北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍級の登山、国内外の旅行、歴史探訪、反戦・平和への思いなど備忘録としてつづっています。

うまい歩き方~はしご・クサリ場(不帰ノ嶮でひっくり返った経験)

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 北アルプス・不帰ノ嶮のクサリ場   (2004年8月14日撮影)

目次

 雨の不帰Ⅱ峰北峰の「クサリ場」で転倒!

  不帰ノ嶮(かえらずのけん)は、北アルプスの白馬3山(白馬岳・杓子岳・鑓ヶ岳)から唐松岳への縦走路の途中にあります。帰らず、という名前が語るように急峻な岩峰が続くルートです。

 3つの峰から構成されていて、白馬岳方面から順にⅠ峰、Ⅱ峰北峰、Ⅱ峰南峰、Ⅲ峰と名前が付けられています。

 核心部は、Ⅰ峰からⅡ峰北峰への登りです。

 

 いまでも思い出すと、手のひらに汗がにじんできます。よく途中で停止したな、と。不帰ノ嶮の核心部を歩いていた時、ひっくり返って少し滑落した時のことです。

 当時、小雨が降って周囲はガスに包まれ、視界は10㍍ぐらいでした。教訓は、雨降りでガスが濃い時は、岩稜歩きはお止めなさい、ということでしょうか。

 

 2004年8月に、単独で白馬3山から不帰キレット、不帰ノ嶮を経て、唐松岳五竜岳鹿島槍ヶ岳までテント泊で縦走しました。

 トラブルが起きたのは、14日午前9時30分ごろ、不帰ノ嶮の「Ⅰ峰の頭」を過ぎてクサリ場が連続する難所を「Ⅱ峰北峰」に向けて登っている最中でした。

 

 晴れていれば高度感があって、脚がすくむでしょうが、ガスで足元が全く見えないために、恐怖感は消えていました。長時間の歩行から慣れが生じ、緊張感が薄れていたのだと思います。

 

 ひさしのように突き出た岩の下にクサリがあって、それが左上に向かって伸び、クサリの先はガスで見えませんでした。そこを登ろうとしたところ、数㍍先のガスの中に、青色と赤色のザックカバーが動いているのが眼に入りました(上の写真)。

 男女が岩にへばりつき、クサリに沿って、斜め下の私の方に下りてくるのが分かりました。

 ルートを男女に譲ってから下を見ましたが真っ白。足元から先がどうなっているのか分かりません。

 さあこれから登るぞ、と左上方にトラバース気味に数㍍進みました。左手で岩の出っ張りをつかむと同時に、足元を見ることもなく不注意に左脚を出した時です。

 あるはずの岩に靴が当たらず、「アレッ」と思った瞬間、体が宙を舞いました。

 

 「しまった!」と思うと同時に体は反転して仰向けの状態になり、背中のザックに衝撃を受けたまま頭を下にしてズルズルと体が滑り落ち始めたのが分かりました。

 

 「こりゃ、あかん。もうダメか」と一瞬、思いました。それでも、あおむけの状態で、たまたま右手に触れたものを本能的につかんだらしく、必死で握ったせいか、運よくストップ。われに返ると、頭は下向き、右手には草……。必死で頭を上の方にしようと背中を回転させ、どうにか立ち上がることができました。

 

 あとはもう、恐怖感からとにかくこの岩場を上に抜けようと無我夢中でした。

 荒い呼吸のまま、休むことなく直登すること10数分(たぶん)。青地のプレートが眼に入りました。(下の写真)

 

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 「ここは不帰二峰の北峰」と黄色のペンキで書かれていました。「助かった~」という何ともいえない瞬間でした。(落ち着いてから撮った写真ですが・・・)

 

 

 当時、撮影したそのプレートの写真をいまみますと、あの板は、岩のすき間に打ち込まれたハーケンに、カラビナでぶら下げられていた鉄板でした。10年近くたった現在は、別の標識が立てられているようです。

 

 雨やガスで視界がきかない時は、もっと臆病にならないといけませんね。反省しています。

 

 

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金属製のはしごの登り方

「横棒」を握ること

  はしごを登る時の姿勢は、岩登りと同じです。上体の姿勢をなるべく「垂直」に保つことです。はしごにしがみつかないことです。

 

 手の置き方に注意しなければいけません。足を乗せる横棒(ステップ)を握ることです。そうすれば万一、足を滑らせてもぶら下がることができます。

 

 この横棒ではなく、両サイドの支柱を握って登る人をよく見かけますが、支柱を握った場合、雨で手が滑ると地上まで落ちる心配がありますから、やめたほうがいいですよ。

 

 

 

クサリ場

ぶら下がるとあぶないよ

  登山ルートで、岩盤が露出している場所を「岩場」といいます。

 岩場には、登り下りが難しいところにクサリが付けられています。山小屋の方たちが登山者のために取り付けてくれます。「クサリ場」といいます。。

 

 クサリ場に差しかかると、やみくもにクサリにぶら下がり、クサリに体重をかけて一気に腕力で登り下りする人が多いですよね。

 

 でも、あれはよくないんですよね。危険です。

 ぶら下がってしまうと、体全体が振られてバランスを崩すことがあります。それに、クサリは固定してる部分がさびて外れることがあるのです。

 

 クサリは、あくまで足が滑った時に握る“補助”として軽くつかみ、もう一方の手で岩をしっかりつかんで「足で登る」ということを心掛けた方がよい、と先輩から指導を受けました。

 

  斜面が急なクサリ場を下りる場合には、後ろ向きでいいです。

 その時も基本は体を斜面に対して垂直に保つこと。クサリはあくまで転落しかけた時につかまるための補助的道具。下る時に大事なのは、足場を探すことであり、そのためには上体を岩にへばりつかせるのではなく、上体を岩から離すことです。

 

 手袋は、できれば外したほうがよいです。冷たいですが。岩の感触が分かるからです。

 

 

一枚岩は例外

 大きな一枚の岩にクサリが垂れ下がっている場所もあります。手がかりや足がかりのない「一枚岩」では、クサリに頼るしかありません。

 クサリが外れることがないように、引っ張って安全性をチェックした上で、両手でしっかりクサリをつかみ、両脚を肩幅ぐらいに開いてクサリをまたぎ、岩に靴底をしっかり付けて登り下りすることになります。

 クサリに振られないように注意が必要ですね。