北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍の北アルプスに登っていたころの写真記録、国内外の旅行、反戦平和への思いなどを備忘録として載せています。

「マスク」で新型コロナウイルス感染を「予防」できるのかしら(2020年)

 新型のコロナウイルスに感染し、肺炎になって亡くなる人が世界中で増えています。発生源の中国では、テレビの映像をみると全員がマスクをしています。

 

 東京でも、マスクが薬局やドラッグストアの棚から消えてから何日も経ちます。次の入荷がいつになるのか店員さんに聞いても 「分かりません」という返事です。

 

f:id:alps6717:20201107112938j:plain

 

 安倍晋三首相が2020年3月5日、官邸で開いた新型コロナウイルス感染症対策本部の会議の席で、「マスク不足の解消のため、国内メーカーに増産を要請します」と発言するような、異様な事態になっています。

 

  しかし、市販の不織布の使い捨て「マスク」に、「新型コロナ」からの感染を防ぐ効果はあるのでしょうか? 

 気になるところです。

 

f:id:alps6717:20201107112902j:plain


 

コロナウイルス

 ふだん、“風邪(かぜ)“と言っているのは、医療の分野では「かぜ症候群」を言い、鼻の穴からノドまで空気が通る気道で炎症が起こり、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、せき、発熱などの症状が起こります。

 

 原因はほとんどがウイルスで、コロナウイルスはその一種。これまで人に感染するコロナウイルスは6種類見つかっているそうで、今回発生しているのは7種類目の「新型」というわけです。

 

 この新型ウイルスは、コウモリにもともと宿っていたらしいのですが、コウモリから直接ヒトに感染したのか、それともその間に別の宿主がいるのか不明だそうです。

(日本ウイルス学会HP)

 

 

マスク――政府の専門家会議の見解は?

 さて、マスクについてです。

 

 感染の拡大に伴って、政府は「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」を立ち上げ、事務局を内閣官房に置きました。

 メンバーは、国立感染症研究所所長を座長に、大学教授、医師ら12人。「医学的な見地から助言等」を政府に行うことが使命。

 

その専門家会議は

▼2月24日、新型コロナウイルス感染症対策の基本方針の具体化に向けた見解

▼3月2日、新型コロナウイルス感染症対策の見解

――という2つの「見解」を公表して、現状をどのように分析し、どのような考えを持っているか明らかにしました。

 

 

そのポイントを引用します。

 

●このウイルスの特徴として、現在、感染を拡大させるリスクが高いのは対面で人と人との距離が近い接触(互いに手を伸ばしたら届く距離)が、会話などで一定時間以続き、多くの人々との間で交わされる環境だと考えられます。

 我々が最も懸念していることは、こうした環境での感染を通じ、一人の人から多数の人に感染するような事態が、様々な場所で続けて起きることです。(2月24日)

●これまでに判明している感染経路は、せきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)感染と接触感染が主体です。空気感染は起きていないと考えています。ただし、例外的に、至近距離で、あい対することにより、せきやくしゃみなどがなくても、感染する可能性が否定できません。

 無症状や軽症の人であっても、他の人に感染を広げる例があるなど、感染力と重症度は必ずしも相関していません。(2月24日)

●国内で感染が確認された方のうち、重症・軽症にかかわらず、約80%の方は、他の人に感染させていません

 一方で、一定条件を満たす場所において、一人の感染者が複数人に感染させた事例が報告されています。具体的には、ライブハウス、スポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、スキーのゲストハウス、密閉された仮設テントなどです。このことから、屋内の閉鎖的な空間で、人と人とが至近距離で、一定時間以上交わることによって、患者集団(クラスター)が発生する可能性が示唆されます。

(3月2日)

 

 

まとめますと、

換気が悪い狭い場所や、人が密集して長い時間を過ごす場所では、一人でも感染者がいれば自分も感染するから、そういうところには行かないこと。会話も近い距離で一定時間続けるのも危ういですよ、ということ。

「マスク」の効能には触れていません。

 

 

 

 

 

【マスク】についての厚生労働省の見解

厚生労働省のHPに、

新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」

というサイトがあります。

 

こんな記載がありました。

 

【問 20 マスクをした方がよいのはどのような時ですか?

(答え)

マスクは、せきやくしゃみによる飛沫及びそれらに含まれるウイルスなど病原体の飛散を防ぐうえで高い効果を持ちます。せきやくしゃみなどの症状のある人は積極的にマスクを着用しましょう。

ご自身の予防用にマスクを着用することは、込み合った場所、特に屋内や乗り物など換気が不十分な場所では、一つの感染予防策と考えられます。

 

問 5  空気感染は起きているのでしょうか?】

(答え)

国内の感染状況を見ても、空気感染は起きていないと考えられるものの、

閉鎖空間において近距離で多くの人と会話するなどの一定の環境下であれば、せきやくしゃみなどがなくても感染を拡大させるリスクがあります。

 

 

 どうも、こうした記述を見ると、「マスク」はウイルス感染からわが身を守るための最も重要な道具とは言えませんね。

 

   ◇     ◇     ◇

 追記:(2020年5月15日)

 厚生労働省はその後、「新型コロナウイルス感染症専門家会議」からの新たな提言を踏まえて、「マスクの効能」について一歩踏み込む対応をしました。

 厚生労働省は2020年5月4日、【日常生活の中に取り入れていただきたい新しい生活様式」の実践例を公表しました。

 その中で、「1人ひとりの基本的感染対策」の1つとして、

「外出時、屋内にいるときや会話をするときは、症状がなくてもマスクを着用

と書き込んだのです。

 これは、自分自身が知らないうちに「新型コロナ」に感染していて、一緒にいる他の人にうつしてしまうリスクが高まっていることが分かってきたための措置です。

 

 

 

忽那医師の解説

 忽那賢志(くつなさとし)さんという感染症の専門医がいます。国立国際医療研究センターに勤務していらっしゃいます。ただ、専門家会議のメンバーではありません。

 忽那医師は、「Yahoo!ニュース個人」というサイトに「続・症状がない人もマスクをつけるべきか?」と題する記事を5月5日付で投稿しています。その中で、次のように指摘しています。

 ▼新型コロナウイルス感染症は、発症前から感染性があります。発症2日前に感染性のピークがあることが分かっています。

▼人から人への感染の約半分が、「発症前の時期」または「無症候性感染者」から感染すると推計されています。

▼マスクを着用すると、ほとんど飛沫は飛ばなくなります。

▼症状がなくても飛沫を発生することがあり、実際にクラスター(集団感染)を発生させた実例が複数あることから、症状がない人もマスクを着用することは妥当性があるように思えます。

マスクは「自分から他者」への感染には予防効果がありますが、「他者から自分」への予防効果については、科学的根拠が不十分です。