北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍の北アルプスに登っていたころの写真記録、国内外の旅行、反戦平和への思いなどを備忘録として載せています。

備忘録:私の「高血圧症」は自律神経が影響しているかも?

フィンランド北部、サーリセルカ(2017年11月に撮影)

 

 

 高血圧症で、8人に1人が医者に掛かっているらしいですね。厚生労働省の「2020年患者調査」によると、患者は推計で約1503万人だとか。

 

 実は私、高血圧症と診断されていまして、血圧を下げる薬を飲み始めて20年余り。このところの数値は家で測って「上の血圧」が125から115、「下の血圧」は88から80ぐらい

 「まあこんなもんじゃろう」と思ってきたのですが、医者が設定している家庭での「降圧目標」は、「上が125以下、下は75以下」だと最近知りました。

 

 そんなことから「血圧」というものについて調べてみました。あくまで自分の「備忘録」です。

 

 

目次

 

 

 

「上の血圧」「下の血圧」が意味しているもの

 図は「血圧と心臓が気になる人のための本」から引用。

 

 

 血圧」と言うのは、心臓から全身に送り出された血液が「血管の壁にかかる圧力」のことです。

 

 医師が行う【血圧の測り方】から書いていきます。

 

 まず、カフ(腕帯)をひじの1~2センチ上の腕に巻き、空気を入れて膨らませて動脈を圧迫します。ふだんの血圧より少し高い値まで加圧します。(図の上)

 

 そこからカフの空気を抜くと、プシューッという空気の音とともに、カフに巻かれて閉ざされていた上腕の動脈から、手首の方の動脈に血液が流れ始めます。

 聴診器で聞いていると、血管内の狭いところを通るために「乱流」が起こり、心臓の拍動に合わせて「トントン」と雑音がし始めます。その時が「上の血圧」(収縮期血圧)です。(図の中)

 「上の血圧」は心臓に近い太い動脈の最高血ということです。

 

 空気をもっと抜いていくと、音が聞こえなくなります。これはカフに加えた圧力と、ひじから先の手首までの動脈の圧力が同じになったことを意味します。この時の数値が「下の血圧」(拡張期血圧)です。(図の下)

 「下の血圧」は心臓から遠いところの動脈(=細動脈といいます)の血圧です。

 

 

「自律神経」が血圧をコントロール

 血圧は、自分の意思ではなんともなりません。何がコントロールしているんだろう・・・。

 

 どうやら人間のからだには、「自律神経」と呼ばれる神経細胞同士のネットワークがあるようです。

 自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」という2つの系統があり、このうちの交感神経が血圧ととても深い関係にあるのです。

 

 交感神経は背骨から左右均等に出ており、副交感神経は首と腰から出ています。この2つの神経は相反する仕事をしていて、交感神経が優位になると血管が収縮して血圧が上がり、体が活動的な状態になります

 反対に、副交感神経が優位になるえお、心臓の拍動が緩やかになって血管も拡張して血流がよくなり、ゆったりモードになります。

 

 脳の「視床下部(ししょうかぶ)」という部位に自律神経の司令塔があり、人間の意思とは無関係に、体温や呼吸、心臓の拍動などを調節しているのです。

 

 

 

「ストレス」で緊張状態が続くと高血圧になる

 締め切り時間に追われる編集職場に40年もいますと、常にイライラしています。部下に、まだ書けないのか、とか、出てきた原稿を見て、何だこの原稿は、と頭に血がのぼったり。印刷現場からは「まだかよ!もう時間だから輪転機を回すぞ」なんて罵声が飛んできました。

 

 そんな生活をしていて、健康診断だというので診療所に行き、診察を受ける順番が近付いてくると、もうだめですね。「高い数値が出ると嫌だなあ」なんて思った瞬間、血圧が上がります。

 これは、緊張すると自律神経のうちの交感神経が優位になってしまうため、血圧が上がるのですね。仕事上のストレスが、今日の高血圧症を生んだのではないか、と勝手に思っています。

 

 

 

「ストレス」で血圧が上がるメカニズム

 血圧が上がる段取りを調べました。

 緊張や不安、人間関係のイライラなどストレスを感じると、そのサインが脳の視床下部に伝わり、交感神経が優位になります。

 

 そうなると、交感神経から神経伝達物質として「ノルアドレナリン」という物質が分泌されます。

 その刺激を受けて、「副腎」の内部の「副腎髄質」という組織からホルモンとして「ノルアドレナリン」が分泌され、全身の「細動脈」の「平滑筋」を刺激し、平滑筋が収縮することによって細動脈が収縮を起こし、血圧が上がります。

