2024年1月時点での新聞別の「販売部数」が明らかになりました。
「ABC部数」といいます。一般社団法人日本ABC協会が、第三者機関として認定した新聞社別の≪販売部数≫です。
「朝刊」のランキングをつくってみました。
長期下落傾向は相変わらずです。かつて1000万部を誇っていた「読売」は600万部に転がり落ちました。
「全国紙」とされている「産経」に至っては、この1年間で10万部減らして販売部数は90万部を割りました。
この1年間で減った部数は、全国紙では「読売」45万部、「朝日」30万部、「毎日」23万部。
地方紙(=県紙)も軒並み、1万部前後、減らしています。
ただ、全国紙の減り具合いが地方紙に比べてはなはだしく多いのが特徴です。
ブロック紙の「中日グループ」は10万部減らしたものの、販売部数は「読売」「朝日」に続いて全国第3位です。
以下、新聞業界の最新情報です。
もくじ
中日は東京本社の「外報部」を廃止、名古屋では退社する記者も
名古屋に営業の本拠地がある中日新聞社は、東京本社で「東京新聞」を発行しています。
その「東京新聞」の編集局で長い間、記者をしていたウルさいOBから❝嘆き❞が聞こえてきます。
2024年1月31日付で東京本社編集局「外報部」が「廃止」になったのです。OB記者たちは社報でその事実を知ったそうです。
10年ほど前には、「東京新聞」が発行していた登山専門誌『岳人(がくじん)』の商標権が、山に興味のない当時の経営陣の判断によって無料でモンベルグループ企業に譲り渡されました。
その際、「東京新聞」の友人たちから「赤字だったとはいえ、がっかりしたよ。経営トップは『岳人』の価値がわからないんだ」というボヤキを聞きました。
そして今度は、外国に置いていた取材基地を次々と廃止し、共同通信の原稿を紙面に使うことにするらしい。
聞けば、モスクワ(2023年4月末)、カイロ(6月末)、ニューヨーク(7月末)、ロンドン(8月末)、パリ(9月末)、テヘラン(同じく9月末)と閉鎖している。この流れから東京本社の外報部廃止は読み取れますね。
残っているワシントン、北京、ソウル、バンコクの4つは、名古屋本社に受け皿として「国際部」を新設してそこにぶら下げました。
『東京新聞』の紙面をあらためて眺めてみると、たしかに外電は「共同」と「時事」ばかり。他県の地方紙と同じです。
有能な記者ほど動揺しているようです。
1月31日付で、カイロの最後の特派員だった記者がNHKに移ったというウワサがあります。
事実が確認できたのは、『読売』や雑誌『選択』も報じていますが、元ニューヨーク特派員で帰国後に名古屋本社経済部でトヨタ担当のキャップをした女性記者が、2月29日付で依願退職してトヨタの社外監査役に6月の定時株主総会で就任するということ。50歳ですが、中日は「定年退職扱い」としています。なにか裏があるようですな。
NHKと新聞の「内ゲバ」
内ゲバ(うちげば)――と聞けば、ご高齢の方は革マル派、中核派、革労協という新左翼党派間の内部ゲバルトを連想するでしょうが、そうではありません。
マスコミの中で、日本新聞協会という新聞社の集団が、NHKに対して行っている言論による攻撃です。いまも続いています。
何をめぐってもめているのか、といいますと、NHKが本業の放送事業とは別にインターネット上で展開している「文字ニュース」の配信事業をめぐって、日本新聞協会がNHKに対して「やめろ!」と叫んでいるんですね。
若い世代がスマートフォンで「無料」のNHKニュースを「文字」で読んでいるから、「有料」の紙の新聞が売れないんだ、というわけです。
「文字ニュースをやめろ」という新聞社の言い分
日本新聞協会が攻撃のターゲットにしているのは、パソコンで「無料」で見られる「NHK NEWS WEB」「NHK政治マガジン」や、スマホの「NHKニュース・防災」といった文字ニュースです。
人気のある「NHK政治マガジン」は、週刊誌の中づり広告のようなレイアウトで、見出しをクリックすると記事が出てきます。
限られたテレビの放送時間では伝えきれない「政治の舞台裏」を政治部記者が深掘りして、文字で再構成した記事です。よく書けています。
ところが日本新聞協会は担当のメディア開発委員会が総務省の「公共放送ワーキンググループ」という会議に出席して、2023年夏以降、次のように主張しているのです。
「放送のために受け取った≪受信料≫を、ネットの無料コンテンツづくりに使うのは適切ではない。NHKによる≪民業圧迫≫だ」
「NHKはネットでの無料文字ニュース業務から、完全に撤退すべきだ」。
そこまで言うか?という印象ですが、本当の話です。すさまじい。
しかしですねえ、NHKが無料でネットを使ってニュースや解説記事を「文字」で流していることが「新聞の部数減」につながっている、なんて考えるのは内向き思考ですねえ。
新聞社自身が、読者が読みたくなる中身の濃い記事を紙面に載せることが大事。
新聞各社の経営陣と編集局長レベルが戸惑っていることは、よく見えます。
(最新)「販売部数」のランキング表