富士山「剣ヶ峰」の向こうでモクモクと成長する積乱雲(2008年8月9日撮影)
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≪積乱雲≫で生まれる
日差しで地表が暖められると、地表の水蒸気を含んだ湿った空気が上昇気流となり、上空でどんどん冷やされて水滴や氷の粒になります。そのまとまったものが「雲」です。特に、強い上昇気流に乗って著しく発達した雲が「積乱雲」で、夏によく見られる入道雲もそのひとつです。
雷はこの「積乱雲」の中で生まれます。
氷の粒は、雲の中で重くなって地表に向かって落ちていく粒と、強い上昇気流に乗ってさらに高く上っていく粒がぶつかり合うことによる“摩擦”で、プラスの電気を持った粒とマイナスの電気を帯びた粒ができます。
マイナスに帯電するのは「大きな粒」で雲の下の方に行きます。
プラスに帯電するのは「小さな粒」で上昇気流に乗ってもっと上に行きます。積乱雲の中でプラスとマイナスの集団に分かれます。
一方、地表では、積乱雲の下の方に集まっているマイナスの電気を持った氷の粒に引き寄せられるように、プラスの電気が集まります。
積乱雲と地表との間には、ふつうは電気を通さない絶縁体である空気の層があるため本来は電気が通らないのですが、プラスとマイナスとが引っ張り合うエネルギーが極限に達すると、空気の絶縁が破壊されてプラスとマイナスがくっつこうとします。
これが「放電」といわれる現象です。
地表のプラスの電気に向かって、積乱雲の中のマイナスの電気が流れるのが「落雷」です。
また、積乱雲と積乱雲の間で電気が流れるのが「雲放電」で、富士山で私がみたのがコチラでした。
「バリバリバリッ」「ゴロゴロゴロ」という音はなぜ?
バリバリバリバリッとすさまじい音が出る理由は、電気が流れるときに発生する“熱”が原因です。
落雷や雲放電の時には、電気が無理やり空気の中を通り抜けようとするため、空気が急激に高温になって膨張し、これにより周りの空気を振動させることによって衝撃波が発生するのです。これがバリバリバリッという大きな雷鳴です。
また、遠くに雷がある時には、ゴロゴロと低音で尾を引きますが、これは音が空気中を進むときに雲や山にぶつかって何度も反射するため、そう聞こえます。
雷との距離
ピカッと光ったあと、ゴロゴロと雷鳴が聞こえてきます。これは、光の方が音よりスピードが速いからです。
音は1秒でおよそ340㍍進みます。
一方の光は1秒で約30万㌔進みます。
仮に、ピカッと光ってから5秒後に雷鳴が聞こえたとしますと、340㍍×5秒で1700㍍離れたところに雷が落ちたことが分かります。
では、雷が光るのはどうして?
光るのは「空気」です。雷の電気が空気中を通過する時、無理やり通るため電気が通ったところの空気の温度は、摩擦による熱で瞬間的に高温になり、人間の目には光って見えるようです。
もう1つ、稲妻はなぜギザギザな形なの?
空気は電気を通しにくい性質があるため、雷は地面に到達するまでの間、空気抵抗に逆らいながら無理やり空気をかきわけて進んでいくためまっすぐ進めず、ギザギザに見えるようです。
ラジオで雷の接近を知る
落雷の時、電磁波が発生しますが、その周波数帯にAMラジオの周波数も含まれています。
そのためAMラジオの電源を入れて登山をしていると、雷が近づいた時に、「ガリガリ」と雑音が入ります。雷の接近を知ることができるのです。
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