鷹取山の「親不知」という岩場。(2022年7月17日、小雨の中で撮影)
20年ぶりに、神奈川県湘南地方の鷹取山(たかとりやま)を散策してきました。
ここは標高3000m級の岩稜地帯をうまく歩く方法を、ちょっと勉強したところなんです。なつかしい・・・。
連休中の2022年7月17日(日)、京浜急行電鉄「追浜(おっぱま)」駅で降りて、湘南鷹取という住宅街を抜けて行きましたが、道順が分かりにくいです。下調べが必要です。
目次
「鷹取山」というところ
山中にある摩崖仏。
鷹取山は、神奈川県の三浦半島の付け根にある標高139メートルの山で、横須賀市と逗子市にまたがっています。「山」というより「丘」でしょうね。
垂直に切り立った岩壁が特徴。
群馬県の妙義山に山容が似ているらしく、「湘南妙義」という人もいるようです。
山頂から少し離れたところに、摩崖仏(まがいぶつ)があります。岩壁に掘られた仏像です。
高さ8メートル。地元の彫刻家が1960年から1年かけて製作したそうです。
昔は石切り場
鷹取山では、明治時代から昭和の初めまで、「石材」が採取されていました。
火山灰が固まった凝灰岩のために柔らかく、加工しやすいために家の壁やかまどなどに使われたそうです。
しかし、コンクリートが建築・土木で使われるようになってから、切り出されることもなく、衰退しました。
今は岩登りの練習場
鷹取山はいま、岩登り(=ロッククライミング)の練習の場になっています。上の写真は、「親不知」と呼ばれている岩場です。
とはいえ、だれでも岩登りの練習をできるわけではなく、原則は「岩登り禁止」です。公園を管理している横須賀市は条例で、岩登りなどの危険行為を原則、禁止にしているんです。「転落による死亡事故が多いため」です。
そうはいっても、地元山岳会などから要望があるためか、山岳団体の協議体に「登録」すれば、団体も個人も岩場を利用できるようになっています。
写真は、「後浅間」という名が付いている岩場。
実は私、2002年4月、鷹取山で行われた勤労者山岳連盟の初級リーダー養成学校に参加して、この恐ろしいガケで懸垂下降(けんすいかこう)の訓練を受けました。
懸垂下降と言うのは、ロープを使って急な斜面やガケ、雪壁を下降する方法です。ロープと下降器(エイト環など)の摩擦・抵抗を利用してブレーキをかけながら、後ろ歩きの要領で降りていきます。
10数メートルもあるガケの上からロープで降りたわけですが、覚悟が必要でした。ロープを離したら、墜落して終わりですからね。
もっともあの時は、信頼できる指導者が、ガケの上で別のロープを使って私を確保してくれていましたので、安心感はありました。
「登り方「歩き方」の練習場所。
山岳会に入る前、半年ほど登山学校に通いましたが、その時のホームグラウンドが鷹取山でした。かといって、垂直のガケを登り下りするのではなく、上の写真のとおり、低い岩山の登り下りです。
岩肌にミゾがたくさんありますが、登山靴のつま先をどこに置くかとか、手を置く位置、体重移動の仕方など、手ではなく「脚」で岩山を登り下りする方法を学びました。
穴は「ハーケン」の跡
「子不知」という岩場。穴がボコボコあいています。
岩肌にたくさんの穴があります。岩登りの時にできました。凝灰岩というもろい岩でできているために、昔からの大勢のクライマーが岩の割れ目(クラック)にハーケンを打ち込んだ結果、岩がはがれて小さい丸い穴がいっぱいできてしまいました。
このため、いまでは管理者の横須賀市が、ハーケンを打つことを禁止にしており、いまでは鷹取山では「トップロープ・クライミング」しか練習できなくなっています。
「トップロープ・クライミング」というのは、2人1組で行うクライミングで、あらかじめ岩壁の最上部に「支点」が設置されていて、その支点にロープを通し、ビレイ(=確保)してもらいながら登るという岩登りのスタイルです。
※ビレイとは、「安全確保」という意味です。ロープを使って岩などを登る時に、クライマー(登る人)の安全を確保することです。クラーマーの安全確保をする人のことを「ビレイヤー」と言います。
※セルフビレイとは、「自己確保」という意味。自分自身を、固定された「支点」につなげて安全を確保することをいいます。
ロープを使った岩登りには、もう1つ、「リード・クライミング」というスタイルがあります。これはクライマー(登る人)が、自分に結んだロープを、ルート途中の支点(主にヌンチャク)に引っ掛けながら登る方法のこと。本番の山でのスタイルですが、ここではできません。
セルフビレイの時に、支点となる石。後浅間という岩場。
「懸垂下降」で先日、事故が起きた
鷹取山のあちこちに、注意を促す張り紙がありました。
「鷹取山公園内での事故報告について」というタイトルです。
2022年5月22日、30代の女性が高さ5メートルほどのガケの上
を「支点」にして、懸垂下降の練習中に、高さ4メートルの地点で足を滑らせて落下し、腰と右腕を骨折したとのことです。
原因は、「支点」にスクリュー式環付きカラビナを引っかけていましたが、足を滑らせた時にロープが支点のカラビナから外れた、と推測されるとのことです。
展望台がある
展望台には、写真右の階段から登ります。
西に、「江の島」がみえました。かすかに、ですが。
富士山は小雨の中、みえません。
鷹取山から「神武寺」までハイキング
鷹取山から「神武寺」(じんむじ)まで、ハイキングコースがありました。
子どもでも歩けますよ、というブログもありますが、天候によります。甘く考えない方がいいです。
ハイキングコースの入り口は、「親不知」という垂直のガケの左端にあります。
小雨にコケ。滑りますわ。
途中にクサリ場がありました。がけ下に落ちる、ということはありませんが、足元注意ですね。
江の島がみえました。
道の真ん中に、穴が開いた岩が1つ。
神武寺に着きました。
曇り時々小雨という悪天候のせいか、このルートのハイキングですれ違ったのはわずか数人。
あまりお勧めできるハイキングコースではありませんでした。
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