 

 また、同じく副腎髄質から「アドレナリン」というホルモンも分泌され、これが心拍数を増やして血管を収縮させ、血圧を上昇させます。

 

 

 

「細動脈」について

 「東邦大学メディアネットセンター」HPから引用。

 

 「細動脈」は、心臓から出た血液が動脈を通って毛細血管に至る際に、毛細血管の直前にある細い動脈です。

 細動脈の壁の「内幕」には、平滑筋という筋肉の層があり、それが交感神経やホルモンの影響を受けて収縮するため、細動脈の収縮状態が動脈の血圧に大きな影響を与えることになります。

 つまり、精神的に緊張したり、職場の人間関係などでストレスが高まってくると、短時間ならともかく、ストレスが過剰だったり長期間に及ぶと、よくないということですね。

 

 

「下の血圧」上昇は動脈硬化でなく交感神経の興奮では?

 私の場合、「下の血圧」の数値が基準より高いと思います。

 「下の血圧」だけ高くなる原因について、「細動脈から先の細い血管が動脈硬化で硬くなっているからだ」とHPに書く医師がいますが、血圧測定時に交感神経が興奮してしまうため、と考えられないでしょうかね。

 

 「上の血圧」は心臓を出た直後の太い動脈の最も高い血圧です。ここには血管の壁に筋肉はあまりなく、その代わりに弾性繊維と言って伸び縮みできる線維がたくさんあります。「上の血圧」が高い場合は、すんなりと動脈硬化が進んでいると言えます

 

 一方、「下の血圧」は細動脈の血圧です。細動脈には交感神経がまとわりつき、平滑筋が豊富に存在します。交感神経が興奮・緊張しますと平滑筋が収縮しますので、「下の血圧」は上がります。

 ですから、下の血圧が高いけれども上の血圧はそれほど高くなく、脈圧(上と下の血圧の差)が小さい場合は、まだ動脈硬化をおきていなくて血管は柔らかいと考えられないでしょうか。

 

 

 

高血圧症の基準値は?

 ここからは、そもそも論です。

 

 高血圧症とは、繰り返し測っても血圧が「正常値」よりも高い場合を言います。

 

 「日本高血圧学会」が出している「高血圧治療ガイドライン2019」をチラッとみますと、高血圧症と診断されるのは診察室血圧」が「上の血圧140mmHg以上」、または「下の血圧90mmHg以上」、あるいはその両方の時に、そう認定されます。

 

 では、「降圧目標」はというと、75歳未満の成人の場合、「診察室血圧」は130/80mmHg以下。「家庭血圧」は125/75mmHg以下。

 

 

 

怖いのは心筋梗塞脳梗塞

 血圧が高い状態が続くと、血管は徐々に傷つき、内壁にコレステロールがたまって狭く、かつ、硬くなります。これが動脈硬化です。

 その結果、心臓の筋肉に酸素と栄養素を送る冠動脈が詰まる心筋梗塞や、脳の血管が詰まる脳梗塞、脳の血管が破れる脳出血、あるいはクモ膜下出血などがおきます。

 

 

 

対策

 高血圧症の約90%は原因を特定できない「本態性高血圧」。もともと高血圧症になりやすい体質が遺伝するか、精神的なストレス、塩分の取り過ぎなどが考えられるそうです。

 私の場合、両親が高血圧症なうえ、父は脳梗塞を繰り返して死亡していますので、なりやすい体質なんでしょうね。

 ただ、ストレスは減らすことはできそう。あすできることは今日しない、とか、完璧でなくてもよいことにする、とか、気分転換できる趣味を持つとか、ですね。

 

 高血圧症の改善には「適度な運動」も大事らしいです。国立障害者リハビリテーションセンターなど13の共同研究グループが2023年7月7日軽いジョギング程度の運動、あるいは時速7キロ程度の早歩きをした時、足の着地時に脳に衝撃が伝わることで、高血圧が改善するメカニズムを世界で初めて突き止めたと発表しました。

 適度な運動が高血圧の予防・治療に有効であることは分かっていましたが、運動が高血圧を改善する仕組みはよく分かっていなかったそうです。

 

 

 

 

≪参考資料≫

東邦大学メディアネットセンター・バーチャルラボラトリー「心筋」

●古川哲史著「血圧と心臓が気になる人のための本」(新潮新書、2017年発行)

●高沢謙二著「図解 最新医学でわかった突然死にならない方法」(エクスナレッジ、2021年発行)

●高血圧治療ガイドライン2019(日本高血圧学会発行)

ほか