北穂高岳で味わう至福のひと時

山登りの記録、観光ではふつう旅行しない外国の風景、戦争の遺跡、登山での体調不良の原因など備忘録として書いています。

北海道~上士幌町の大自然の中で旧国鉄のアーチ橋を見た

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 旧国鉄アーチ橋糠平川(ぬかびらがわ)橋梁

            橋の上は列車ではなく、人が歩いていました。(2016年5月9日撮影)

 

 

 

目次

 

 

 

  

 北海道南東部の十勝平野は畑作地帯、というイメージですが、北部の山岳地帯には、いまもコンクリートでできたアーチ橋(きょう)が残っています。10カ所近くに残っているそうです。

 JRが「国鉄」と呼ばれていた30年前まで、実際に使われていました。大自然に溶け込んだアーチ橋の多くは、国の登録有形文化財になっています。

 

 その1つ、糠平川(ぬかびらがわ)橋梁をみてきました。

                                          ちょっと古い2016年5月の話ですが・・・。

 

 

 

温泉街に近い糠平川橋梁

   

 

 

 アーチ橋がたくさん残っているのは上士幌町(かみしほろちょう)

 人口はおよそ5000人(約2500世帯)で、多くが畑作や酪農といった農業と観光関係で生計を立てているそうです。

 車の台数は1世帯に2.3台という統計があります。1人1台ということですね。

 

 

 

 糠平川橋梁という名のアーチ橋は、上士幌町内のぬかびら源泉郷(げんせんきょう)という温泉街から、散策用の小道を15分ほど歩いたところにありました。

 

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 ぬかびら源泉郷。湖が糠平。(上士幌町観光協会のホームページから引用)

 

 

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 ぬかびら源泉郷のホテル・旅館街。(5月9日午後撮影)

 

 

 

 糠平川橋梁は、糠平ダムを建設するために1955年(昭和30年)に旧国鉄士幌線(しほろせん)のルート変更(線路の付け替え)をすることになり、糠平に注ぐ糠平川河口に新しく造られたコンクリートアーチ橋です。

 

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 コンクリート造りで、4連のアーチから成る橋です。

 

内訳は、15メートルのアーチが3連、10メートルのアーチが1連で、4つのアーチを連ねる構造です。

 

 

 

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 橋の長さは、文化財関係のデータベースでは「74㍍」ですが、橋の端っこの説明板には「63.3㍍」とありました。

 

 糠平川橋梁は2017年6月28日、国の登録有形文化財になりました。

 

 

 

 

 

国鉄士幌線のこと

 以下の“作文”にあたっては、コンクリート造りのアーチ橋梁群の保存活動をしているNPO法人ひがし大雪アーチ橋友の会のホームページがたいへん参考になりました。

 

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 上の地図は、帯広(いちばん下)から上士幌町中心部を経て山岳地帯のぬかびら源泉郷に通じるルート図 (ひがし大雪アーチ橋友の会のHPから引用)

 

 

 

アーチ橋が60もあった

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 旧国鉄士幌線は、根室本線帯広駅を起点に、十勝平野を北上して、糠平(ぬかびら)を経て十勝三股(とかちみつまた)を終着駅とする路線でした。

 

 総延長78キロで、戦時中の1939年(昭和14年)に開通しました。

 

 この士幌線は、上士幌から北の山岳地帯に入ると、音更川(おとふけがわ)の渓谷に沿って走ることになり、場所によっては音更川とその支流の糠平川などを渡るために、大小60もの橋を造る必要がありました。

 

 工事費を抑えるために鉄道省(当時)の技術者は、当時の新素材だったセメントと現地で採れる砂利や砂を使い、さらには周辺環境との調和を考えてコンクリート製のアーチ橋を造る計画が採用されたそうです。

 

 

 

木材の運び出しが主な目的だった

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 鉄道の線路を帯広から北に伸ばす理由は、十勝平野の北部の森林開発と木材の輸送でした。

 士幌線の開通で終着駅の十勝三股駅があった集落は、最盛期には人口が1200人(上士幌町観光協会HP)になり、駅の周辺一帯は全国屈指の木材生産地になりました。

 

 

 

