北穂高岳で味わう至福のひと時

標高3000㍍の北アルプスに登っていたころの写真記録、国内外の旅行、反戦平和への思いなどを備忘録として載せています。

【詳報】来日したウクライナ最高会議議長の会見での発言

 ウクライナの「議会」に当たる最高会議のルスラン・ステファンチュク議長(47)が2023年9月7日、東京都千代田区の日本記者クラブで会見しました。

 9月8日に都内で開かれるG7(先進7ヵ国)下院議長会議にゲストとして出席するための来日で、議長は「ロシアとの戦争は、今後100年の歴史の流れを左右する戦いであり、日本には、パトリオットのような防空システムの供与を期待する」旨の発言をしました。

 

 会見はウクライナ語で行われ、在日ウクライナ大使館の女性スタッフが通訳しました。

 

目次

 

 

 

 

ウクライナ最高会議議長の冒頭発言

 議長は冒頭、通訳を交えて約15分間、要旨次のように話しました。

 

 「日本から総額76億ドル以上相当の、財政的、人道的、技術的支援をいただき、心から感謝。また、ウクライナからの避難者の受け入れに感謝します。」

 「破壊された経済の戦後の復興のために、ウクライナへの支援と投資を必要とします。日本のユニークな復旧・復興の経験から学ばせていただきたいと思います。日本の政府機関及び民間企業をぜひとも、このような共同の仕事に歓迎したいと思います。」

 

 続いて、1時間近く質問を受け、議長は丁寧に答えました。

 

 

主な質疑・応答

【問い】:戦争の長期化が予測されるが、(奪われた)すべての領土を奪還するための戦争への覚悟を、ウクライナの人は共有しているのか?

【答え】:最近の世論調査では、ウクライナ国民の80%を上回る割合が完全なウクライナ領土、つまりウクライナが独立した時の国際的に認められている領土の完全な奪還まで戦い続けたい、という結果になっています。

 

【問い】:北朝鮮とロシアが接近している。この動きは、戦況にどんな影響を及ぼすとみているか?

【答え】:まず申し上げたいのは、いまの世界の傾向は終結に向けての傾向です。それはロシアのような独裁主義の国家モデルを中心とした終結にするのか、ウクライナのように民主主義を主な価値としている国をセンターとしての終結なのか、ということです。

 世界がこれから100年にわたってどういう展開をするのか、独裁モデル寄りの展開になるのか、民主主義モデル寄りの展開になるのかという話だと思います。

 どうしてかというと、この戦争で勝った側が、これからの100年分の歴史のトレンドを左右するからです。

 もちろんウクライナはロシアが今、ほかの独裁国家のどこと手を組んでいるかというプロセスを見守っていますが、それより民主主義の価値を共有している国々がどうやって連携しているかということです。

 

【問い】:ロシア軍を占領地から完全撤退させることに成功したとしても、その後再び軍事侵攻させないようにするために、どんな措置が必要だと考えているか?

【答え】:ロシアによる再度の軍事侵略のリスクについてですが、ウクライナの国境に対する脅威、リスクが消えるというわけではないと理解しています。

 そのためウクライナアーキテクチャー(=構造)の改正のために様々なイニシアチブをとっていきたいと思います。

 第二次世界大戦後につくられたアーキテクチャーのメカニズムが、いま機能していないということが明らかになりました。世界の、いまからの課題は、世界では戦争が二度と起きないようにきちんと体制をつくらなければならないということです。万が一、戦争、侵略が起きてしまった場合は、その侵略国家が処罰されるように、そしてその戦争の意図を止めざるを得なくなるという環境をつくらなければならないです。

 

【問い】:日本に期待する支援は何か?

【答え】:いままで日本からいただいている様々な支援に感謝しています。きょうのように、罪のない民間の人たちが殺されないように、ウクライナの空でシールドをつくらなければならないという現状です。

 そのために日本から、(地対空ミサイル)「パトリオット」のような防空システム、およびそれに対する砲弾の提供をお願いするつもりです。

 

(写真は、会見を終えて退席する議長)

 

【問い】:ロシアのプーチン政権について見解を聞きたい。ワグネルの反乱などでロシアが混乱していると思うがどうなのか?

【答え】:混乱は実感している。ロシア軍におけるムード、士気については、日本の皆様も御存じのように、まったく教育訓練を受けていない兵士たちを、ロシア軍の司令官たちが戦闘に投入して死亡させ、死体でウクライナ軍の進展を妨げるという作戦になっていると言えるでしょう。それに対して、ウクライナは兵士の命が最高の価値であり、それを大事にしている。「人」に対するイデオロギーが違う2つの国になっている。

 

 

厳重な警備でした

 当たり前のことですが、警備は厳重でした。

 

 日本記者クラブのある「日本プレスセンタービル」の正面入り口には、警視庁機動隊の車両が横付けされ、周辺は機動隊員や麹町警察署員が不審者の警戒に当たりました。

 ビル内には、要人警護を担当する警視庁警備部警護課の警察官、俗にいう「SP」が10数人か配置された気配。

 記者会見場では、背広のボタンを外した長身のSP2人が、演壇の両すそに立ち、万一に備えていました。

 

 ウクライナ議長の警護員にいたっては、議長が着席する前に、日本記者クラブ事務職員が「議長用」に用意した飲料水のペットボトルを手に取り、底をのぞき込む気の使いようでした。

 

(写真は、ウクライナ議長が会場を去った直後の日本プレスセンタービル前)

 

 

 

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