北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍の北アルプスに登っていたころの写真記録、国内外の旅行、反戦平和への思いなどを備忘録として載せています。

白馬岳・唐松岳間の「不帰ノ嶮」でひっくり返った! 後立山連峰(白馬3山~五竜岳~鹿島槍ヶ岳)縦走

 北アルプス・不帰ノ嶮のクサリ場   (2004年8月14日撮影)

 

 

 2004年の夏、北アルプス後立山連峰を単独でテント泊しながら縦走しました

 長野県白馬村の猿倉から白馬大雪渓経由で「白馬岳(しろうまだけ)」に登り、「杓子岳」「白馬鑓ヶ岳(しろうまやりがたけ)」を合わせた白馬3山、唐松岳五竜岳鹿島槍ヶ岳爺ヶ岳を縦走して扇沢に下山しました。

 途中、不帰嶮(かえらずのけん)という足場の悪い岩場でひっくり返るという危険な目に遭いました。油断があり、反省しています。

 

 今後のために、データを記録しておきます。

 

 

2004年 8月12日(木)】

 夜行バス「さわやか信州号」に乗車。ザックの重さは22㌔

 

 

 

【8月13日(金)】(快晴)

 猿倉荘7:10~ 8:02白馬尻小屋8:10~ 12:00白馬岳頂上宿舎12:15~ 13:35杓子岳13:47~ 鑓温泉分岐15:26~15:55天狗山荘テント場着

 

 

 

 

【8月14日(土)】(ガス時々雨)

 不帰Ⅱ峰に、先に登り始めた登山者(午前8時49分撮影)

 

 

 天狗山荘テント場6:25~ 天狗の頭6:48~ 天狗の大下り7:15~ 不帰Ⅰ峰の頭8:30~ 不帰Ⅱ峰への登り開始8:45 9:40不帰Ⅱ峰北峰9:41~ 不帰Ⅱ峰南峰10:00~ 唐松岳山頂10:50~ 11:15唐松岳頂上山荘11:30~ 防衛大ケルン12:50~ 白岳の下14:00~ 14:05五竜山荘テント場着

 

 

 

 雨の不帰Ⅱ峰北峰の「クサリ場」で転倒!

  不帰ノ嶮(かえらずのけん)は、北アルプスの白馬3山(白馬岳・杓子岳・白馬鑓ヶ岳)から唐松岳への縦走路の途中にあります。帰らず、という名前が語るように急峻な岩峰が続くルートです。

 3つの峰から構成されていて、白馬岳方面から順にⅠ峰、Ⅱ峰北峰、Ⅱ峰南峰、Ⅲ峰と名前が付けられています。

 核心部は、Ⅰ峰からⅡ峰北峰への登りです。

 

 いまでも思い出すと、手のひらに汗がにじんできます。よく途中で停止したな、と。不帰ノ嶮の核心部を歩いていた時、ひっくり返って少し滑落した時のことです。

 

 当時、小雨が降って周囲はガスに包まれ、視界は10㍍ぐらいでした。教訓は、雨降りでガスが濃い時は、岩稜歩きはお止めなさい、ということでしょうか。

 

 トラブルが起きたのは、14日午前9時30分ごろ、不帰ノ嶮の「Ⅰ峰の頭」を過ぎてクサリ場が連続する難所を「Ⅱ峰北峰」に向けて登っている最中でした。

 

 晴れていれば高度感があって、脚がすくむでしょうが、ガスで足元が全く見えないために、恐怖感は消えていました。長時間の歩行から慣れが生じ、緊張感が薄れていたのだと思います。

 

 ひさしのように突き出た岩の下にクサリがあって、それが左上に向かって伸び、クサリの先はガスで見えませんでした。そこを登ろうとしたところ、数㍍先のガスの中に、青色と赤色のザックカバーが動いているのが眼に入りました(下の写真)。

 

 男女が岩にへばりつき、クサリに沿って、斜め下の私の方に下りてくるのが分かりました。

 ルートを男女に譲ってから下を見ましたが真っ白。足元から先がどうなっているのか分かりません。

 

 さあこれから登るぞ、と左上方にトラバース気味に数㍍進みました。左手で岩の出っ張りをつかむと同時に、足元を見ることもなく不注意に左脚を出した時です。

 左脚を乗せる岩が当然あると思ったのですが、靴が岩に当たることもなく、「アレッ」と思った瞬間、体が宙を舞いました。

 

 「しまった!」と思うと同時に体は反転して仰向けの状態になり、背中のザックに衝撃を受けたまま頭を下にしてズルズルと体が滑り落ち始めたのが分かりました。

 

 「こりゃ、あかん。もうダメか」と一瞬、思いました。それでも、あおむけの状態で、たまたま右手に触れたものを本能的につかんだらしく、必死で握ったせいか、運よくストップ。われに返ると、頭は下向き、右手には草……。必死で頭を上の方にしようと背中を回転させ、どうにか立ち上がることができました。

 

 あとはもう、恐怖感からとにかくこの岩場を上に抜けようと無我夢中でした。

 荒い呼吸のまま、休むことなく直登すること10数分(たぶん)。青地のプレートが眼に入りました。(下の写真)

 

 「ここは不帰二峰の北峰」と黄色のペンキで書かれていました。「助かった~」という何ともいえない瞬間でした。(午前9時40分撮影)

 

 雨やガスで視界がきかない時は、もっと臆病にならないといけませんね。

 

 

 

 

【8月15日(日)】(曇り)

 五竜山荘テント場7:13~ 8:15五竜岳8:30~ 赤抜10:13~ 北尾根の頭10:22~ 口ノ沢のコル10:45~ 11:15キレット小屋12:05~ 鹿島槍ヶ岳北峰下の吊り尾根13:48~ 14:38鹿島槍ヶ岳南峰14:47~ 遭難碑15:48~ 16:08冷池山荘テント場着

 

 

 

【8月16日(月)】(曇り)

 冷池山荘テント場5:45~ 赤岩尾根分岐5:59~ 爺ヶ岳北峰下6:33~ 爺ヶ岳中央峰下6:50~ 7:04爺ヶ岳南峰7:16~ 種池山荘7:40~ ケルン9:01~ 爺ヶ岳登山口9:45~ 10:05扇沢駅