利用者も貨物も減って≪廃線≫に

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 1970年(昭和45年)に士幌線沿いに帯広と旭川を結ぶ国道273号が完成すると、状況が変わりました。

 鉄道沿線住民が生活拠点を奥地から上士幌町中心部に移し、鉄道の利用者が減りました。

 山奥にあった製材工場も上士幌に移転し、木材の輸送も鉄道からトラック輸送に置き換わりました。

 そして1987年(昭和62年)3月に、廃線となりました。

 

 十勝三股駅近くにはいま、2家族が住むのみ(上士幌町観光協会HP)となりました。

 

 

 

 

解体を免れ観光資源に

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  アーチ橋が脚光を浴びたのは、それから10年後のことでした。

 

 荒廃した橋を管理していた国鉄清算事業団・・・この団体は、国鉄分割・民営化で発足した組織ですが、自らの組織の解散に先立って、地元・上士幌町に「アーチ橋を解体しますよ」という話を伝えました。

 

 これを受けて地元町民がアーチ橋や線路跡の保存運動を展開。その結果、上士幌町が1998年に国鉄清算事業団から34のアーチ橋と線路跡を取得し、アーチ橋は解体を免れました。

 

 上士幌町は、現存する主なアーチ橋として9つ挙げています。

 

 

 

 

再び、糠平川橋梁

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 糠平川橋梁の元の鉄路の部分は、安心して歩ける遊歩道になっています。(上の写真)

 

 

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 橋の上からの景色も結構です。雪山が遠くに見えました。

 

 

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 反対側を見ると、向こうに糠平湖も。

 

 

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 アーチ橋の先には、トンネル・・・。

 

 

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 中に入れないように、柵がありました。

 

 

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  網目からトンネルの中をのぞくと・・・。こんな感じ。

 

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  このアーチ橋、河川敷に下りて、下から見上げるのも趣があります。湖畔の自然の景観に溶け込んでいました。

 

 

 

糠平(ぬかびら)駅

 

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 鉄道資料館。(上士幌町観光協会のHPより引用)

 

 

 糠平(ぬかびら)駅は、糠平ダム建設で湖底に沈むために1955年(昭和30年)に上の写真の場所に移転してきたのですが、さらに旧国鉄士幌線そのものの廃止によって、1987年3月に廃駅になりました。

 糠平があったところにはいま、鉄道資料館があります。(音連れた日は休館日で残念!)

 

 

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 現在の鉄道資料館の敷地(旧糠平駅構内)には観光用の線路が662メートルだけ復元され、8人乗りトロッコに乗って林の中を楽しめるようになっていました。国鉄当時に実際に線路修理用に使われていたトロッコだとか。

 「ぬかびら」という駅名標も線路わきに立ててあります。

 「NPO法人ひがし大雪アーチ橋友の会」による運営で、

名付けて「ひがし大雪高原鉄道」。

 

 

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 線路の上を歩いても叱られることもなく、のんびり散策できます。水芭蕉が咲いていました。

 

 

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 鉄道資料館の敷地には、ほかにも貨車(車掌車)が展示されていました。

 

 

 アーチ橋を見て、自然と調和したその美しさとともに、その裏にあるはかなさを感じる旅でした。

 

 

 

 

(記録)旅の行程

【2016年5月8日】

 

▼正午    帯広駅前からスに乗車

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 風が強く、畑で土煙が上がっていました。(5月8日午後1時撮影)

 

▼午後1時すぎ  「拓殖バス上士幌営業所」下車

    パン屋「トカトカ」で昼食

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▼昼食後、上士幌町の中心部まで歩く

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 歩行者には一人も会いませんでした。時折、車が通り過ぎるだけ。

                  トボトボ歩くほうが変かもしれませんが。

 

 

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 静かな街、という印象。

 

 

▼午後3時すぎ   「上士幌郵便局前」からバスに乗車

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 1本逃すと、たいへん。

 

 

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▼午後4時前  「ぬかびら源泉郷・中央公園前」下車。宿のチェックイン。

 

 

【2016年5月9日】

▼早朝  宿から15分歩いて糠平川(ぬかびらがわ)橋梁へ

 

その後、帯広経由で札幌へ