富士山の「初冠雪」は、山頂付近が甲府地方気象台から見て、夏以降、初めて雪で白くなった状態をいいます。9月30日が過去30年間の平均値です。
「初冠雪」から少し後の「11月」に山頂を目指したことが3回あります。その時の記録写真を以下に一部、載せました。
富士山山頂の噴火口。 (2010年11月3日午後0時30分撮影)
2009年11月3日(祝日)
11月に入ってからの登山は、ピッケルとアイゼン(12本爪)を途中から使います。積雪の状態によって毎年違いますが、富士宮ルートでは7合目か8合目あたりからです。
山に入る1週間ぐらい前から天気図を見ます。知識はあまりありませんが、高層天気図で上空の気温や気圧の谷の位置、地上天気図で気圧配置や低気圧の位置、等圧線の間隔などを一応チェックします。
できれば風が弱く、上昇気流が起きにくい時がいいんですが、なかなかそんな日はないです。
「元祖七合目山口山荘」(標高3010㍍)前でザックを降ろし、休憩する登山者2人 午前9時撮影
「エビの尻尾」です。
登山道のロープや鉄の細い支柱に、一方向からの強風で吹き付けられた霧が付着してできる氷のことです。風上に向かって、エビの尻尾のように伸びるので、山の世界でそう呼ばれます。
強風が氷点下で長時間吹き続けていることを物語っています。
岩が凍てついています。カチカチ・・・。
八合目の池田館の前。標高3250㍍。
八合目池田館のテラスから見下ろした寒々とした景色。登山者が1人、2人と登ってきます。
結局、この先の「九合五勺胸突(むなつき)山荘」(標高3590㍍)まで登り、山頂をあきらめて下山することに。
天候に恵まれていれば、あと30分ほどで山頂の「浅間大社奥宮」に立てるのですが、風が強烈です。周りに障害物は何もありませんから、富士山は。突風でぶっ倒れたら滑落してアウトです。
2010年11月3日(祝日)
あれから1年後の写真です。
この時は快晴。風もほとんどありませんでした。ただ、空気が冷たかった。
富士宮ルートの頂上直下の1枚です。下りてくる登山者です。
午前11時15分撮影
頂上の浅間大社奥宮。
噴火口に沿って、向こうの剣ヶ峰に向かいます
剣ヶ峰に立つ石碑です。「日本最高峰富士山剣ヶ峰三七七六米」と刻まれています。
石碑の横から噴火口の底をのぞいていました。こんな感じです。(午後0時30分撮影)
最高峰の剣ヶ峰からみえる「山中湖」
雲の向こうは、駿河湾。
疑問;富士山に「夏山期間以外」にのぼっていいの?
登山シーズンは、夏の間と決まっているのに、雪が降る時期に登っていいのかしら、なんて、不審に思う人もいると思います。
答えは、“万全の準備をした登山者”には、行政当局はOKサインを出しているのです。
行政当局の思いとしては、富士山の登山者には登山初心者が少なくなく毎年遭難事故が発生しているために、「夏山期間以外」は「万全な準備をしない登山者」は登山しないようにと、お願いしているわけです。
(万全かどうかは、個人が1人ひとり、自分の責任で判断することでしょうね)
お役所が講じている遭難対策
第1;登山道の通行規制
「登山シーズン」や「夏山期間」というのは、行政当局(静岡県や山梨県など)が決めた登山道が開通している期間のことを指します。
例年、7月上旬から9月上旬までです。
登山道を管理しているのは、富士山の場合、場所によって静岡県か山梨県です。
静岡県は「夏山期間」が過ぎれば、静岡側の登山道を「通行禁止」にしています。
根拠は、道路法第46条です。
道路管理者は「道路の破損、欠壊その他の事由に因り交通が危険であると認められる場合、区間を決めて、道路の通行を禁止し、又は制限することができる」――と書かれておりまして、
静岡県(富士土木事務所)の場合、「落石及び凍結」を理由に、期間外の登山道の通行を禁止していると考えられます。
第2;遭難防止と安全確保のための「ガイドライン」の策定
「富士登山における安全確保のためのガイドライン」(主に夏山期間以外における注意事項)
を2013年に作りました。