天体の様子を観測しているところです。
野辺山に観測設備を置いた理由は、標高が高くて水蒸気が少なく、なおかつ人が操る電波が少ない場所が、天体からの微弱な電波を拾うのにふさわしいからです。
野辺山高原は標高1350㍍前後で、寒冷地でありながら雪が少ないために電波観測に最適な場所とされました。
観測設備のうち「45㍍電波望遠鏡」は、丸いパラボラアンテナの直径が45㍍で、総重量は700トン。三菱電機が1982年に完成させました。
波長がミリ単位の非常に短い「ミリ波」と呼ばれる電波をも、とらえることができる望遠鏡です。
1993年に、この望遠鏡を使った観測で、私たちが住んでいる銀河(=「天の川銀河」といいます)とは別の銀河の中心部に、光が脱出できないぐらいの巨大な質量の存在が確認され、それまでは存在自体があいまいだった「ブラックホール」が確実に存在する証拠となりました。
今では、私たち人間の住む銀河を含めて、見知らぬ多くの銀河の中心部にブラックホールがあると考えられています。